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悪役令嬢をこらしめろ、魔法使いユアイの推理物語  作者: 流離の風来坊


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2/2

情報収集と男爵家の門兵たちの様子

「あの……、門番さん」


「おや、どうしたんだい、お嬢ちゃん」


 ユアイは上品な服装をしたジャックと共に、街の小高い坂の上にある男爵邸まで会話をしながら約一時間を歩いてようやく辿り着いた。門兵は二名立っており、すぐに邪魔だと追い返されることもなく優しく対応してくれた。


「この子、ジャック君というんですけど、街の路地で彷徨っていたから連れてきました。服装から良家の御子息だと思うのです。男爵さまのお力をお借りしたいなと考えて参りました」


「ほう」


(確かに上品な服装をしているな。お嬢ちゃんも上品だ。無碍な対応をしたらいけない感じだな)


 もう一人の門兵へ内緒のように耳打ちする。


「この子、手配されてた子息かも知れないぞ」

「まさかと思うが、間違いでもなさそうだな」


「お嬢ちゃん、見つけた時のことを聞かせてくれないか?」


「はい。どうやら記憶を失っているようで、名前はジャックらしいのですが、うる覚えだそうです。また、身分を示す物は持っていないです。あとファミリーネームも記憶にないみたいですね」


「なるほど了解した。ここまで彼を案内してくれてありがとう。お嬢ちゃんのように男爵家の領民は善人が多いから助かるよ。もしこのジャック君が重要人物なら男爵様からお礼が出ると思うから良かったな」


「いえいえ、お礼なんて。ただ、またジャック君に会いに来ますね。私はユアイと言います」


 丁寧に門兵にお辞儀をして締めの挨拶をし、ジャックに向かって微笑む。


「ジャック君、また会いに来るからね。色々と君の事が分かると良いね」


 ジャックはユアイの顔を見上げて、じっと目を見つめ続けている。


「うん。ありがとう」


 ユアイは踵を返して門を背にし、元の街へと向かう。目指すは現場だ。七人もの遺体が発見されたのは何らかの見逃せない事件と思われた。ジャック関係なら何とかしようと考えたし事件そのものにも興味が出てきた。


 一時間をかけて再度歩いて向かう。まだ日は高かった。


【ルッセル男爵領地内にて事件発生】


 川の畔の現場に着いた。住民が集まりヤジ馬と化していたのを衛兵が整理をしていた。

 

 現場を仕切っていた隊長らしき人が周囲を見渡してから言葉を発する。


「住人の皆さんも顔に見覚えがあるか、どこかで見たことがないか思い出していただきたい。どんなことでも結構だ。争う音がしたとか、喧嘩をしているところを見たとか、友人知人にも聞いてくれ。何かあったら詰所まで来て教えて欲しい。よろしく頼む」


 ユアイが聞いた話をまとめるとこうだった。


 本日未明、男性五人、女性二人が川に浮かんていた。騎士団の検視によると全員が首を折られていた。これが死因と推定された。服は剝ぎ取られ、身分を証明するものもなかった。川の水は透明度が高く、輝く短剣など金属なら容易に見つけることが出来るが、何も川底には目立つものはなかった。服装は流されたか、殺人犯が持ち去って処分したのだと考えられた。


 遺体の髪型や爪、肌、筋肉のつき方等の状態から上流階級の護衛と世話係と推測された。刺し傷などはなかった。生前は清潔な生活を営んでいた筈で、結構、上級爵位の関係者かも知れなかった。護衛とメイドのセットという事から重要人物を護衛した付き人たちと考えられる。


 もしも護るべき重要人物も殺され、川の下流に流されているとしたら、男爵家も何らかの影響を被るかも知れない。それよりもっと未発見の遺体が流されているかもしれない。


「下流までくまなく探せ!」と隊長が号令をかけた。


「範囲は下流のこのラインまで、倉庫、公園のゴミ箱、犬小屋までしっかり探すんだ」


「他の領地の範囲にも足を運べ。小競り合いは起こすな。何か言われたら私まで報告してこい、何とかする」


「殺されてから最低六時間が経ってる。もし犯人が移動しているなら徒歩で一時間で男爵様の屋敷まで行ける。その六倍の距離は移動できるという事だ。領外に出ているかもしれんが、とにかく急げ」


「捜査開始、散開!」


 ユアイはこの隊長なら話が分かると判断して近寄って声を掛けた。


「隊長さん、こんにちは」


 頭をぺこりと下げ、笑顔を忘れない。


「ん、お嬢ちゃん、何か情報を持っているのかい?」


「はい。野盗なら刀剣を使いますよね。でも被害者たちに傷はなかった。生きている頃に川に放り込まれたなら肺に水が入っている筈。浮くことはありません。亡くなってから川に投棄されたのです」


「なるほど、その通りだな」


「そして護衛していたはずの重要人物ですが、たぶん、ジャックという名の男の子です。三時間ほど前ですけど、路地を彷徨っていたので男爵邸に預けてきました」


「な、なんだと……」絶句


「はい」


「お嬢ちゃん、名前は?」


「ユアイと申します」


「!」

(この受け答え、名前……まさか)


「そのまさかです」


(えっ、ワシの心を読まれた?)


 ユアイはマジックポーチから魔法ハットを取り出し頭にかぶった。


「隊長さん、この事件、私も関わるわ。自由に動くけど邪魔はしないから、よろしくね」


 こうやって毎回、ユアイは興味の出た犯罪捜査に加わるのであった。

まだ物語は導入部分ですが、体調を崩してしまいまして再開は少し先になりそうです。

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