第4コーラス目「先輩!」その2
新連載「Nコン!」第4話目です。お読みいただきまして、ありがとうございます。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、放送局をハイジャックして、全校放送で合唱部入部希望者を募る。ところが、ある先輩に呼ばれて、合唱部員募集を止められた。どうする真湖?
皆様の感想などお待ちしております!
「どした? 真湖?」
席に戻った真湖に心配そうに阿修羅が訊いた。
「Nコンに出たいんだったら、合唱部をつくらない方がいいって。先輩が」
「なんで?」
「強制的になら集まるけど、そうじゃなかったら、人が集まらないからだって」
それから、真湖は現と話した内容をかいつまんで皆に伝えた。
「強制的……? ああ、昨日の先生も言ってたな、そんなこと」
阿修羅は、鮭を口に突っ込みながらそう言った。
「それ、どういう意味?」
ただ一人、昨日一緒にいなかった翔が疑問符を投げかけた。
「それはね……」
と、乃愛琉が昨日の出来事と、あの老教師から聞いた話を伝えた。
「確かにその先輩の言うことも一理あるね」
「なんか、大人臭い言い方ね」
灯が変に茶々を入れた。
「詳しい話って、何だべな?」
「翔平にいちゃんのことも知ってたなら……それに廃部になったのが2年前っていう話だと、廃部になったいきさつなのかも……」
乃愛琉がそう言うと、そういういきさつは翔平から全く詳しくは聞いていなかったことに真湖は思い至る。それとも、廃部になったことを翔平は知らなかったのだろうか。
「とにかく、放課後音楽室に行ってみれば分かるんじゃない? 3人で行ってみようよ」
「3人って、誰だよ?」
聞き捨てならないといった風に、阿修羅は翔に突っ込みを入れた。
「もちろん、俺と真湖ちゃんと、乃愛琉ちゃんの、合唱部員だよ?」
「む……」
阿修羅は返す言葉を失った。今日の放課後からは早速野球部の練習に参加しなければならず、自分は一緒に行くことはできない。が、翔が一緒に行くのはなんとなく納得がいかなかった。
「真湖、ちゃんと断ったんじゃないの?」
灯が詰問した。
「あ、いや。……その……入部希望はね、断れないし……」
「交換条件とか持ち出すヤツなのに?」
本人を目の前に、灯は容赦ない。
「あはは。それは、断られたよ。それ抜きで、合唱部入るって言ったんだよ」
翔は全く堪えない風に灯に微笑みかけた。すっかり暖簾に腕押しだった。
「あ、でも、さっきの先輩優しそうだったから、心配ないよ。あっしゅも灯もありがとね」
そこじゃないだろ、と阿修羅と灯は思ったが、それ以上口出すことは憚られたので黙ることにした。
「そういう先輩たちがいるんだったら、あんな風に騒ぎ起こす前にちゃんと話を聞いた方がよかったんじゃない?」
その代わりに灯は真湖に苦言を呈した。
「あの騒ぎを起こしたから、先輩から来てくれたんだもん。よかったっしょ」
暖簾に腕押し2号。
「まあ、でも、元合唱部の先輩が見つかってよかったよね。とにかく」
結局最後には乃愛琉がフォローした。




