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Nコン!  作者: mofmof
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第5コーラス目「勧誘!」その1

新連載「Nコン!」第5話目です。お読みいただきまして、ありがとうございます。


 煌輝真湖きらめき まこは、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。

 前途多難の船出にもめげずに、放送局を占領して、全校放送で合唱部入部希望者を募る。うつつ先輩に呼ばれて、合唱部員募集を止められたにも関わらず勧誘を続ようと……。


 皆様の感想などお待ちしております!

 翌朝、真湖は乃愛琉を連れだって、2年生の教室に向かった。

「ねぇ? 真湖ちゃん、どうするの?」

「んーっとね。……あ、いたいた。せんぱーい!」

 入学早々上級生の階に迷い込んだようになり、不安を隠しきれない乃愛琉とは対照的に、真湖は元気いっぱいに先を急いでいた。明らかに1年生が通ると、2年生の生徒達は何事かと怪訝そうな目で二人を見る。乃愛琉は申し訳なさそうに、真湖に着いていく。真湖はキョロキョロと廊下を眺め、教室の中を覗いているうちに、お目当ての人を見つけたらしく、その男子生徒に向かって走った。

保家ほや先輩ですよね?」

「は? んだけど? キミは?」

「あたしは、煌輝真湖きらめき まこって言います。1年3組です。よろしくお願いします」

「きらめ……ああ、一昨日の全校放送だべ?」

「ですです。それで、保家先輩にも合唱部に参加してほしいんです!」

 乃愛琉はさすがにびっくりした。昨日現と約束で部員は募集しないと言っていたはずなのに。いや、思い返せば、真湖は約束はしていない。ただ、一方的に現がそう言っていっただけだ。けれど、あれだけ言われて、諦めていないとは、さすがの乃愛琉も真湖が何を考えているのか分からなかった。

「いやー。ボクはいいけど……。本当に合唱部つくれんのかい?」

「はい。絶対につくってみせます! だから、先輩には是非入部のお約束をお願いしたいんです!」

「まあ、Nコンの時期になれば、立候補はするつもりではいたけど……まあ、いいよ。ただ、ボクは実家の農作業ある時は練習でれねぇから。先に言っておくけど」

「はい、わかりました。じゃあ、よろしくお願いします!」

 真湖は深々と頭を下げた。

「また、来ますね」

 何事が起きたのか分からずにきょとんとする乃愛琉の手を引いて、真湖はさらに廊下の奥へと進んで行った。

「ちょ、ちょっと、真湖ちゃん、一体どうなってるの? どうして、あの先輩、あっさり入部してくれるって言ったの? 知り合いなの?」

「ううん、今日初めて会ったよ。保家寿ほや さとし先輩。パートはテナー。現先輩たちと一番仲が良かったみたい」

「あ。もしかして、昨日の?」

 乃愛琉はふと閃いたものがあった。昨日、うつつが音楽室を出る前に真湖の頭をぽんぽんと撫でて行ったのを思い出したのだ。

「そう。あの時、現先輩、去年のメンバーのこと思い出してたみたいなの。昨日、現先輩が『協力的な人もいた』って言ってたじゃん? 保家先輩はその協力的な人の一人みたい。実家農業やってるのは分からなかったけど。でも、協力してくれそうじゃん?」

 なるほど、それで、昨日の帰りに『一本釣り』という言い方をしたのだと納得した。

「で、残りの人達にも同じようにするつもりなの?」

「もちろん!」

「イヤイヤやってたって人もいるって言ってたじゃない?」

「それは、それでなんか考えるよ。とりあえず、良い感じの人たちから声かけてこうと」

 また行き当たりばったりかと呆れるも、今までの真湖を見てきた乃愛琉としては、何かやるのではないかという期待はあった。

「あ!また、いた!如月きさらぎ先輩!」

「はい?」

 ショートカットのその女子生徒は、真湖に呼ばれて、そのクリっとした目をさらに見開いた。

如月友夏きさらぎ ともか先輩ですよね? あたしは、1年3組煌輝真湖っていいます。合唱部をつくりますので、入部してもらえませんか?」

「あら? あなたね? 全校放送の子。また元気な子ね。いいわよ、入っても。でも、顧問の先生とかどうすんの?」

「ありがとうございます! あ、えっとー、……それは、これから探します!」

 顧問については、まだまだアテはない。真湖は正直に話した。

「あら、そう。それは、頑張ってねー」

「はい! ありがとうございます! あ、あのー、外園ほかぞの先輩って、仲良いんですか?」

諒子りょうこちゃん? うん、仲良いよ。もしかして、諒子ちゃんも誘いたいの?」

「はい、そうなんです。どうでしょうか? あと、他にも誰か合唱部に興味ある人いませんか?」

「まあ、わたしが誘えば、やるとは思うけどー。ごめーん。他は心当たりはないなぁ。大体みんな、仕方なくやってる人の方が多いみたいだしね」

「やっぱりそうですかー。じゃあ、外園先輩にだけ、声かけておいてもらえませんか?」

 如月は快く真湖の依頼を受けてくれた。真湖と乃愛琉は深々と頭を下げて彼女と別れた。

 陽気で明るく、快活なところが、ちょっと、真湖に似たようなタイプだなと乃愛琉は感じた。

「これで、3人ゲットだね。幸先いいわー」

 20人近くを集めなきゃならないのに、たった3人で幸先いいと言い切る真湖の脳天気さには乃愛琉も苦笑いするしかなかった。

 次に真湖が向かったのは、2年1組の教室。射原悠斗・悠耶いはら ゆうと・ゆうやの双子の兄弟を呼んでもらい、同じく合唱部入部をお願いしに行った。実はこの二人、真湖たちと同じ中央小学校出身で、近所でも有名な双子だった。両親が射原商店改め、現在のセイコーマート(※)を経営していて、真湖も乃愛琉もしょっちゅう買い物に行っている。小学校の時から面識があったので、話は早かった。

※「セイコーマート」:ほぼ北海道のみで展開されているコンビニのこと。愛称で「セコマ」とも呼ばれる。北海道でコンビニと言えば、セコマ。

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