第18コーラス目「衝撃!」その5
「Nコン!」第18話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、なんとか新入部員も集まり、顧問も決まった。
ようやく、夢への第一歩を踏み出した真湖であった。
皆様の感想などお待ちしております!
一同はそのまま地下鉄に乗って、さっぽろ駅に向かった。
途中、元気のない真湖に乃愛琉が気がついた。
「真湖ちゃん、大丈夫?」
「あ、うん、大丈夫」
心ここにあらずな表情で答える真湖。
「ボクが言うのもなんだけど、真湖ちゃん、元気ないよ」
翔も心配だったのか、そう声を掛けたが、当人も相変わらずの雰囲気で、二人ともにどんよりとしていた。真湖は翔に言葉も返せずにいた。
さすがにあれだけの実力を見せつけられたのだから、仕方ないかとも乃愛琉は思った。全国レベルのハードルの高さは乃愛琉にとっても予想以上だった。
同じく、現や栗花落もあまり表情が冴えない。雅が気にして現に声を掛けた。
「現さんも、かなりショックだったかい?」
「ですね」
現は言葉少なく言った。
「煌輝さんたちに良い薬になればと思ってたんだけど、それ以上に君たちにも衝撃が強すぎたかな?」
横で栗花落が苦笑いした。
「いえ、むしろ現実を見せてもらって、具体的な目標が見えた分、やりやすいです」
「君も、思った以上に強がりだね。でも、部長はそうじゃなくっちゃ」
雅はくすりと笑った。
「まだ始まったばかりですし、ここで諦めてちゃ、ここまで苦労した甲斐がありませんから」
現はちょっと無理して微笑みを返した。そりゃそうだと雅も頷いた。
神宮が案内したのは、札幌駅前のホテルの中のレストランだった。すでにお昼休みらしく、扉は閉まっていたが、神宮が声を掛けると中から従業員らしき人が扉を開けた。
「え、ここ……が、お知り合いの?」
乃愛琉はそんな神宮を見て驚いた。どうみても高級そうなレストランだった。
「うちの親戚がやってるんですよ」
「このレストランですか!?」
「いや、このホテルを、だよ」
あっさりと言う神宮に一同は唖然とした。札幌駅前の高層ビルに入ったそのホテルは30階は超す高さだろうか。少なくとも石見沢にはこの高さの建物はない。
「元々地元の会社が運営していたんだけど、10年くらい前に経営難で倒産したらしく、ボクの叔父の会社が買ったんだってさ」
気のない返事で神宮は答えた。
「すごいですね、ホテル経営とか」
雅が思わず敬語になった。
「ボクがやってるわけではないんで……あはは」
神宮が謙遜なのかどうか判断つかない言い方をした。
「あ、来てますか?」
神宮が従業員に声を掛けると、「はい」と返事をして、皆を奥の部屋に誘導した。従業員が奥の部屋を開けると、中から一人の女の子が飛び出して来た。
「知毅お兄様!」




