表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/26

前世での裏切り

約7、8ヵ月振りです。リメイク版です。3千書きました。最初手抜きです。月曜日に最初の部分(千字くらいまで)を改稿します。

ではどうぞ

 薄暗い使われていない廃工場の倉庫の中。そこには刺青が体中から見られるいかにも怪しげな2人が向かい合って取引をしていた。


「ああ、これが例の物だ。金は持って来てるだろうな?」


片方の男が黒いケースを取り出して聴く。

「当たり前だ。それより中身を先に確認されろ」


「分かった。そっちも出せ。」


「ああ」


男達はそれぞれ手元にある黒いケースを開けて中身を見せ合う。

中身を確認した男達が話を続けようと口を開きかけたその時……

何処からか銃声が倉庫に響き、片方の男が倒れた。


「!?ッ……誰だ!」


もう片方の男は瞬時に状況を理解して即座にハンドガンを取り出そうとする。


しかし、その行為が行われる前に再び倉庫に銃声が響いた。


「バ…カ…な……」


男はケースを手放し倒れた。男の体からは赤い液体が淡々と流れていた。


この二人が倒れるまで僅か10秒の出来事だった……


「ふぅ……」


彼が倒れてから数秒後、倉庫に置かれる荷物の後ろからハンドガンを片手持った一人の青年が現れた。


青年は男達が取引していたケースを両方回収して男達の方に振り向いた


「タ…ス…ケ…」


どうやら金を持って来ていた男の方は虫の息だが生きているようだ。

青年は、無言のまま男にハンドガンを向けて引き金を引いた。

続いて、もう一人の男にも一発撃つ。

こうして男達を確実に殺すと彼はハンドガンをしまい、携帯を取り出して誰かに電話をかける。


「もしもし……」

『カミトか?』

「あぁそうだ。依頼は片付いた、今から戻る。いつもの場所でいいな? 」

『あぁいつもの場所で待っている。ではな。』


カミトは、電話を切ると、すぐに倉庫から出て行った。








依頼を終えた俺は、路地街にあるとある喫茶店に向かった。


チリン、チリン


俺が、喫茶店に入ると、中には男性の客が一人だけテーブル席に座っていた。


俺はマスターに紅茶を頼んで、その客の元に近づいて行く。


「来たか、カミト」


すると、客振り向かずにそう言った。


「あぁ、遅くなってすまないな親父」


俺はそう答えて親父(客)と向い合う席に座る。


「例の物は?」


「これだな」


俺はそう言ってケースを取り出して中身を見せる。


「……ご苦労だっな金は、また後日家で渡そう」


そう言って親父は席を立った。それ以外の会話は一切ない。元々、親父は家族だが、それ以上に俺常連客だ。

だから俺は特に気にせず、紅茶を飲んでから帰ろうと思って紅茶を待ちながら外を眺めていた。今日で、丁度俺がこの仕事に就いてから4年が経つ。喜ばしいことなのかは分からないが……


ダンッ!パリッン!


突然、体の力が抜けて椅子から体が落ちた。つまらない思考が停止し激痛が体中を巡った。俺は瞬時に自分の身起きたことを理解できた。


俺は自分の胸を見る。胸からは赤い液体がダラダラと流れ出ていた。心臓を撃たれたかと思ったが運が良いことに僅かにズレている。


「外したか」


声の先には無表情に俺を見る親父の姿があった。しかし、その手には銃はない。窓が割れているところを見ると他のスナイパーに撃たせたようだ。


俺は、嫌な予感を感じ、激痛に耐えながら聞く


「……何故…俺を殺す…? 」


「影月家掟3条、家族内に同じタイプの人間が居てはならない。つまり、お前と同じスナイパータイプでよりいい人材が家族で見つかっただけのことだ。わかったか?お前はもう用済みなんだ。せいぜい後継ぎに殺されることを喜べカミト」


どうやら、嫌な予感は当たったようだ。元々、今回の依頼に違和感は感じていた。僅かだがいつもより多い情報量、難易度が低い依頼。マスターの対応の素っ気なさ、そして、愛する妹の表情の僅かな曇り。

どれも、僅かな変化だ。僅かな変化だからこそ嫌な予感がしたがまさか、こんな形で当たるとは……4周年には喜ばしくないことだ


俺は口の中に忍ばせて置いた薬を親父にバレないように噛み砕き、倒れたまま笑った。激痛など忘れて大声で、狂ったように


「フフフフ…フッハハハハハッ!!ハハ、ハッハハハハ」


「狂ったか……まぁいい」


親父は無表情のままそう言って手を挙げる。おそらく妹に止めを刺すよう合図を送ったのだろう。


…………


しかし、いつまで経っても銃声は起きない。親父は痺れを切らして携帯を取り出す。

妹に電話で早く撃つように命令するつもりなのだろう。

だが、


「フフフフ、無駄だ。あいつは撃たない!俺が撃つなと言ってあるからな!」


そう、俺はこの状況に陥ることを少なからず想定していたのだ。妹が10歳なった頃だ。影月家では9歳から訓練が始まり、11歳で自分のタイプ(スナイパー、接近戦と言った種類)を決定する。その一年前のその年に俺は妹に言った。

「もし、お前が俺のことを大切にしていて、殺したくない時に『俺を殺せ』と言われたら……初弾は僅かに急所からズレたところを撃ってくれ。そのあとは何と言われても撃つな。そうすれば俺は決して死なない。約束だ」

つまり、妹は約束を覚えててくれたのだろう。嬉しい限りだ。


俺はゆっくりと立ち上がる。


「何……?」


初めて親父の表情が変わる。恐怖と困惑が要り混じった酷い表情だ。俺に殺されると思っているのだろう。


しかし、俺の胸を改めて見て再び表情が変わる。急所は外れているとは言え、出血力を見れば俺がどうあがいても後少しで息絶えるのは一目瞭然だからだろう。


「死にぞ来ないが……さっさと消えろ!! 」


親父はそう叫ぶと、瞬時にハンドガンを取り出す。

ハンドガンはH&K HK45。弾薬.45ACP。バランスの取れたいいハンドガンだ。だが、パワーは最高級とはいえない、親父の愛銃で無いこと踏まえるとおそらく最後に生きてた場合のみを踏まえて持っていたのだろう。


バン!


銃声が響く。勿論、親父の銃からだ。

いつものならここですぐに死体を確認しにくるしかし、今日はこない。


当然だ。なにせ、


「速度が遅い銃を持ってきたのが運の尽きだったな」


なにせ、そこに俺が銃を持って立っているのだから。


「何故…だ…」


親父の声は震えている、当然だろう。親父と俺の距離は僅か10m。弾薬から考えて弾丸の速度は245m/sさらに親父は、ハンドガンとナイフを得意とする接近タイプの暗殺者。銃口の方向や目線で弾道を見切られないようにするくらいのことは、焦っていようが必ず行うだろう。

つまり、どう考えても避けることはできない。


だが、()には避けることができる。


「残念だったな。俺が特殊なことを忘れて侮ったのだろう。影月家掟4条敵を侮るべからず。掟を破った貴様の負けだ!!」


俺はそう叫ぶと親父が引き金を引くより早く、愛銃の一つであるデザートイーグルを取り出し撃った。


バンッ!


愛銃から重い銃声が響く。


「……」

俺の目の前には胸を赤く染めた親父の姿がある。本当は、暗殺者として死んだかどうか確認したいところだが、どうやらそれは叶わないようだ。


何故なら体の力が再び抜けて、激痛が体中に走っているのだから。


「薬が切れたか……」


俺は激痛に耐えながら呟く。


俺の飲んだ薬、興奮と一時的に体の感覚を麻痺させる麻酔のような効果を持つ薬だ。あれがなければ今の勝利はないだろう。


意識すら徐々に遠いて行く。


こんな早死にするのは嫌だが心残りではないな……守りたいモノは守れた。それ以外に心残りあるとすれば……妹の将来を見守れないことだろう


「愛花……願わくば幸せに生きてくれ……」


「お兄ちゃん!お兄ちゃ……


今、一瞬妹の声が聞こえた気がした。

活動報告は明日あげます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ