第17コーラス目「逢引!」その4
「Nコン!」第17話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、なんとか新入部員も集まり、顧問も決まった。
ようやく、夢への第一歩を踏み出した真湖であった。
皆様の感想などお待ちしております!
というわけで、ダブルデートは札幌行きになり、トリプルデートになった。しかも、石見沢駅前でたまたま札幌に買い物に出かけようとしていた英先生に雅が捕まり、4カップルという奇妙な一団ができあがったのである。
「本当、奇遇ですねぇ」
英(28歳独身)が嬉々として、雅に話しかけた。
英婚活メモによると、雅は35歳独身。東京の音大を出て教員資格をとり、東京で教鞭をとっていたが、実家の事情で帰郷したばかり。校長の親戚筋ということもあってこの学校に用務員として迎えられたという情報。先日入院した音楽教師に代わって臨時教師にという話もあり、あとは市教育委員会の判断待ちという噂である。
若干精彩に欠けるところもあるが、よく見れば整った顔立ちで、年上好みの英にとっては絶好のターゲットであった。なにせ、東京の音大出というこんな田舎町では滅多に拝めないエリートである。
「そ、そうですね」
雅は困ったように返事した。
「結局、合唱部の顧問お受けになられたんですね。早速引率とは、大変ですねぇ。それで……」
教室ではやる気のなさそうな雰囲気を常に醸し出している担任が、今日はまるで別人のように雅に迫っているのを横目で見ながら向かいを見る。
すっかり騙し討ちにあった神宮は、気分を害しているかと思えば、楽しく乃愛琉と歓談中だった。話を聞いていると、なんでも札幌には親戚が多く、訪れることが多いらしい。逆に滅多に札幌に行かない乃愛琉に色々と自慢話をするのが楽しいようだ。
かと思えば、いつも何があっても楽しげな翔が今日は大人しい。ずっと車窓の外を見て、真湖と話をしようともしない。
金曜日の夜、現と札幌行きを決めたことを翔に伝えた後くらいから、彼の表情は暗いままだった。
もしかすると、札幌にはあまりいい思い出がないのかも知れない。翔には悪いことしてしまったのだろうかと真湖は少し後悔した。
また隣のボックスを眺めると、英アタックにすっかりげんなりしている現と栗花落がいた。二人は参考書片手に勉強している振りをしているが、どう見ても頭に入ってきてはなさそうである。
真湖は心の中で両手を合わせて合掌した。




