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大斗の童話 『ツバメの旅立ち』

作者: モコたん

 ツバメの旅立ち


 青い空、白い雲、今日は最高の旅立ちの日

おいらは、必ず、まだ、見たこともない南の島にたどり着いてみせる。

一匹のツバメが心に言い聞かせた。

青い空と風を味方につけておいらは飛ぶ。

自由に高く速く。

この日のためにおいらは、毎日、毎日、雨の日も風の日も頑張って練習してきた。

だから、どんなに苦しくてもあきらめないで南の島に行く。

南の島で可愛い奥さんを見つけて、そして、可愛い子供が生まれたら旅の話をしてあげよう。

おいらの師匠がおいらにしてくれたように、話して聞かせよう。

それが、おいらと師匠との約束

「さぁ・・・大空へ」

今年、生まれたツバメが南の国をめざす。


 『ツバメの旅立ち』


 青い空、白い雲、今日は最高の旅立ちの日

おいらは、必ず、まだ、見たこともない南の島にたどり着いてみせる。

一匹のツバメが心に言い聞かせた。

青い空と風を味方につけておいらは飛ぶ。

自由に高く速く。

この日のためにおいらは、毎日、毎日、雨の日も風の日も頑張って練習してきた。

だから、どんなに苦しくてもあきらめないで南の島に行く。

南の島で可愛い奥さんを見つけて、そして、可愛い子供が生まれたら旅の話をしてあげよう。

おいらの師匠がおいらにしてくれたように、話して聞かせよう。

それが、おいらと師匠との約束

「さぁ・・・大空へ」

今年、生まれたツバメが南の国をめざす。


 青い空、白い雲、今日もいい天気

このまま、良い天気が続けば、こんなおいらでも本当に南の島にたどり着けるかもしれない。

一匹のツバメが、楽しそうに飛んで行く。

風を捕まえて、風にさからわないように風と友達になる。

自由に高く速く。

師匠がおいらに、毎日毎日、教えてくれた風と友達になる方法、心を風に預けて友達になる。

風の声を聞き、風の香りに心を溶かす。

風は友達、だから、風の声を聞く、悲しくはないかい?

怒ってはいないかい?

楽しいかい?

師匠がおいらにしてくれたように、話しかけよう。

優しく、強く。

「さぁ・・・風よ共に旅しよう」

おいらは、南の国をめざす。


 灰色の空、黒い雲、今日は雨が降りそうだ

でも、おいらは今日も飛ぶ

こんなおいらが南の島にたどりつくには時間がかかる。

一匹のツバメが雨の中を飛んで行く。

風は友達、優しく教えてくれる「もうすぐ泣きやむわぁ」

だから、大丈夫。

師匠がおいらに、毎日毎日、教えてくれた。

親でさへ見放したおいらに師匠だけが教えてくれた。

師匠だけが見せてくれた。

こんなおいらでも、自由に空を飛べる飛び方

そして、聞いてくれた、悲しくはないかい?

怒ってはいないかい?

楽しいかい?

おいらには、師匠だけしかいないけど、師匠にもおいらしかいなかった。

師匠もおいらも一人ぼっち

だから、おいらは強くなる

「師匠のように海を渡りきろう」

そして、幸せになろう。


 青い海、どこまでも果てしなく続く空、今日もいい天気

もう、どれぐらい飛び続けただろう?

こんなおいらが本当に南の島にたどり着けるのだろうか?

一匹のツバメ悲しそうに飛んで行く。

おいらの羽、醜くゆがんだ羽、無理ができない弱い羽。

自由に高く速く飛べたのに・・・

ある日、猫が、おいらの羽を捕らえた。

父さんにあんなに注意されてたのに、母さんがあんなに心配してたのに・・・

ほんの一瞬の出来事

誰よりも自由に高く速く飛べたのに、速くは飛べなくなってしまったから、母さんが泣きながら言う。

父さんが重い顔で言う。

「お前はもう南の島へはいけない」

何を言ってるの?

「おいらは、大丈夫飛べるよ」

おいらが、南の国をめざしちゃいけないの?


 絶望が鉛色の空のように続く、今日も地獄の日々・・・

兄弟達に速く飛ぶ方法を教えるのに忙しい父さん、旅の仕方を兄弟に教えるのに忙しい母さん。

おいらは、置き去り一人ぼっち

おいらの羽では、南の島までいけないから、教えたってしかたがないよね。

教えてもらったところでついていけない。

おいらが一番わかってる。

父さんが悪いわけでも、母さんが悪いわけでもない。

ほんの一瞬の出来事

誰よりも自由に高く速く飛べたのに、今じゃ兄弟達と同じ速さでは飛べなくて、皆に迷惑ばかりかけてしまうから・・・

おいら、もう南の島には行かないよ

悲しそうにおいらを見ないで・・・

「おいらは、ここに残るよ」

おいらは、南の国をめざせない・・・


 落胆と失望の黒い空が続く・・・死んでいるような毎日。

お父さん、お母さん、さようなら・・・

冬になって死ぬのも今死ぬのも同じこと。

誰が悪いわけでもないけれど・・・

おいらは、とっても疲れたよ、悲しくて泣き疲れたよ・・・

だから、もう、明日を考えたたくない。

頑張ってる兄弟達も見たくはない。

どんどん、どんどん、おいらだけが置き去りなって、兄弟達が憎くなって・・・

父さんも母さんも居なくなればいいのにって思ってしまう・・・

おいらの心は酷く醜くなって、おいらの羽より醜くなっておいらを苦しめる。

おいらの居場所がないよ

苦しくて悲しくて

「今、すぐに、おいらは、消えたいよ」

おいらは、南の国にはいけない

でも、天国なら行けるかもしれない・・・・


 嘲りとの罵倒の空が聞こえる、誰のこと?

何て言った?

「あいつ、あんな羽で海を渡ったなんて、嘘ばっかり言いやがって嘘つきだよなぁ」

誰かの悪口が聞こえる

おいらより酷い羽だった

あんな、羽で海を渡ることが出来たのだろうか?

本当に出来たのなら、おいらにも出来るかもしれない・・・

その日から、おいらは変わった。

おいらより醜く酷い羽で、師匠は空を舞う、誰よりも高くもなく、速くもないけれど、誰よりも身軽に楽しそうに空を舞う。

師匠が、話してくれた。

私もお前と同じだった、私は生まれつきだったから、父も母も兄弟も誰も私に話しかけてもくれなかった。

ただ、風だけが友達だった

毎日、毎日、風と遊んだ

旅立ちの日、南の島に行くかどうか戸惑う私に風が囁いた

「一緒に、旅に出よう、僕が君を南の島まで連れて行ってあげるから僕を信じて」

私は、風を・・・友達を信じた。


 希望という名の一筋の光が地上す。   神様に感謝します。

その日から、おいらは師匠に弟子入り、師匠は何度も何度も繰り返し見せてくれる。

弱った羽に負担をかけないで飛ぶ方法を教えてくれる。

お前の羽は強い羽だと褒めてくれる

毎日、おいらの醜い羽を褒めてくれる

風と友達になれるのは、ほんの一握りのツバメだけ、多くのツバメは長い旅の間に力尽きて南の国へはたどり着けない。

風と話せるものだけが、南の島にたどりつける。

それは、他の誰でもないお前だけだ。

「友を信じろ、そして自分を信じろ」

おいらは、南の国を目指す

でも、他のツバメたちが、コソコソと話している。

「あいつ、マジで旅にでるのか?」

「すぐに、海の藻屑と消えちゃうよ」

「最初から、南の国にいけないのがわかってるのに挑戦するなんて馬鹿な奴」

「もしも、奇跡的にたどり着いても、あいつの師匠とやらと一緒で、誰にも相手にされないで結婚できないさぁ」

それでも、おいらは南の国を目指す。

それが、おいらの誇り

師匠との約束。

南の島で可愛い奥さんを見つけて、そして、可愛い子供が生まれたら旅の話をしてあげよう。

そして、おいらが師匠から教わった飛び方を教えてあげる。

それが、おいらと師匠の約束。


 春の桜の花が咲くころに、ツバメが飛んできます。

皆さんは、ツバメがたった一匹で三000キロの旅をしてくるのをご存知でしょうか?

初めて旅をする若いツバメのうち、、無事に海を渡れるのは、一00羽に一0羽ほどす。

この物語は、そんな過酷な自然に戦いを挑んだあるツバメのお話です。



おわり

それでも、おいらは南の国を目指す。

それが、おいらの誇り

師匠との約束。

南の島で可愛い奥さんを見つけて、そして、可愛い子供が生まれたら旅の話をしてあげよう。

そして、おいらが師匠から教わった飛び方を教えてあげる。

それが、おいらと師匠の約束。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 良かった。多少感情が入り込んだ。 若いつばめの物語 現実とは…かけ離れてはいるけど 話の中に潜り込みつばめの視線で物語が進んで行くのが 僕の脳裏にしっかりと映し出されたよ。 [気にな…
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