第4コーラス目「先輩!」その3
新連載「Nコン!」第4話目です。お読みいただきまして、ありがとうございます。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、放送局をハイジャックして、全校放送で合唱部入部希望者を募る。ところが、ある先輩に呼ばれて、合唱部員募集を止められた。どうする真湖?
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放課後。
「こんにちはー」
現に言われた通りに、3人で音楽室を訪れた。音楽室にはすでに現と共に1人の男子学生がいた。
「えっと……」
「ボクは、栗花落蒼斗。瞳空と同じ3年生だよ」
と、最初に少し内気そうなその先輩の方から自己紹介した。真湖たちはそれぞれに栗花落に挨拶した。
「まあ、座ってよ」
栗花落は真湖たちにイスを勧めてから、自分達も座った。
「瞳空から聞いたけど、煌輝さんって、煌輝翔平先輩の従妹さんなんだって?」
「はい、そうなんです」
「そしたら、先輩から、合唱部が廃部になったことって聞いてなかったのかい?」
「ええ、まあ……」
「そうなんだ。じゃあ、その辺詳しく説明するね。これは先輩が卒業した後の話なんだけど、ボクたちが1年生の時を最後に合唱部は廃部になったんだ。その翌年、2年前からは合唱部という形の、任意の参加ではなくて、強制的に1クラスから男女1名づつを集めることになったんだ」
「え? そうなんですか? そういうことは一切聞いてなかったです」
「うん。ボクたちが1年の時、合唱部は6人しか集まらなかったんだ。2年生が1人、1年生はボクと瞳空。残りは3年生だった。それでも、なんとか臨時の合唱部員を足して、20名弱でNコンには参加できたんだけど、翌年春先に顧問の三越先生が亡くなって、さらに1年生が全然集まらなくて、結局廃部さ」
「現先輩からもそう聞きました」
「それから、結構大変だったんだ。部としては存続は厳しいけれど、Nコン不参加は避けたいってことで、先生方と直談判して、各クラスから2名づつ出してもらうことに決めたんだ。」
「合唱部つくったら、人が集まらないっていうのは、そういうことなんですか?」
「そう。少なくとも、今の2年、3年生で自主的に合唱部に参加しようっていうのは、ボクと瞳空くらいじゃないかな。去年Nコンに出てくれてた人たちも、本当にその時期だけしか参加できないって人ばっかりだったし」
「そうなんですか……」
現実を突きつけられて、さすがの真湖も考え込んだ。
「それより、ボクが心配しているのは、煌輝さんのことなんだ」
「あたし……ですか?」
「実を言うと、ここだけの話なんだけど、強制的に参加者を募ることするっていうの、煌輝先輩の入れ知恵だったらしいんだ。もうすでにその時はOBだったから、本当は口出しできないのにね。だから、裏では結構槍玉にあがってたみたいんだ」
「槍玉?」
「つまり、先輩、結構裏で色々言われてたみたいなの」
現が付け足した。
「え……。そ、そうなんですか」
「もちろん協力的な人達もいたけど、イヤイヤやってた人もいたしね。煌輝先輩も真面目だったから。むしろ、OBの自分が口出したことにして、一身に批判を受けるようにしたのかも」
「……」
真湖は言葉もなかった。




