表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】東京のJK、妖精と青春中に“想いのスキル”発動したので恋愛とバトル開始します。-シーズン1-  作者: 新発田 怜
2章 - Kapitel Ⅱ - 陽菜と九尾の狐 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/99

第14話:両親へ報告と今後の方針

「陽菜~、蓮くん来たよ~」


 母・結衣の声が階下から響いた。

 陽菜は思わず声を返す。


「え? やっぱ蓮も来たのか」


「うんうん。やっぱ来ちゃうよね~」


 エレナも楽しそうに頷いた。


 やがて結衣が階段を上ってきて、軽くノックすると部屋のドアを開けた。

 そこにいたのは、彩華だった。


「あら? 彩華ちゃんよね。いつ来てたの~?」


 結衣が首をかしげる。

 突然名前を呼ばれた彩華は、びくりと肩を揺らす。


「え、えっと……あはは……お、おじゃましてます……」


 気まずそうに頭をかきながら、引きつった笑みを浮かべた。


 陽菜とエレナ、蓮、そして彩華はリビングに集まっていた。

 もう隠し事はやめよう──そう判断し、結衣と父・康太に事情を説明する。


 エレナは人間の姿のまま、陽菜の弟・悠真を膝に乗せていた。


「マジなの!? すごい……まるで冒険じゃん!」


 結衣が目を丸くして声をあげる。


「うむ……、小説になるな~」


 康太もどこか楽しげだ。


 両親の反応を前に、陽菜と蓮、彩華の三人は思わず顔を見合わせ、苦笑した。


 九尾の狐……。普通なら誰も信じない話だ。けれどエレナの姿が見える佐藤家にとっては、不思議なことではない。


 むしろ、他の家では到底あり得ないことだ。

 だからこそ、両親がこうもあっさり受け入れてしまうことが、逆に不思議に思えた。


 そんななか、悠真が眠そうに言った。


「うーん……眠い……」


 すると、純真なエレナはそっと悠真の頭を胸に抱き寄せ、優しくヨシヨシする。

 悠真はその中でニヤけていた。


 陽菜は心の中で呟く。


(この、エロませクソガキが……)


 同時に彩華も心の中で呟いた。


(この変態クソガキ……)


 さらに、同時に蓮も心の中で呟いた。


(くっ……羨ましい……)


 ふと陽菜が蓮を見ると、蓮はじっとエレナを見つめていた。

 どこからどう見ても、羨ましそうな視線だ。


 無理もない。

 今のエレナは胸を強調するタイトなTシャツを着ていて、時折見えるおへそもアクセントになっている。


(まぁ……これじゃ、男なら仕方ないか)


 「ポヨンポヨン」発言もあり、エロい想像を抜きにしても、男としては気になるのは当然だろう。

 そう思いながらも、陽菜はイラっとして蓮のふくらはぎを思いっきりつねった。


「あいたたたたっっ!」


 蓮が叫ぶと、慌てて康太が蓮に言った。


「どうした!? 蓮君、大丈夫か!?」


 蓮は頭をかきながら笑った。


「あはは……む、虫に刺されたのかなぁ~……」


 その様子を、ジト目で見つめる陽菜。いや、もはや睨みつけていた。

 そんなふたりを見ていた結衣は、思わずプッと噴き出した。


「おっほん!」


 陽菜は敢えて咳ばらいをして、口を開く。


「まぁ~、そんな理由もあって、那須まで行くことになるかな」


「で、ウチはバイトして旅費を稼ぐことに決めたのだ!」


 エレナも言う。


「あたしも手伝うから、大丈夫!!」


 エレナは座ったまま腰に手を当てて、得意げにふんって鼻を鳴らした。

 悠真はそんなことお構いなしに、エレナの胸でスリスリして喜んでいる。


 ふと、彩華が口を開いた。


「そのバイト代、あたしのサポートをして貰うことで稼がない? 報酬は弾むし、エレナと蓮にも手伝ってほしいの」


 陽菜はジト目で睨みつける。


「まさか、美人なウチにキャバクラとか、怪しい仕事をさせようと企んでないだろーね?」


 彩華は即座に否定する。


「させねーわ! 客にも選ぶ権利あるだろがっ!」


 それを聞いていない陽菜は頬を赤らめ、手を添えて微笑みながらさらに主張する。


「ウチは清楚系だから、キャバクラとか絶対無理なんだよね~」


 満面の笑みに、彩華が現実を叩きつけるように鋭くツッコミを入れた。


「清楚なら、テメーのダチ救う時にグーパンしねーだろがボケっ!」


「ありゃ演技だ! クソがっ!!」


 陽菜の言葉に負けじと彩華も応戦する。


「テメーの演技なら学園祭でさんざん笑わせてもらったわ! ぎゃはははは!!」


 二人の怒鳴り合いを見て、エレナは思わず吹き出す。


「もう、ふたりとも落ち着きなよ~~!」


 悠真はそんなことお構いなしに、エレナの胸でスリスリしている。

 結衣はその会話を聞いて、ゲラゲラ笑い転げていた。


 唯一、康太と蓮だけは、そこに参戦せず、青ざめた顔で固まっていた。


 ふと、康太が蓮に声をかける。


「蓮君、ピザでも取ろうか?」


 蓮の返答を待たずして、陽菜、エレナ、彩華が一斉に反応した。


「食べる!」


「食べたい!」


「お願いします!」


 陽菜が続ける。


「さっきまで、九尾と戦ってたからおなかすいちゃったんだよね~」


 エレナも頷きながら。


「うんうん、おなかすいたよね~」


 彩華はきちんと姿勢を正して言った。


「お父様、ごちそうになりますっ!!」


 蓮は恐縮して口を開く。


「おじさん……なんかすいません……」


 それはまるで、三人の保護者のような謝罪だった。

 康太もその心情を察したのか、微妙な男の辛さを共有している。


 そんな男性陣の苦悩をよそに、陽菜と彩華は再び言い合いを始めていた。


「陽菜! てめーはそうめん食ってろや!!」


「そうめん、うましだろ! 毎年、お中元でよこせやクソがっ!!」


 そのやり取りをよそに、蓮は心の中で思う。


(で、彩華の言うバイトって、いったい何なんだよ……)


 このカオスな状況のなか、話を聞く余裕もなく、もがくしかなかった。


 そして……。


 佐藤家から少し離れたコインパーキングに、一台の車が停まっていた。

 中には、彩華の父親の姿がある。

 彩華が「後は自分で対処する」と言い残し、車内で待機させていたのだ。


「彩華……九尾との闘い、大丈夫か……?」


 行けば怒られるだろうと分かりつつも、娘を思う父親の複雑な心境。

 そんな思いをよそに、ピザに負け、忘れられた父親の哀愁だけが、夜空に静かに漂っていた──。

★申し訳ございませんが、9/10は13時10分頃に続きを公開させていただきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ