第3コーラス目「告白!」その1
新連載「Nコン!」第3話目です。続けてお読みいただきまして、ありがとうございます。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、放送局をハイジャックして、全校放送で合唱部入部希望者を募る。クラスメートの塩利己翔が第一希望者を名乗り出るのだが、代わりに付き合って欲しいとみんなの前で告白する!そして、真湖は……?
皆様の感想などお待ちしております!
「いいよ! どこに付き合えばいいの?」
真湖はさらりと言った。翔は一瞬固まる。
「あ、いや、どこにって。……俺と付き合ってって言ったの。つまり、君がカノジョで、俺がカレシ。コイビトってこと。わかる?」
「カノ……ジョ? コ イ ビ ト……?」
真湖の顔がみるみるうちに紅くなった。
「マジ?今のって、告白?」
「さすがハーフ、ススんでるよね」
「でも、なんであんな子?」
「わたし、超ショック。結構気になってたのに」
クラスの中が瞬く間にざわめき始めた。
「そうそう。コイビト。俺は、君が好きなんです。付き合ってください」
翔は満面笑顔でそう良いながら、真湖の手を振り続けた。
「えー!?」
真っ赤になった真湖は、翔の手を思いっきり振り払って。
「無理、無理、無理、無理、無理、無理!」
と、翔を両手で突き飛ばそうとした。が、その両手は翔にしっかり掴まえられていた。
「どうして無理?」
「だって、昨日今日初めて会ったばかりで、全然知らないのに」
「俺は知ってるよ? 煌輝真湖ちゃん。合唱が大好きで、合唱部つくる。ポニーテールの似合う女の子。違う?」
「そういうことじゃなく、中身の問題でしょ?」
「中身はお付き合いしながら、わかり合えばいいじゃないか?」
と、二人で押し合いへし合いしているところに、横から力強く翔の腕を引っ張る者がいた。
「おい、いい加減にしろ!」
さっきひっくり返った阿修羅だった。
「嫌がってるじゃないか、止めろよ!」
「剣藤くんか。君は関係ないじゃないか。カレシじゃないんだろ?」
「いいや、関係大アリだね。こいつは、『一応』俺の幼馴染みだからな。腐れ縁だけど。本人が嫌がってんだから止めるだろ、ふつー。男子女子関係なく」
「へぇ」
翔は挑戦的な目つきをした。阿修羅もそれに目で応え、身構えた。一発触発のところで、
「はいはい、みんな、席についてー」
と、間延びした声が壇上から聞こえた。担任の英美佐恵先生だった。
「ほら、そこ、固まってないで。みんな席についてよー」
事情の分からない担任はただ、生徒達が固まってじゃれ合っているとしか見ていなかった。
「はいはい、もう小学生じゃないんだからねー」
昨日の入学式の指導教員の言葉をそのままオウムのように繰り返した。生徒達は蜂の巣をつついたように、それぞれに自分の席に戻った。阿修羅も舌打ちして、自分の席に戻った。
「じゃあ、また後でね」
翔は、飄々とした風で真湖にそう残して、やはり自分の席に着いた。




