二つの世界はひとつのグラスに
東京の中心で、イマヌエル・エチェベリーは二つの顔を持って生きていた。
昼間は外向的でカリスマ的なデザイナー。
夜になると、空っぽな男となり、人気のない街角でひとり笑い続ける存在。
アルコールを本能的に拒絶し、無気力に支配された彼の日常は――
ある日、皮肉屋の女子高生に痛烈な真実を突きつけられ、そして直後に、
「空から」大学生が落ちてくることで、粉々に崩れ去る。
ネオリ・クギサジ。
美しく、混沌としていて、そして自虐的なユーモアを振りまく彼女は、
まさに“堕天使”のように彼の人生へ乱入してきた。
酒場に連れ出し、哲学的な議論を吹っかけ、奇妙な約束を強要するネオリ。
空虚な告白と理想の衝突を経て、二人はあり得ない契約を結ぶ。
――互いを救うこと。
たとえ、それが互いを壊すことになるとしても。
第1章 ― 堕天使
2025/09/17 14:17