第12コーラス目「校歌!」その4
「Nコン!」第12話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
与えられた課題である校歌を練習するために、現部長(仮)のシゴキが始まった!
皆様の感想などお待ちしております!
「先輩方もみんないい人で、合唱部うまくいきそうで、嬉しいです!」
「そうねー」
如月は一瞬空を見上げた。
「そう言えば、あの神宮って、先輩、歌上手いですね」
そこに、乃愛琉は感心したように言った。
「ああ、神宮……先輩ね。上手だねー。なんか、両親も音楽関係の仕事してるとかで、うちの学校でも有名人だよ。……まあ、いろんな意味で」
如月は奥歯に物が挟まるような言い方でまた目を逸らした。
「誤解されやすいタイプだから、神宮先輩って」
真湖も乃愛琉も、なんと返答したらいいのかと躊躇っている間に、
「あ、でも、先輩、誰にでも甘いこと言うから、気をつけた方がいいよ。ホント。なんて言うか、軽いっていうのかな」
乃愛琉は明らかに見た目通りなんですがとは言えず、
「如月先輩、お詳しいんですね」
と言うのが関の山。
「あー、わたし、つきあってたことあるんだ、去年。Nコン終わったあと、ほんのちょっとだけだけど」
意外な告白。今日は意外続きだなと真湖は驚いた。
「あー、今は違うけどね。今はつきあってる人いないんじゃないかなー。あはは」
如月は両手をブンブン振った。1年生3人の空気を読んで、なんとか誤魔化そうという雰囲気が見え見えだった。
「あ、先輩と言えば、全然違う話ですけど、如月先輩って、『芳田先輩』って知ってます? 『芳田瑞穂先輩』」
「よしだ?」
乃愛琉の渡した船に乗った如月はあごに人差し指を当てて考えこんだ。
「合唱部だった人?」
「はい、そうです。でも、如月先輩が入学する前に卒業しちゃったみたいなんですけど」
「OGもよく遊びに来てたから、何人かは知ってるけど、よしだ先輩っていう人は知らないなぁ」
「そうですか。すみません」
「ううん。あ、あたしこっちだから、じゃ、また来週ね」
交差点にさしかかる前に、如月はダッッシュして、信号ギリギリに横断歩道に駆けて行った。
「なんか、賑やかな人だね」
翔が感想を漏らした。
「乃愛琉、どうして芳田先輩のことを?」
翔と分かれてから、真湖が聞いた。
「ん、ちょっとね。もしかしたら、知ってるかなって」
「でも、合唱部のアルバム見たら、載ってなかったのって、如月先輩もまだ入学する前だったじゃない?」
「うん、分かってる。知ってるとしたら、現先輩しかいないって。でも、現先輩に直接聞くのって、ちゃんと調べてからの方がいいかなって」
それに、あのタイミングで聞けば、あの質問内容について如月先輩もいつまでもは覚えていないと思ったからだった。
「まあ、そうか。そうね」
「でも、如月先輩も知らないってことは、違ったのかもよ? 本当に、芳田先輩だったのかな?」
「うん、確かに、そう聞いたもの」
真湖があの時確かにリーダーから感じ取ったのは、その名前だった。
「まあ、あのことはいいんじゃない? あれから、あの先輩たちも現れないし」
「うん、まあ、そうなんだけど。怖い目にあったのは、真湖ちゃんだし」
「あたしは大丈夫だよ。また今度きたら、キン○マ蹴ってやるんだから!」
「真湖ちゃん、ちょっと!」
乃愛琉は慌てて、周りを見た。が、ちょうど誰も往来にはいなかったので、安心して苦笑いした。
二人はいつもの曲がり角でバイバイして別れた。
新歓まであと4日。




