表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nコン!  作者: mofmof
19/98

第4コーラス目「先輩!」その4

新連載「Nコン!」第4話目です。お読みいただきまして、ありがとうございます。


 煌輝真湖きらめき まこは、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。

 前途多難の船出にもめげずに、放送局をハイジャックして、全校放送で合唱部入部希望者を募る。ところが、ある先輩に呼ばれて、合唱部員募集を止められた。どうする真湖?


 皆様の感想などお待ちしております!

「だから、本当のこと言うと、昨日の放送って、本当はヤバいんだよな。無理矢理合唱させるように仕組んだ先輩の従兄妹が、今度は合唱部つくろうって騒ぎ出したってなったら、去年参加した奴らがどう思うか。今の2年生はほとんど知らないと思うけど、3年生の一部にはその辺知ってる人もいるみたいなんだ。だから、煌輝さんが心配だったんだよ」

「あたしは、裏で何言われても気にしませんから」

「やっぱり、煌輝先輩の従兄妹さんね」

 現は感心するような、呆れるような表情でそう言った。

「真湖ちゃんに何かあったら、俺が護りますから」

 翔が胸を張った。

「あなた、煌輝さんのカレシ?」

 現が首をかしげた。

「ち、違い……」

「いえ、まだ立候補中です」

 真湖の言葉を翔が遮った。

「あら、そうなの?煌輝さんって、モテモテなのね。

 あ、蒼斗はわたしのカレシだから。よろしくね」

 現は冗談ともつかない言い方で、にっこり笑った。

「えー。そうなんですかー」

 さすが3年生。ススんでるな、と真湖は思った。乃愛琉はというと、美形と言える顔立ちの現に対して、見るからに内気っぽくって陰のある栗花落は釣り合いが悪いなと思っていた。翔は翔で、栗花落がどうやって現を口説いたのかに興味があった。もちろん3人ともに口にはしなかったけれど。

「話を戻すけど、とにかく、合唱部をつくるのは諦めて。で、多分、6月くらいにはNコン出場者をクラスで決めるはずだから、そこで立候補してくれればいいわ。

 もし、その前に練習したいなら、ここに来ればいつでも教えてあげる。部活動にはならないけどね」

「先輩たちは、いつもここで練習してるんですか?」

 乃愛琉が訊いた。

「そうね。ここか……内緒だけど、時々駅前のカラオケで練習したりしてる。これは先生たちには内緒だよ。一応、大人同伴ってことにしてるけど」

「わかりました」

 現に合わせて乃愛琉も微笑んで答える。一度はカラオケに行ってみたいと思っていたところだ。もしかしたら、この先輩達と付き合えば、近い内に行けるかも知れない。

「じゃ、そういうことで……」

 現と栗花落は音楽室を出ようとする。

「先輩、ちょっと待って下さい!」

「ん?なに?」

 真湖が二人を止めた。

「もし、もしですよ。もし、部員が20人以上集まるんだったら、つくってもいいってことですよね?」

「なかなか、諦めの悪い子だね、煌輝さんって」

 栗花落も少し呆れた顔をする。

「でもね、合唱って、人がいればいいってもんじゃないんだ。男女比だとか、パートのバランスとか、そういうのも大事なんだ。それに、何よりも、部ができたところで、指導どころか、顧問になってくれる先生がいない」

「え? じゃあ、Nコンの時ってどうしてるんですか?」

「一応、音楽の先生が担当になってくれてるけど、あくまでも随行してくれるってだけで、指導まではしてくれないんだ」

 栗花落が残念そうに言った。

「だから、言ったでしょ。今のこの学校では全国は無理だって。全国どころか今年は全道だって無理だと思うわ」

 手をバンザイして、現がお手上げというジェスチャーをする。

「でも、去年は銀賞でしたよね?」

 乃愛琉が昨日Nコンのサイトで見たのを思い出した。

「去年の3年生が頑張ってくれたのよ。運動部からも参加してくれて。大変だったわ。とにかく、そういうことだから、あなたたちでなんとかできる問題じゃないの。

 でも、勘違いしないでね。わたしたちは合唱好きだし、そういう問題がなければ、合唱部つくって、みんなでNコンに出場したいって思ってる。でも、どうしようもないの。意地悪したくって、こんなこと言ってるわけじゃないの。ホント、わかってね」

 現は真湖の元に戻って、彼女の頭をぽんぽんと撫でてから教室を出た。栗花落もそれに従って音楽室を出る。さすがに真湖もそれ以上は何も言えなかった。


「そりゃあ、仕方ないよね」

 帰り道、翔が真湖を慰めた。

「真湖ちゃん、元気出して?」

 真湖が学校から出て以来、一言も口をきかないので、不安になった乃愛琉が真湖の顔を覗き込むと、真湖は予想外に笑っていた。

「どうしたの、真湖ちゃん?」

「ふふふふ」

 ショックが酷くてついに気が触れたかと乃愛琉が心配するくらい、真湖は含み笑いをしていた。

「やるぞー!」

 突然に真湖が叫んだ。乃愛琉はひっくり返りそうになり、それを翔が支える。

「明日から勧誘するよ!」

「勧誘って……?」

「一本釣り!」

 真湖は乃愛琉にサムズアップして、いい笑顔をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ