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Nコン!  作者: mofmof
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第13コーラス目「新歓!」その4

 「Nコン!」第13話です。


 煌輝真湖きらめき まこは、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。

 前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、うつつ先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。

 仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、いよいよ、新入生歓迎会の発表の場に立つ。


 皆様の感想などお待ちしております!

「終わったー!」

 音楽室に戻った途端に栗花落が叫んだ。

「終わったんじゃないでしょ? 始まったの。勝負はこれからだもん」

 新入生歓迎会は無事に終わった。即席合唱部の割には校歌も上手く歌えた。しかし、どんなに上手く歌えても新入生が入ってこないことには何の意味もない。

 最前列の神宮の姿もしっかり新入生(特に女子)には焼き付いたことだろう。これに騙される女子生徒がどれくらいいるだろうか。

「でも、結構こっち見てる人いましたよ。全く興味ないって人も結構いたけど」

 射原悠斗<<いはら ゆうと>>がフォロー気味に言った。双子の悠耶<<ゆうや>>もそれに頷く。

「結果はもう間もなく見えてくると思うけど」

 歓迎会の後は、部活の下見となっていて、興味のある部に新入生が回ることになっている。この後新入生がこの音楽室の扉を叩くことがなければ、敗北が確定することになる。また、数名が来たところで、校長の条件である、新入生10人を越えなければ、同じことだ。

「あ、そう言えば、校長先生の言っていた新入生10人って、あたしたちのこと入るんですかね?」

 真湖が手をぽむと叩いて現に聞いた。入れば、あと7人になる。

「バカね、入らないに決まってるでしょ。世の中そんなに甘くはないわよ」

 現はけんもほろろにそう言った。

「そっかー。じゃあ、乃愛琉とエンリコくんを後にしておけばよかったー」

 後悔先に立たずと、真湖は凹んだ。

「合歓さんと、エンリコくんがいなかったら、わたしが断ってたわよ」

 さらに現が追い打ちをかける。

「ぶちょー」

 真湖がぶーっと顔をふくらませた。

「大丈夫、安心して、絶対10人は来るから。……うん、きっとね」

 現は自分に言い聞かせるかのようにそう言った。

「あたし、客寄せしてきま……」

 いてもたってもいられない真湖は、そう言って、立ち上がろうとした。

 その時扉をノックする音がした。

「あのー。いいですかー?」

 1年生らしき女子が2、3人、扉の間から顔を出した。

「もちろん! 入って、入って」

 最初に飛び出したのは如月だった。3人の1年生を掠うかのように音楽室内に引き寄せた。それに続いて、他の部員達も扉に寄る。皆、顔はにこやかだが、内心穏やかではなかった。

「入部希望?」

 現が優しく迎える。いきなり女子3人とは幸先が良い。神宮作戦当たったか。

「はい。わたしたち、3人共、北小出身なんですけど、昔から歌うの好きで。合唱部があったら入りたいねって言ってて。でも、合唱部廃部になったの聞いてて、残念だなって。でも、あの全校放送聞いて、部活できたら、一緒に入ろうねって言ってたんです」

「は? 全校放送って、あたしの?」

 真湖が慌てて自分を指さした。

「あ、あれ、あなただったの? 煌輝さんだっけ?」

「そうそう、あれ、あたし」

「そっかー。まさか今日1年生が歌ってるなんて思ってなくって。そんなんだったら、もっと前に声かけておくんだったなー」

「いやいや、今でも全然遅くないから。ようこそ、合唱部へ!」

「うん、よろしくね。わたし、1組の小島洋子って言います」

「同じく1組の佐々木緑です」

「2組の伊藤玲です」

「わたしは部長の現です、ようこそ新生合唱部へ」

 現は部長らしく挨拶した。

「すんませーん。1年2組の中島次郎って言います。入部いいですか?」

「同じく2組の田中猛でーす。よろしくお願いしますー」

 続々と入ってくる1年生。迎える部員達は乱舞した。あっという間に5人。目標の半分があっさりと埋まったのだ。

「煌輝さんいる?」

 続いて顔を出したのは、真湖と乃愛琉が見知った顔だった。

「はい?」

「あー、俺、俺。入部いい?」

「えっとー」

 同じクラスの男子だった。名前は確か……

「小林くんだったよね? 入って入って」

 乃愛琉が賢く小林を呼んだ。

「美馬も一緒なんだ。ほら、一緒に入れよ」

「美馬くんも一緒に入ってくれるの? 嬉しい、ありがとう」

 小林は小林一馬と言った。初日の校内放送事件以来、真湖の取り巻きしていた男子生徒の一人だった。美馬は美馬義人といい、小林といつもクラスでもつるむことが多かった。

「小林くんたちが合唱部に興味あるとはねー」

 あの日クラスのみんなに声をかけた時には特に反応しなかった二人だった。今思えば、『応援だけはしてやる』は小林の言だったように思う。

「煌輝さん、今日格好よかったぜ。俺も舞台に立ってみたいなって思ったよ」

「ホント? ありがとう。一緒に頑張ろうね」

 真湖は大きな笑顔で応えた。

「合歓さんも、良かったよ」

 美馬は若干うつむきがちにそう言った。

「そう? ありがとう。これからよろしくね」

 音楽室は、久しぶりに活気を取り戻したかのようだった。それからもしばらく部員達はわいわいと盛り上がり、自己紹介やら、今日の校歌の感想やらを言い合ったりした。


 しかし、新入生の合唱部員が目標の10名にあと3人となったところで、ぱたりと音楽室の扉を叩く者がいなくなった。

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