第13コーラス目「新歓!」その1
「Nコン!」第13話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
仮部員の先輩達と一所懸命練習の末、いよいよ、新入生歓迎会の発表の場に立つ。
皆様の感想などお待ちしております!
<主な登場人物>
煌輝真湖:本編の主人公
中学1年生。従兄弟のお兄さん(煌輝翔平)に憧れて合唱部員を目指して中学に入学する。なんにでも興味を示す、好奇心旺盛。興味津々、支離滅裂。血液型B型。黒髪長髪ポニーテール。
合歓乃愛琉
真湖の親友。真湖と一緒に合唱部に入る予定。
紺上灯
真湖の幼馴染み。長髪黒髪の美人。帰宅部。
剣藤阿修羅
真湖の幼馴染みで家が隣同士。野球部。
塩利己翔
真湖のクラスメート。札幌から引っ越してきた。イタリア人とのハーフ。母子家庭。真湖と一緒に合唱部に入る予定。
現瞳空
中学3年生。廃部前の合唱部にいたことがある。真湖に合唱部創部を諦めさせようとしたが、逆に創部に力を貸すことに。
栗花落蒼斗
現と同じく元合唱部。現瞳空と付き合っている。
神宮知毅
キザな3年生。去年もNコン参加。
如月友夏
外園諒子
保家寿
射原 悠斗・悠耶
中学2年生。去年、各クラス割り当てで、Nコンに出場している。
いよいよ新入生歓迎会の日がやってきた。午前中は授業をやり、午後からの授業の代わりに新入生歓迎会が行われる。そのため、部活動に関係ない2、3年生はすでに下校している。
にも関わらず、真湖達が音楽室に向かう途中、校内にはかなりの数の2、3年生の姿が見うけられた。
「ずいぶん、2、3年生残ってますね」
音楽室に入るなり、真湖がそう感想を述べた。
「うちの学校、結構部活動盛んな方だからね。その分、新入生獲得競争も熾烈なのよ」
現<<うつつ>>がそう説明する。
「そうなんですか、知らなかった……」
いざそう言われるとなんだか緊張してきた真湖だった。
「真湖ちゃん、大丈夫。あんなに練習したんだし」
乃愛琉<<のえる>>がそんな真湖を励ました。確かに、先週から始まった練習では、現からかなりしごかれ、真湖も乃愛琉も精根尽き果てた感はあった。
「これだけ練習したんだから、絶対成果あるよね?」
うんうん、と、乃愛琉が真湖を宥める。そこに、
「みなさん、準備はいいですかネ?」
と、校長が音楽室に入ってきた。
「わ、校長!」
「校長だ」
「校長先生だ」
音楽室がわっとざわめいた。
「今日は勝負の日だネ。みんな頑張ってネ。校長としては無理だけど、個人的に応援してるネ。そして、OBとしてもネ」
「校長先生、ありがとうございます。頑張ります」
現はしっかりと頭を下げて校長にお礼をした。倣うようにして、部員が全員頭を下げた。
「じゃ、舞台の袖でしっかり見させてもらうからネ、みんなの成果をネ」
校長は手をひらひらさせて、また音楽室の扉から出て行き、向かいの校長室に引っ込んだ。
「え、校長先生って、合唱部のOBだったんですか?」
そのことは聞かされていなかったらしい、如月と外園が現に聞いた。
「うん、今の教頭と一緒に合唱部だったんだって。あ、ごめん、言ってなかったっけ」
「え、いえ。大丈夫です。じゃあ、それで校長先生、味方になってくれたんですね。それで校歌か。何か思い入れあるのかもですね」
「でも、他の先生方の手前、何もないのに創部ってわけにもいかなかったんで、今回こういう条件がついてきたんだけどね。思い入れがあったから、校歌指定だったんだと思うし」
「新入生10人獲得って言ったら、大変ですもんね」
「ん、まあね」
「味方って言っても、結構高いハードルつきつけられちゃいましたね」
如月はさらりとそんなことを言い放った。
「で、でも、現先輩なら、できるかも……って、思ってくれたんじゃないかな」
そんな如月の言葉を外園がフォローした。
「そう言ってくれると、少し気持ちは楽になるよ、ありがとう外園」
現がそう言うと、外園は少し紅くなって、如月の後ろに隠れるようにした。
そんなやりとりを見て、今更ながらに、大変な状況だということに気がついた真湖。さらに緊張が高まる。
「まあ、何にもしないで神頼みも良くないし、やれることはやってみよう」
現は、両手で頬をぱんぱんと叩いた。
「そうだね」
栗花落<<つゆり>>がそれに同意する。
「じゃ、行こうか」
「はい」
揃って現に返事が返る。一週間に満たない即席合唱部としては、綺麗なハモりになっていた。




