幼馴染・玲くん4
いつもの日陰で地面に落書きをする
そうだ、さっきの話を玲くんにしてみよう
寂しがりやな玲くんは
年長になって
他の子と遊ぶことはなくなったけど
いつかきっと
また同じ失敗をする
だから
君は2番なんだよね
「玲くん、ひなね、お姫さまになれないんだって」
「・・・」
だから、なんだとでも言いたげな顔で木を探す玲くん
近くにあったちょうどいい長さの木を渡してあげる
「みきちゃんがね、ひなは可哀想じゃないからお姫さまになれないって言うの」
その木の棒で落書きを始めた玲くんが小さな声で言った
「・・・シンデレラかよ」
そういえば、3人で英語のシンデレラの絵本読んだなぁ
「うん、ひなのお家は中流だからこれ以上貧乏にならないからお姫さまになれないって」
「中流階級、親の真似事か」
だよねぇー、そう思うよねぇー
うちのママは幼稚園のママ友との交流に問題はないみたい
大学からの友達の子どもも多く通っているからかな
それでも住んでいる家や子どもの服装とかで中流と判断されて
上流ぶってる人たちに言われてたんだな
「みきちゃんちは裕福だから、シンデレラにも白雪姫にもなれるんだって」
そんな感じで言ってたよね
まぁ、全部、これが言いたいがための言葉だけど
「だから、玲くん王子さまにならないで」
「は?」
地面に英語を書きなぐっていた玲くんが顔を上げる
「ひな、玲くんとずっと一緒にいたいの。でも、お姫さまになれないと玲くんと一緒にいられないから」
約束だよ
今度は失敗しないために
言葉で縛ろう
「ずっーと、ずっーと一緒にいようね、玲くん」