第6コーラス目「障害!」その4
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「Nコン!」第6話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、放送局を占領して、全校放送で合唱部入部希望者を募る。現先輩に呼ばれて、合唱部員募集を止められたが、なんとか説得できたかと思いきや、今度は恐い3年生に呼び出され……。どうなる、真湖?
皆様の感想などお待ちしております!
「真湖ちゃん本当に大丈夫だったの?」
「本当は……すっごい怖かったぁ。乃愛琉とエンリコくんが来てくれて良かったぁ」
用務員の姿が見えなくなってから、ようやく真湖も本音を言えた。乃愛琉の両肩に手をやりながら、額を肩に当てた。大分収まってはいるけれど、今でも胸がドキドキしている。
「本当に、真湖ちゃんって、無茶すんだからー」
真湖の頭を撫で撫でしながら、乃愛琉も内心ほっとしていた。一時はどうなるかと心配していたから。
「でも、どうして、ちゃんとさっきの用務員さんに報告してもらわなかったのさ?またあいつらに絡まれるかも知れないっしょ?」
翔が二人の後ろについて、不思議そうな顔をした。路上でぶつかった時に煌輝の名前を名指ししていた上に、去り際に合唱部をつくるのを阻止するような言い草を放っていったのだ、人間違いな訳がない。真湖が何を考えているのかがさっぱり分からない。
「んー。ちょっとね。思うとこがあってさ。それに、何かあったら、エンリコくんが護ってくれるんでしょ?」
現に向かって胸を張っていたあの時の台詞を取り上げて、茶化すようにした。
「いやー、お恥ずかしい。さっきの通りで、腕っ節には自信がなくってねー」
ここにきてすっかり自信喪失の翔であった。
「それより、思うとこって?」
「あの人達、翔平にいちゃんのこと直接知らないのに、邪魔してきたのよね。どうしてだと思う?」
公園での出来事をごく簡単に話した。もちろん翔には『芳田瑞穂』のことは内緒で。
「それだと、現先輩が言ってた、『絶対声かけちゃダメな人』である訳はないよね。煌輝先輩を恨んでいたって訳じゃないんだったら」
「それに、あの人達、合唱やるようなタイプに見える?」
「見えない」
翔はきっぱり否定した。
「無理矢理Nコン出場させられたから恨みに思ってるっていう線はないと思うの。だとしたら…?」
「だとしたら、誰かに頼まれて、脅したってことかな?」
「あたしは、その線じゃないかって思うのね。だから、もう少し聞いてみたいの」
「しかし、真湖ちゃんって、恐れ知らずだよなぁ」
翔は感心した。けれど、恐れ知らずな訳ではない。恐いものは恐いのだけれど、それ以上に疑問に思うことをそのまま放置できない性分で、それが一時の恐怖を押し留めることができる最大の理由だというだけだった。
「でも、真湖ちゃん、あんまり無茶しないでよ」
乃愛琉はそんな真湖の性分を知っているので、止めはしないけれど、心配には思っていた。
「したっけ、俺、ここで。また明日」
途中翔と別れて、真湖と乃愛琉の二人で家に向かう。翔の姿が見えなくなると、すぐに乃愛琉はお茶目とも心配深げともとれる顔をした。
「何か分かったんでしょ?」
「うん。ちょっとね。『芳田瑞穂』っていう先輩があの人達に頼んだみたい」
「よしだみずほ? 先輩なの?」
「先輩って頭に浮かんだから、あの人達の先輩って、ことは、卒業生じゃないのかな? うちの学校の卒業生だとしたら、どうやったら調べられるかなぁ?」
「図書館に卒業アルバム置いてあるんじゃないかな? あの人達が知ってるなら、3年以内の分調べれば分かるんじゃない?」
さすが乃愛琉。その辺は頭の回りが早いと感心する。早速明日の朝図書館に寄る約束をして二人は別れた。




