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探検 ☆

 

 怖いのは幽霊か人間か――



 私には弟が2人います。仮に上の弟を1号、下の弟を2号としましょう。

 この弟2号、小さい頃からヤンチャなやつでした。


 それは弟2号が高校生だった頃。

 当時彼は、心霊スポット探検をよくしていました。その日も学校をサボり、近くの学校の友達と合流して、火事で廃墟となった建物へと探検しに行ったそうです。


 友達と一緒、そして昼間ということもあり、彼等は軽い気持ちで中に入りました。友達のうち2人は残ると言うので、残りの3人と一緒に入ったそうです。

 そしてちょうど2階を探索していた時、入り口に車が停まるのが窓から見えたのです。その車は真っ黒な高級車。しかも窓はフルスモーク。

 弟2号たちはなんだろう? と思いながら眺めていました。すると突然PHSが鳴ります。下に残ったはずの友達からでした。


「ヤバイ‼ 逃げろ、今すぐ逃げろ! ヤクザとチンピラが鉄パイプ持ってそっち行くぞ」


 電話を受けながら下を見ると、確かに男が二人、車のトランクから何かを取り出しています。

 もはや幽霊どころの騒ぎじゃありません。全員逃げ道を探して右往左往です。入り口は入ってきたところしかわかりません。だけどそこにはヤクザがいます。

 建物の裏は斜面になっていて山へと続いていました。今のところ逃げ道はそこしかありません。彼等は2階の廊下から斜面に飛び降り、そのまま山へと向かいます。

 しばらく行くとフェンスがあり、行き止まりになっていました。しかもそのフェンス、ご丁寧なことに上に有刺鉄線が張り巡らされています。

 しかし無我夢中だった弟2号たちは近くに落ちていた脚立を使い、無理矢理有刺鉄線付きフェンスを乗り越えたそうです。ボロボロで血だらけになりながらもなんとかヤクザたちに気づかれずに逃げ切れた時は、心底安堵したと言っていました。


 弟2号いわく、幽霊よりも人間の方がよっぽど怖かったとのこと。

 


後日その建物の入り口にはバリケードが作られていたそうです。


そして数年後。再度探検をしに行ったときにはバリケードはなくなっていて、代わりに入ってすぐに女性のすすり泣きが聞こえたそうです。


現在はどうなっているのか不明ですが、さすがにもう取り壊されているんじゃないかと言っていました。

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