第11コーラス目「部員!」その4
「Nコン!」第11話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、色々障害がありつつも、現先輩の協力もあり、校長先生に条件付きながら、合唱部の創部を認められた。
与えられた課題である校歌を練習するために、現部長(仮)のシゴキが始まった!
皆様の感想などお待ちしております!
「ねーねー。エンリコくんって、ハーフなの?」
練習開始前、休憩時間に如月が翔に声を掛けてきた。
「そうですよ」
翔はいつも通りに微笑みながらそれに答える。
「へー。何人なの?お父さん? お母さん?」
「パパーがイタリア人。ママーは日本人ですよ」
「へー。イタリア人なんだー。それで、エンリコっていうの? すごい、インターナショナルって感じねー」
と、翔と如月が盛り上がっている時、神宮が乃愛琉のところにやって来た。ちょうどその時、乃愛琉は真湖の寝癖を直すために、真湖を座らせて、髪を梳いてポニーテールをし直しているところだった。
「合歓さんって言うんだ?」
「はい? そうですけど」
乃愛琉は微笑みで返した後、すぐに真湖に向かった。できるだけ先輩に対して失礼にならない程度の応対だった。第一印象が最悪だったのと、さっきの茶化しが乃愛琉にそうさせた。
「合歓さんって、かわいいね。あ、煌輝さんもだけど」
なんともとってつけたような感想に、乃愛琉も真湖も何と言っていいものか分からず。二人が黙っていると、所在なげに神宮が付け加えた。
「君たちが最初に言い出したんだって? 合唱部作るの?」
入学式の時の全校放送のことを知らないのだろうか。昨日今日初めて聞いたような言い方だった。
「はあ、真湖ちゃんが……ですけど」
「君たちがどうしてもっていうなら、ボクも協力するからね。いつでも言ってくれたま…」
「はいはい、練習始めるわよー。全員グランド5周ね!」
神宮の言葉を遮るかのように現がみんなに声を掛けた。はーい、という返事と共に、ぞろぞろと音楽室を出て行く。
「あいつね、あんまり相手にしなくていいからね。誰にでも声掛けるんだわ」
教室を出ようとした真湖と乃愛琉の後ろから現がそっと耳うちした。
「でも、ああいう奴だけど、歌だけは上手いんだわ。あんまり声はかけたくはなかったんだけど、まあ、この際だから、背に腹は代えられないし、仕方ないわね」
たった11人で始まった合唱部。そんな中にも不安要素を入れなければならない事情を乃愛琉は感じ取った。
「お疲れ様です」
現は、乃愛琉の慰労の言葉に、二人の肩をぽんぽんと叩いて応えてみせた。
なんとも前途多難な旅立ちだが、とにかく確実な一歩は踏み出せていると、実感をした乃愛琉だった。




