捨てられる
「異母弟?いたの?・・・会ったことないけど」
「俺も会ったことはない」
「なんで?」
静かに答えていた玲くんは大きなため息をついた
「言っておくが、ひなみたいに再婚相手の子どもじゃない。だから会ったこともないし、一緒の家に住んでいたこともない」
「私みたいってなんで知って」
それにその言い方って
「みきが言っていた」
私の気持ちになんて気付きもしない玲くんは続けて言った
こんなの、
こんなこと、重要じゃないといわんばかりに
「・・・そう、それで」
今は玲くんの話を聞こう
ショックを受けている場合じゃない
「父親の愛人の子どもだ。ついでに言っておくが異父兄もいる」
完全に昼ドラの世界だよ
「えっーと、お兄さんは」
何を聞いたらいいのか戸惑っていると苛立った玲くんは早口で答えた
「弟と違って会ったことはある。俺が赤ん坊だった頃は一緒に住んでいた。今は母方の叔父の養子になっているから今でも年に数回会う」
「そ、そうなんだ」
えーと、つまりお兄さんは問題なくて
「弟くんがいることをみきちゃんが知ってたの?」
「あぁ、俺が知らないこともな!」
はき捨てるように玲くんが言った
中学に上がってからは叡智くんのように何事にも動じない受け応えをしていた玲くんが感情的になるのを久しぶりにみた
玲くんは
本当はもっと自由で俺様で
私のせいでそれを押さえ込んでいた
「知らないこと?」
「名前だよ。・・・俺は存在と年しか知らなかった」
「それをみきちゃんが」
「あぁ、ご丁寧に教えてくれたぜ。確認したところ本当だったしな」
「どうやって確認したの?」
「定期的に弟の母親に入金してたんだよ。親父の秘書がしていたら分からなかったが、まさか母親の付き人がしてるとはな。付き人が女で助かったぜ」
嫌な言い方だ
それって
その人を誘惑した聞きだしたの?
「みきちゃんは」
またも、私の言葉を遮り、玲くんは勢いよく立ち上がると
「ひな、俺を慰めろよ!俺はかわいそうだろ?」
と叫んだ
「・・・玲くん、みきちゃんに言われたのは中学のときでしょ。今、悩んでることは別のことなんじゃないの?だから呼び出したんでしょ?」
その言葉で玲くんは少しは冷静になったのか私から望んだ言葉は聞けないと思ったのか唐突に語りだした
「・・・みきが言っていたことが本当になったんだ。高校で転校生が来る。転校生に好かれる。体育の時間にイベントが起こる。そのイベントが起こると来年、弟がこの学校に入学してくるってな」
「あれがイベント?」
事故に見せかけたあれが?
大怪我をしていたかもしれない
あれが?
「ひな、俺言ったよな。この3年間が最後だって。叡智から奪う最後」
そう宣言されてまた2ヶ月も経っていない
「あれ、撤回する」
私は座ったまま、玲くんを見上げる
「俺はお前を選べない」




