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Nコン!  作者: mofmof
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第1コーラス目「合唱!」その2

いつももふもふの作品をお読みいただきまして、ありがとうございます。


新作アップいたしました!

題名は「Nコン!」

中学生の主人公が合唱部に入って、NHK合唱コンクール(通称Nコン)で全国出場を目指すお話です。

皆様の感想などお待ちしております!

「いやー! 感動したねー!」

 卒業式が終わり、卒業生が教室に戻る頃、真湖は大きな伸びをしながらそう叫んだ。泣いた烏がもう笑ったと、乃愛琉はくすり笑った。

「ばっかじゃねー、お前」

 と、後ろから剣藤阿修羅けんどう あしゅらが真湖の頭を小突いた。阿修羅は真湖の幼馴染みで家が隣同士の腐れ縁。

「あっしゅ! なにすんのよ!」

 真湖は小突いた阿修羅の手を掴まえようとして空振った。

「今時、小学校の卒業式で号泣するヤツいねーよ。なまら目立ってたぞ、お前」

 ちなみに、「なまら」というのは、北海道弁で「とても」とか「非常に」という意味の方言である。

「うっさい! 素直に感動して何が悪いのよ?小学6年間の思い出に浸ってたのよ」

「だってさ、別に学校バラバラになるわけじゃないし、6年間って言っても、お前低学年のこととかまともに覚えてないべ」

「そんなことないもん。それに、先生とはここでお別れじゃん」

「学校近くだから、なんぼでも遊びに来れるけどな」

「あっしゅには、女の子のセンチメンタルは分かんないのよ」

 真湖はあっかんべーした。

「わからなくて結構。俺は男だしなー」

 阿修羅はそう言って、丸めた卒業証書をくるくるさせて先に歩き始めた。

「おれーとかって、格好つけちゃって、もう」

 小学6年は丁度過渡期で、男子は「僕」から「俺」になんとなく変わる頃。先に「俺」と言えるようになった方が勝ちみたいな雰囲気が男子にはあった。女子からすると、昨日までの「ガキ」が背伸びしているようにしか見えないから、気に障るのである。

「ちょっと、止まらないで。後つっかえてるんだから」

 今度は紺上灯こんじょう あかりが真湖の背中を突いた。灯もやはり真湖と幼馴染みで近所住まいなのだが、ツン属性の灯とはあまり真湖は相性がよろしくないらしく、乃愛琉が見るにこの二人はいつもこんな感じである。かと言って、喧嘩するほど仲が悪いわけではなく、なんとなくつかず離れずいるのが不思議なのではあるのだが。

「あ、ごめん」

「小学生の卒業式でよく泣けるわね」

 灯も真湖に捨て台詞を吐いて横を通り過ぎた。

「散々言われたね」

 真湖は舌を出して苦笑いした。けれど、さほど効いた風はない。

「だって、実際目立ってたもの」

 多分、全校生徒の注目の的になっていたとまで言いかけたけれど、乃愛琉は気を遣ってそこまでは言わなかった。

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