表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nコン!  作者: mofmof
68/98

第16コーラス目「顧問!」その4

 「Nコン!」第16話です。


 煌輝真湖きらめき あまこは、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。

 前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、うつつ先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。

 仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、新入生歓迎会での発表も終わり、なんとか新入部員をゲット。ようやく合唱部活動開始?と思いきや……?


 皆様の感想などお待ちしております!

「あ、あの!」

 真湖が大声を上げた。

「合唱好きなんですよね? だから、この前も玄関先で声かけてきて! 新歓見てくれたですよね! そうですよね!?」

 真湖は直感でそう言ってみた。新歓の日に玄関先で声を掛けてきた時、『合唱部頑張って』と彼は言った。自分たちが合唱部であることを知っていた。多分新歓の舞台を見ていたのだろう。きっとこの人は合唱が好きなんだ。だから、隠れてあの舞台を見ていたに違いない。

「いや。ボクは、その……素人だから」

 合唱が好きということは否定しなかった。やっぱり、あの舞台を見てくれていたんだ。この人は合唱が好きなんだ。そう真湖は確信した。

「お願いします! 顧問になってください!」

 真湖はソファから降りて、土下座した。栗花落もそれを見て、慌てて隣で土下座した。

「お願いします」

 二人が土下座を始めると、雅はおどおどし始めた。

「いや、ふたりとも、そんな、こと、やめてください。起きてください」

「嫌です! 用務員さんが顧問になってくれるまで、やめません!」

 真湖は強情にそう言った。雅は立ち上がって、真湖の腕を掴んで、立ち上げさせようとした。

「起きてください。そうじゃなと、ボクは……」

 その瞬間、雅のイメージが真湖に流れ込んだ。



 大ホール。

 石見沢では見たことないくらいの大ホールだ。

 そこには数え切れないほどの大勢の生徒たち。その中に彼はいた。まちまちの制服の生徒達は一斉に同じ曲を奏でていた。何千人という生徒たちが同じ歌を歌っているのだ。何千という声が渾然一体となって大ホールに渦巻く。

 それは以前、従兄弟の翔平から受けたイメージにそっくりだった。

 そして、その曲は……。



 腕を掴まれたまま、真湖はされるがままに立ち上がった。

「あそこに連れて行ってください!」

 立ち上がったと思うと、雅にそう行った。

「え?」

 雅は呆気にとられた。

「あの場所に行きたいんです。お兄ちゃんが教えてくれたんです。全国に行ったら、すごい体験ができるって。用務員さんも、行ったんですよね? あそこに?」

「え、全国って、Nコンってことかい?」

「そうです。Nコンです! あそこに行って、みんなで『大地讃頌』を歌うのが夢なんです!」

 雅は一瞬言葉を失った。

「Nコン全国ときて、大地讃頌ですか。参ったな……」

 雅は真湖の腕を掴んだ手を離した。

「君、いいとこ突くねぇ。

 あれはね……」

 雅は黒縁眼鏡をきゅっと上げてから、ふふっと笑った。自虐の笑みとでも言うのか、悲しみの含まれた笑いだった。


「……泣くよ」


 そう言って、雅は真湖に微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ