幼馴染2・叡智くん2
叡智くんは本を読んでいた
室内は叡智くんの他に子どもはいないのに
隅っこのロッカー前に座って読んでいる
あみ先生と一緒に叡智くんに近づいた
本の表紙は英語で書かれていた
あみ先生が言うように英語が好きというのは嘘ではないらしい
あみ先生が私と叡智くんに仲良くしてほしいと思ったのは
叡智くんが玲くんのように困った子だから
外遊びの時間に室内にいるのが当たり前なくらい
困った子
玲くんと仲良くなった私なら、と期待されている
玲くんのように失望したくなかった
どうすれば叡智くんに愛してもらえるのかわからなかった
男性は視覚で一目惚れをすると聞いたことがある
今の私は
美人な母によく似てかわいい容姿をしている
ぱっちりとした目がかわいいとパパたちによく言われる
髪の毛が少ないことが悩みだが、まだ4歳児なので仕方がない
隣であみ先生が深呼吸をしたのがわかった
「叡智くん?みんなとお外で遊ばないかな!?」
・・・優しく話しかけるというより、気合が入りすぎて元気すぎる問いかけだった
「・・・」
無視
あみ先生はいつものこととばかりにめげずに話しかける
「今日はお友達を連れてきたよ。お隣の組のひなちゃんだよ。ひなちゃんもね、英語が大好きだからいいお友達になれると思うなぁ」
「・・・」
またも無視
お兄ちゃんにはかわいい妹でいればよかった
甘えて頼って
涼くんには少しわがままな妹分でいればよかった
大きくなったら「女」として見てもらえるようにちょっと生意気な態度もとって
可愛いだけじゃ「妹」から抜け出せないから
玲くんにはたった一人の頼れる友達でいればよかった
私には玲くんしか頼る人がいないと思わせて、玲くん自身が私を頼っていることを悟らせないように
叡智くんには・・・
また喋らない