第2コーラス目「募集!」その3
新連載「Nコン!」第二話目です。続けてお読みいただきまして、ありがとうございます。
煌輝真湖は、小学校を卒業したばかりの中学1年生。従兄妹の翔平が果たせなかった、合唱部で全国大会に出場するという夢を果たすべく、合唱部に入部を希望していた。ところが、合唱部は2年前に廃部になっており、指導する先生もすでに他界していた。
前途多難の船出にもめげずに、放送局をハイジャックして、全校放送で合唱部入部希望者を募るのだが……。
皆様の感想などお待ちしております!
翌日、1年3組の教室。
「いよ!大統領!」
「入学初日から有名人だな!」
「即、職員室に呼び出しだって?」
真湖たちが教室に入るとやんややんやの大喝采を浴びる。声を掛けるのは主に男子だが。いまだ1年生の教室は小学校の雰囲気をのままを引きずっていた。
「いやー、どうも、どうもー」
真湖はおだてられたまま、頭を掻き掻き、壇上に上がった。灯は早々に自分の席に座り、知らない人のフリをした。阿修羅は、真湖が何を始めるのかと戦々恐々と壇上の横で待機。またヤバイことをしそうなら、止める算段。乃愛琉は、どうしたものかとオロオロするばかり。
「というわけでー、合唱部つくりますので、入部希望者は、あたしのとこに来て下さいね!」
「がんばれよー!」
「応援だけはしてやるからなー」
主に男子が囃し立てるだけで、入部希望者が申し出る場面はなかった。けれど、真湖はそれでも変わることなくそのまま壇上を下りた。阿修羅は拍子抜けした。
「そんなんでいいのかよ?」
「とりあえず、みんなが合唱部のこと知ってくれたらさ。少しづつでも集まってくれればいいかなーって。それにうちのクラスへの勧誘はいつでもできるしね。後回しでもいいかなって」
「今日は随分と冷静なんだな」
昨日の今日でまた何かやらかすのではと予想していた阿修羅はすっかり空振りだった。乃愛琉も二人についていくようにして自分の席に座った。
真湖の周りには主にやんちゃ系の男子が群がり、最初に職員室に呼ばれた英雄(?)として絶賛の声を浴びた。反面、大半の女子からは「あれ、バカじゃない」という冷笑を受けていた。中には明らかに男子にチヤホヤされている真湖に対する嫉妬っぽいものも含まれているようではあるなと、乃愛琉はクラスの大体のグルーピングに興味を持って見ていた。
「剣藤だっけ?」
そんな中、真湖に興味を持っている雰囲気の男子の一人が、阿修羅に近づいてきた。
「ん? そうだけど?」
阿修羅はイスの後ろ足だけに重心を掛けながら、ぶらんぶらんとだらしなく座っていた。
「あ、俺、塩利己翔。エンリコでも、翔でもいい」
「エンリコ? 外人? 中央小じゃないよな?」
「ハーフなんだ。イタリアとのね。ああ、札幌から越してきたんだ」
「へぇ」
ハーフにも、札幌にもあんまり興味がない様子で返事する。そう言えば、昨日入学式後の自己紹介の時間にそんな話を聞いたようにも思うが、ほとんど寝ていたので、よく覚えていない。確かにそう言われると、顔立ちも少し日本人離れしているところもあるし、目の色も若干薄いかも知れない。
「なあ、一つ聞いていいかい?」
「ああ」
「剣藤って、煌輝さんと付き合ってんの?」




