第14コーラス目「勝負!」その1
「Nコン!」第14話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部でNコンの全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、新入生歓迎会での発表も終わり、なんとか新入部員をゲットしたが、目標には届かなかった。さて、真湖たちはどうするのか?
皆様の感想などお待ちしております!
<主な登場人物>
煌輝真湖:本編の主人公
中学1年生。従兄弟のお兄さん(煌輝翔平)に憧れて合唱部員を目指して中学に入学する。なんにでも興味を示す、好奇心旺盛。興味津々、支離滅裂。血液型B型。黒髪長髪ポニーテール。
合歓乃愛琉
真湖の親友。真湖と一緒に合唱部に入る予定。
紺上灯
真湖の幼馴染み。長髪黒髪の美人。帰宅部。
剣藤阿修羅
真湖の幼馴染みで家が隣同士。野球部。
塩利己翔
真湖のクラスメート。札幌から引っ越してきた。イタリア人とのハーフ。母子家庭。真湖と一緒に合唱部に入る予定。
現瞳空
中学3年生。廃部前の合唱部にいたことがある。真湖に合唱部創部を諦めさせようとしたが、逆に創部に力を貸すことに。
栗花落蒼斗
現と同じく元合唱部。現瞳空と付き合っている。
神宮知毅
キザな3年生。去年もNコン参加。
如月友夏
外園諒子
保家寿
射原 悠斗・悠耶
中学2年生。去年、各クラス割り当てで、Nコンに出場している。
新歓の日、待てど暮らせど、結局新入部員は10名には達しないまま、結局その日は解散となった。
真湖と乃愛琉は帰宅の途につくべく、生徒玄関から出た。翔は用事があると言って先に帰っていた。
「明日はもいっかいクラスのみんなに声かけてみよう」
このままだと、暫定合唱部のままになってしまう。もしくは再度廃部ということにもなりかねない。
「そうね。でも、小林くんと美馬くんが入ってくれたのはラッキーだったね」
「そうだね。明日は小林くんと美馬くんにも手伝ってもらおう?」
「そうね……あと3人かぁ」
最初が良かっただけに、あと3人というところで止まってしまったのがとても悔しかった。あのまま10名に達してくれていれば、と思わないでもない。
「あ、あれ?」
乃愛琉がふと前を見て止まった。
「ん?」
真湖が乃愛琉に目線を合わせると、どこかで見たことのある姿が。教師としては比較的若い、なんともうだつの上がらない風体の男性だった。ただ、作業着のような物を着ているので、教師ではないのだろうか。
「ああ、君たちは……あの時の」
その男性は被っていた帽子を脱いで、二人に笑顔を向けた。なんともぎこちない笑顔ではあったが。
「あ、あの時の用務員さん!?」
それは、入学式の翌日、上級生の3人から絡まれた時に助けてくれた用務員だった。
「あ、あの時は大変お世話になりました! 乃愛琉行こう……」
真湖は深々とお辞儀をしてから、慌てて乃愛琉の手を引っ張って行こうとした。あの上級生の件は、あまり触れられたくはなかったからだ。
「あ、あの……」
びっくりしたように、用務員の男性は二人に手を差し伸べたが、止めた。
「合唱部員だったんだね、君たち。あの、その……頑張ってね!」
大声でそれだけ二人に言うと、そのまま二人が走り去るのを見守った。
「ちょ、どうしたの、真湖ちゃん?」
校門を過ぎた辺りで乃愛琉が真湖を止めた。
「だって、あの時の3年生の話思い出されると困るもん」
「でも、なんか、言いたかったみたいだよ、あの公務員さん。それに、合唱部って……どうして知ってるんだろう?」
「あの時、合唱部の話したからじゃないかな?」
「でも、頑張ってって」
そう言われると、不思議な感じもする。あの時の話では、あの3人から合唱部をつくるなと言われた話はしたように思うけれど、自分たちが合唱部員だという話ではなかったように思える。
「んー、そうだねー、なんか変な感じ」
とは言っても、今更戻る訳にもいかず、二人はとぼとぼそのまま歩き始めた。




