第15コーラス目「創部!」その3
「Nコン!」第15話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、新入生歓迎会での発表も終わり、なんとか新入部員をゲットしたが、目標には届かなかった。さて、真湖たちはどうするのか?
皆様の感想などお待ちしております!
「うちの子、本当にいいですか? よろしくお願いしますね」
現たちが職員室に向かった後も、櫻の母は部員達にペコペコと頭を下げていた。どうやら全員に挨拶するつもりらしい。当の本人は、すっかり気に入ったと見えて、真湖にべったりくっついていた。
櫻の前でさっきの話を蒸し返すのもなんだと思い、真湖は櫻に問いかけた
「櫻ちゃんって、どんな歌が好きなの?」
「んと……」
櫻は少し考えてから、
「お歌なら、なんでも……好き」
「そ、そう? じゃあ、最近で一番好きな歌は?」
「さい……きん?」
「そ、今、櫻ちゃんが一番好きな歌」
「こーか」
と言ったかと思うと、またさっきのように校歌を奏で始めた。
「あ、すみませんね、気に入ると何度でも歌い出すんです」
櫻の母が恐縮そうに言った。
「いえ、あたし、櫻ちゃんの歌が好きですから」
「す……き?」
ふと、櫻の歌が止まった。
「ん?」
「まこ、さくらの……うた……すき?」
「もちろんだよ、さっきも、いまのも大好きだよ。櫻ちゃん、上手だもん」
「あり、がと」
櫻はモジモジして、ふと真湖から離れて、母の元に戻った。
「……」
戻ると、櫻は愛とこそこそ話を始めた。
「あー、何話してんのかなー、バカじゃんあいつとか言ってんのかなー」
「そんなこと言ってるわけないじゃない」
不安げに呟く真湖に、乃愛琉がそう諭した。真湖と櫻、お互いに遠くで見つめ合いながら友人とささやき会話を続けるという奇妙な風景がしばらく続いた。
「出してきたよー!」
そんな時に、威勢良く現が教室に戻ってきた。
「受理されたんですか?」
すぐに如月が食いついた。
「もっちろん」
如月バリに現がVサイン。
「やったー!」
音楽室中が大騒ぎになった。
「良かったね」
「やったね」
「よろしくな!」
それぞれに感激の声を上げた。特に真湖は涙ながらに現に抱きついた。
「先輩ありがとうございます! ありがとうございます!」
「煌輝さん、よかったね。これからも頑張ろうね」
二人は抱き合いながら、喜びを分かち合った。横で栗花落と乃愛琉が二人を温かい目で見つめた。今回の出来事で一番苦労したのは現だったはず。おかげで真湖はようやく夢の一歩を踏み出せたのだ。
ただ、帰ってきた栗花落の表情が冴えないことに乃愛琉はなんとなく気がついていた。




