第6コーラス目「障害!」その3
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「Nコン!」第6話です。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、放送局を占領して、全校放送で合唱部入部希望者を募る。現先輩に呼ばれて、合唱部員募集を止められたが、なんとか説得できたかと思いきや、今度は恐い3年生に呼び出され……。どうなる、真湖?
皆様の感想などお待ちしております!
「真湖ちゃん!」
翔はすぐに駆け寄って真湖を支えた。
「大丈夫? 何か乱暴されたのかい?」
「ううん……大丈夫。ありがとう」
真湖は精一杯強気を張ったが、極度の緊張の後の緩みで、なかなか体に力を入れることができなかった。やがて、遅れて乃愛琉も公園に到着した。
「真湖ちゃん大丈夫? なんだったの、あの人達?」
「今の、うちの学校の生徒だね? 職員室に届けよう」
「あ、あの……先生、なんか、人違いだったみたいで……。あの、大丈夫です、あたし。何もありませんでしたから」
翔に支えられながら、ようやく真湖は立ち上がった。
「何もって……ああ、あのさ、ボク、先生ではないんだ。見た通り、『用務員さん』なんだ」
確かに良く見てみれば、作業着を着ているし、言われて見れば、教師っぽくはないようにも思える。ただ、自分のことを用務員『さん』と呼ぶあたりが違和感がないわけでもない。
「あ、用務員さん、ありがとうございます。もう大丈夫です。何もありませんでしたから」
「でも、実際ボクが来たら、あいつら逃げ出したじゃないか?」
「それに、合唱部つくるなって……」
翔が言い出しかけたのを真湖が目で制止した。
「合唱部?」
「ありがとうございます。でも、あの人達、勘違いだったって気がついて、それで逃げたみたいなんです。もう関係ないと思うんで、大丈夫だと思います。大げさにしたくないので、お願いします」
その用務員が疑問を投げかけるのを阻止するように、真湖は少し強い口調を使う。少々荒っぽいやり方かも知れないけれど、とにかく大げさにはしたくなかったし、まだまだ彼らには聞きたいことがあった。
「そ、そうかい?」
用務員の男性は、しぶしぶ引き下がった。あそこで翔が捕まえてきてくれたのが教師ではなくて本当に良かったと真湖は思った。もし、教師であればこんなに簡単に引き下がってはくれなかっただろう。スカートの裾をほろって(※)から、真湖は用務員に頭を下げた。
「じゃあ、帰ります。さようなら」
「ああ、気をつけて」
その用務員は所在なげに手を振って、3人を見送った。




