第15コーラス目「創部!」その2
「Nコン!」第15話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、新入生歓迎会での発表も終わり、なんとか新入部員をゲットしたが、目標には届かなかった。さて、真湖たちはどうするのか?
皆様の感想などお待ちしております!
「神宮先輩、なにか他の部活やるんですか?」
乃愛琉が見かねて口を挟んだ。神宮の目が一瞬瞬いた。
「いや。でも、こう見えてもね、ボクは今年受験生なんだよね。勉学は学生の本分だしね。とは言っても、前にも言ったけど、君たちが、どーーーーしてもっていうなら、入部、考えないでもないんだけどね」
神宮は深く深く伸ばした口調で言った。どう見ても演技である。
「どうしたら、考えてもらえるんですか?」
やっぱり苦手だこの人と思いつつ、真湖のことを思うとつい口出ししてしまう。
「そうだねー」
と、神宮は顎に手を当てて、なにやら考え込んでから、
「現くんにデートでもしてもらおうかなー。ああ、君でもいいけど。なんてね。冗談冗談」
と、手をひらひらした。
「現先輩はダメです、カレシいますから。わたしならいいですよ」
「へぇ、いいのかい?」
「デートしたら、入部してくれるんですか?」
「まあ、考えても……」
「考えるだけならダメです。デートしたら、入部してください」
「はい、はい、わかったよ。じゃ、そうしようか」
「ダメに決まってるでしょ、そんなこと。人の弱みにつけ込んで。そんなんで入部するってなら、わたしがお断りよ」
さすがに現が放ってはおかなかった。
「そーよ、そーよ」
真湖が尻馬に乗る。
「別におつきあいするてわけじゃないですし。わたしから神宮先輩をデートに誘うってことではダメですか?」
「いや、そういう問題じゃなくって」
毅然と反論する乃愛琉に現はたじろいだ。こんな子だったっけと。
「うん、わかった。合歓くんだったっけ、気に入った。君、かわいいだけじゃないね」
そう言うと、神宮はまたさっきの机に戻って、さらさらを自分の名前をクラスを書いて、現に渡した。
「じゃ、入部よろしく。どっちにしてもね、今日は用事があるので、先に帰らせてもらいますね、部長?」
受け取った現は苦虫を潰したような顔をした。そのまま黙って神宮が出て行くのを見送った。
「ちょっと、乃愛琉、何考えてるの?」
真湖が詰問する。
「別にいいじゃない? 一度デートってものしてみたかったのもあるしね」
珍しく真湖に反抗するような言い方をした。
「いや、だって……」
「だから、神宮入れるの反対だったんだよな」
「だけど、仕方ないって言って、蒼斗だって最後までは反対しなかったじゃん」
「もう、この話はやめませんか?神宮先輩は入部されたんだし。わたしがそれでどうするかとかは合唱部とはもう関係ないですから」
これ以上部屋の雰囲気が悪化するのを、乃愛琉は必死で止めようとしているのだった。
「わ、分かったわ。じゃあ、みんな、入部届けに記入終わったらわたしのとこに持って来て」
そうした乃愛琉の気持ちを読んでか、現がそう言うと他の部員も口出しをやめた。真湖もまだ言い足りないことがあったが、今はやめておくことにした。
順々に入部届が集まり、全部で21枚が揃った。これが復活合唱部の最初のメンバーである。
「じゃあ、早速行ってくるね」
そう言って、現と栗花落は向かいの職員室へと出て行った。




