遊ぶ
年中になった
年中では玲くんと叡智くんと同じ組になって
3人で仲良く遊んだ
他の子たちと仲良くできない玲くんと
もともと関わる気のない叡智くんは
私が間に入らないと
無言で別々の遊びをし出す始末だった
「玲くん、叡智くん、フラフープしよーよ」
「「・・・」」
無言で玲くんは折り紙を
叡智くんは本を
片付ける姿は面白かった
声をかけると大抵、こんな反応で
「いいよ」と答えてくれる
2人はライバルだった
幼稚園の行事を休みがちな叡智くんも
この年の運動会と発表会には参加してくれた
運動会ではかけっこで競い
発表会ではヴァイオリン演奏で競い
どっちが勝っても負けても
睨み合う2人に
「おつかれさまー」
と毎回、声をかけると
睨み合うのをやめるのだから
面白い
玲くんも叡智くんもこの年で家庭教師がついており
幼稚園の後は勉強をするのが普通らしい
幼稚園の後、遊びに誘えば
玲くんは他にも習い事があるみたいで
断られることが多かった
けれど
遊ぶ場所は玲くんの家がほとんどだった
玲くんの家の長い廊下でドミノをしたり、ボーリングをしたり、と楽しんだ
叡智くんは家に誘ってくれることはなかったけど
誘ったらいつでも遊んでくれた
「ひな、ブランコやろーぜ」
「ひな」
2人から差し出される手を握り、
「うん」
ブランコまで走り出す
幼稚園の中で一番楽しい1年だった