第16コーラス目「顧問!」その2
「Nコン!」第16話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、新入生歓迎会での発表も終わり、なんとか新入部員をゲット。ようやく合唱部活動開始?と思いきや……?
皆様の感想などお待ちしております!
「あー、でも、その、ダブルデートとかってのはいいアイディアじゃないか。ふたりっきりにさえさせなきゃ、ただ一緒に外出してるってだけだしな」
「ま、まあね」
「その程度で入部してくれるってのなら、それもアリなのかなー?」
「あたしはヤだなー」
「おいおい、それこそ、お前だって、言ってること違うじゃねーかよ」
「んでも……」
「その、ダブルデート、現先輩に行ってもらえばいいんじゃね? 現先輩って、栗花落先輩とつきあってんだろ? だったら、二人に行ってもらえよ。しかも最初は現先輩指名だったんだろ? なら、いいじゃん」
「現先輩はダメよ。これ以上迷惑かけらないし」
「そもそも、神宮先輩連れてきたのも現先輩じゃないか。大体、お前、一緒に行くとしたら誰と行くんだよ?」
阿修羅が少し前のめりになって、乃愛琉と同じことを聞いた。
「あ、あたしは……その……」
真湖が躊躇していると、
「エンリコ翔か」
と、阿修羅が直球を投げてきた。
「え、あ……」
真湖の狼狽えぶりを見るに、図星だったようだ。
「ま、同じ合唱部だし、どうせお出かけ程度の話だろ。いいんじゃね。」
「あっしゅは、いいの?」
「いいもなにも、俺の口出しすることじゃねーし。どうせ土日だろ? 俺、練習で行けないし」
阿修羅にしてみれば、何故自分に許可を求めるのか。真湖にしてみれば、何故自分に関係ないような言い方をするのか。まだ幼なじみという名前の二人の関係は徐々に変化してきているのか、思った以上に複雑で、双方にとって納得のいく回答を導き出してくれることはなかった。
しかし、裏を返せば、阿修羅は自分が候補なのをつい口を滑らした結果になったわけで。真湖にしてみれば、それなら、時間さえ合えば行くの?と聞きたいところではあったが、それを聞く勇気はまだなかった。
「じゃあ、あっしゅは乃愛琉の意見に賛成ってことで、乃愛琉に言っておくわ」
「なして、そういうことになんの? だから、俺は個人的には反対って」
「もう、わかったもん」
「なにがわかったんだよ。よくわかんねー」
「おやすみ」
「はいよ、おやすみ。あー、さむ」
阿修羅も呆れるような話の締め方をする真湖だったが、家に入る直前に振り向き、
「あっしゅ」
と、阿修羅を呼んだ。
「んん?」
「ありがとね、話聞いてくれて」
そう言って、手を振った。
「ん、ああ、したっけ」
阿修羅もそれに応えて家に入っていった。




