昔
「うん、嫌いだよ」
嫌いと言われたのにパパは自分の答えが合っていたことが嬉しかったのか
にやりと笑った
前世の私は愛されていた
普通の両親と姉と暮らし、普通に学校に通い、いじめられることもなく普通に生きていた
小学生のとき、当時の好きな彼のことを仲のいい友達3人に話した
彼とは遊ぶことも多く、一番女子で仲のいいのは私だと思っていた
ある日、彼から友達の真理の電話番号を教えてくれと言われた
疑うことなく、彼の力になれるならと教えた
しばらくすると1人の子が教えてくれた
「真理がさ、石川に告られたんだって、でも、**さ、石川のこと好きでしょ?だから言えなかったみたい」
仲間内で秘密なんてよくないと考えたのか彼女はいいことを教えてあげたといわんばかりだったが、その目は私を見下していた
友達に好きな人を取られてかわいそう、と言いたかったのだ
「ふーん、もう好きじゃないし、別にいいよー」
真理は彼を振ったようだった
中学1年のとき
私は彼の親友と付き合った
友達だった頃のようにうまく付き合えず、三ヶ月ほどで別れたが確かに付き合っていたのだ
中学3年の冬
彼に告白された
電話越しでの告白だった
彼が地元の高校に推薦で決まっていたこと
(私だって地元の高校に推薦で行けたけど、もっとレベルの高い高校に推薦志願をしたが校内推薦で落とされた)
彼が私の親友に告白した後で私に告白したこと
(その後もう1人の私の親友にも告白している)
彼が彼の親友と付き合っていた私に告白したこと
(元彼とは別れてから話していないが)
早くに進学先が決まったからとまだ受験生の私に告白してきたこと
・・・私が一番ではなかったこと
すべてに嫉妬した私は
彼を振った
あんなに好きだった人なのに
その無神経さ
心変わりさに失望した
高校生になったとき
お姉ちゃんの彼氏と親しくなった
こっちはお姉ちゃんの彼氏だからと仲良くしていたのに
彼に告白された
『お姉ちゃん(あいつ)よりお前のほうがかわいい』
と言われた
真理の気持ちがわかった気がした
これは言えない
結局、私はお姉ちゃんに言えなかった
お姉ちゃんは彼との子どもを妊娠した
彼はお兄ちゃんとなった
生まれてきた子どもの父となった
身勝手な私は思ってしまった
お姉ちゃんは私のものを旦那さんにした可愛そうな人
その感情が私を歪めた
私を愛してほしい
(他を見ないで、)
私だけを愛してほしい
(私が他を好きになっても私だけを見ていて、)
なんて最低なんだろう
私に元彼のことを教えてきた彼女と一緒だ
他の女性を自分より貶めることで私は愛されていると感じる
だから
一度、好きになった人を捨てた父は
嫌いだ