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Nコン!  作者: mofmof
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第2コーラス目 「募集!」その1

新連載「Nコン!」第二話目です。続けてお読みいただきまして、ありがとうございます。


 煌輝真湖きらめき まこは、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。

 前途多難の船出にもめげずに、放送局をハイジャックして、全校放送で合唱部入部希望者を募るのだが……。


皆様の感想などお待ちしております!

「相変わらず無茶苦茶だなお前」

 職員室でこってりしぼられた後、4人は下校の途に着いていた。

「ばっかじゃない。なんでわたしまで怒られなきゃならないのよ」

 阿修羅と灯が揃って真湖を責めた。

「ごめ~ん。なんか、急に叫びたくなって」

 と、真湖は二人に謝るが、全く悪びれる様子はなかった。

「しかも、なんで俺のマネするかねぇ……」

 と、阿修羅は遠い目をした。

 それは、ついさっき、真湖の肩を叩いた時に思い出した光景のこと。小学5年の時に阿修羅が友達数名と放送室を占領した時のことだ。悪戯心で放送室に忍びこみ、言いたい放題やったのだった。もちろんその顛末は真湖たちも知っていて、最終的に校長先生にこっぴどく怒られたのだが。

「なんか、急にあの時のこと思い出しちゃってさー」

 確かに阿修羅もその時のことを思い出していた。そして、『全校放送で流しちゃえばいいんじゃね?』なんてことを軽々しく思ったことも確かではあった。だから阿修羅もそれ以上は真湖を責める気にはなれなかった。しかし、それはあくまでも妄想であって、実際にやるようなことではなかったはず。真湖が放送室に向かって走り出した時、嫌な予感はした理由はそこだった。

「でもさ! これで、合唱部員集められそうじゃん?」

「だから、合唱部は無理だって、さっき先生に言われたばかりだべ」


 担任からは、部活の新設は学生の自治ではなく、教職員の判断だと言われたのだ。

『だって、よく、部活って、5人揃えばできるとか聞きますよね?』

 それでも、真湖は食い下がった。

『それは、高校生とかの話でしょ? 少なくともこの中学校では、そういう規則はありませんから』

 と、やる気のなさそうな担任はけんもほろろにそう言った。


「でも、やりたい!って人が沢山集まったら、先生たちだって止められないんじゃない?」

「お前、どんだけポジティブなんだよ。入学早々あんな問題起こしておいて、そう簡単に認められるわけないじゃん」

 さすがの阿修羅も呆れた。

「まあさー、とりあえず、4人は大丈夫なんだからー、あと5~6人くらい集まってくれないかなー?10人くらいいたら、さすがに先生もOK出すんじゃないかなー?」

「4人って、誰のことよ?」

 灯が聞き逃さなかった。

「えー、誰って、あたしと乃愛琉と灯とあっしゅ」

 指折り数えながら、真湖が当たり前のように言った。

「だから、わたしはできないって言ったっしょ!?」

「俺は野球部だっつーの」

 乃愛琉が苦笑いした。

「いいじゃーん。頭数揃えるだけだからー」

「お前、頭数の意味分かってないだろ?」

「とにかく、わたしは合唱部なんて入らないからね」

 頭を抱える阿修羅の横であくまでも冷淡に灯が言い放った。

「それに、掛け持ち無理だろ、ふつー」

「なんとかなるっしょー」

 それでも全くめげないのが真湖流。

「ところでよ、翔にいとどんな約束したんだよ?」

 阿修羅がさっき真湖が叫んでいた「約束」について尋ねた。

「うん。翔平にいちゃんが合唱部にいた時にね、全道大会まで行ったんだって。でも、全国には行けなかったって。だから、あたしが代わりに全国行くって約束したの」

「翔にいでも行けなかったの、お前でできるわけないじゃんよ」

「そんなこと、やってみなきゃ分からないじゃない?」

「お前、合唱舐めてるんじゃないか? さっきも言ったけどな、俺たちのチームだって、空知大会ではいいとこいくけど、全道になったら、全くレベルが違うんだぜ。全国なんて夢のまた夢なんだからな。大体、お前、その……NHKコンクールのこと、どんだけ知ってるんだよ」

 さっきの真湖の言葉から察するに、ほとんど知らないことは承知だった。

「む……」

 これにはさすがの真湖もぐうの音が出なかった。

「じゃあ、調べてく?」

 ちょうど乃愛琉の家の前に着いたところで、乃愛琉が真湖にそう告げた。

「乃愛琉んとこ、パソコンあるんだっけ?」

「お兄ちゃんの使ってるのが居間にあるから。今だったらまだお兄ちゃん帰ってきてないはずだし」

「わたしは帰る。塾あるし」

 灯だけ先に帰ることに。

「したっけ、明日な」

「ばいばーい」

「またね」

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