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【悲報】東京のJK、妖精と青春中に“想いのスキル”発動したので恋愛とバトル開始します。-シーズン1-  作者: 新発田 怜
2章 - Kapitel Ⅱ - 陽菜と九尾の狐 編

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第5話:作戦会議??①

「やっぱ、那須のは九尾の狐案件?」


 陽菜が口を開くと、頷くようにして彩華が応えた。


「この状況を見る限り、そう考えるしかないわね」


 それは連日、話題になっていた、那須付近で目撃された、謎の飛来物に関するニュースだった。

 各テレビのニュース番組やワイドショーは、この話題で持ち切り。

 政府は公式に”流星群による小型隕石の落下”と発表しているが、SNSに投稿されている動画を見る限り、どう見ても隕石には見えない。

 先日の“謎の飛行物体”の映像と合わせて、今回もコメンテーターたちが無責任な言葉を交わしている。


 そして、陽菜、エレナ、蓮、そして竜司は彩華の自宅に集まっていた。リビングで、作戦会議??の真っ最中だ。


 ふと竜司が言った。


「オレさー、ミリタリー系好きだから多少詳しいんだけど、動画サイトで見たあれ、ぜってー戦闘機とミサイルだぜ」


「そんなもので倒せないヤツ、オレたちで本当に対処できるのか?」


 全員が黙り込む。しばらくして、蓮が決意を込めて言った。


「だが、それでも俺は陽菜を守る!」


 エレナが小さく、でも真剣に陽菜に問う。


「陽菜……大丈夫かな……」


 本当は沙耶も呼びたかった。冷静な判断力、戦闘センス、そして魔法の実力、どれも頼もしい。

 沙耶自身は口にしないが、実践経験が豊富なのは明らかだった。


 しかし、陽菜たちと違って沙耶は社会人なので、仕事の邪魔はできない。

 だから陽菜は、この件を沙耶には伝えていなかった。


 陽菜は笑顔で応えた。


「……大丈夫だよ。ウチら、これまでだっていっぱい難問を解決してきたし」


 そう言って陽菜はエレナと目を合わせる。

 エレナは少し考えてから、微笑んだ。

 お互いの意思が通じたのか、ふたりは同時に頷く。


 そして、陽菜は皆に向き直った。


「蓮、彩華、竜司さん、ありがとう。でも、ここからは私とエレナで対応する」


「これ以上は、ガチで危険かもしれないし、巻き込みたくない」


 彩華が止めようとした。


「ちょっと、待って……」


 しかし、陽菜は口を挟む。


「聞いてほしいの。蓮とエレナは知ってるけど……」


 それは、海での出来事と先日起きたスプリガンの件の話だった。

 ──海で陽菜が“想いの欠片”を手に入れたこと。

 ──スプリガンが”想いの欠片”を求めていること。

 ──そして、陽菜が九尾のその力を一時的に使えるようになったこと。


 彩華が息を飲む。


「ほかの勢力がいるってことか……」


 エレナが言う。


「だからね、みんなを巻き込みたくないんだ」


 だが、蓮は譲らない。


「俺は断る。お前を守ると誓った俺を、嘘つき扱いさせるな」


 陽菜は微笑みながら答える。


「そんなこと、ウチは思わない。気持ちだけでも十分嬉しいんだよ」


 それでも、蓮は強く言った。


「俺が自分に嘘つきと思うのは嫌なんだ。だから無理だ。諦めろ」


 彩華と竜司は黙って頷くと、竜司が叫んだ。


「なら、決まりだな!!」


 彩華も続ける。


「あたしらは、最初から手を引くつもりはなかったし」


 陽菜が慌てて言う。


「いやいや、マジでやばいっしょ!!」


 彩華が肩をすくめる。


「九尾の討伐なんて、陰陽師冥利に尽きるじゃんか!」


 竜司が付け加える。


「それに、オレには見えないけどさ、エレナちゃんも助けたいんだよ」


 そういうと、エレナは感動して目をうるうるさせた。

 そして、竜司の頭をナデナデする。


「竜司もいい子だね~、ナデナデしてあげる~」


 竜司が不思議そうに言う。


「ん?頭がちょっと温かいな」


 彩華が驚いた声をあげる。


「マジ!?今、エレナちゃんが竜司の頭、感激して撫でてるよ!」


 竜司は目を丸くして反応する。


「マジ!?」


 蓮が微笑んで言った。


「ひょっとしたら、竜司にもそのうち見えるようになるかもな」


 竜司は目を輝かせる。


「マジか!?めっちゃ見たいんだけど!」


 その瞬間、皆は思わず笑い声をあげた。


 皆の笑いが落ち着いたあと、彩華は静かに立ち上がった。

 本棚の奥から分厚い古書を取り出す。その表紙は黒ずみ、角は擦り切れ、時代の重みを感じさせた。


「これは、うちに代々伝わってきた陰陽道の記録。……九尾についても断片的だけど残ってる」


 テーブルに置かれた古書を、皆が身を乗り出して覗き込む。

 蓮が眉をひそめ、低い声で尋ねた。


「正直、読めないが……何か弱点みたいなのは書いてあるか?」


 彩華はぱらぱらとページをめくり、やがて首を振った。


「はっきりしたことはない。ただ、”九尾の力は欠片となって分散されている”って……」


 そして少し言いにくそうに続けた。


「それと……どうやら単なる妖怪じゃないみたい。もともとは陰陽道に関わる存在だったらしい」


 エレナが思わず問い返した。


「それって、人間ってこと?」


「そこまでは分からない。でも……少なくとも特別な存在だったのは間違いないわ」


 そう言ったあと、彩華は苦笑する。


「うちの家系は弓削氏に連なるんだけど、九尾を討伐したのは安倍氏の方だから……」


 蓮が声をあげる。


「あ~、安倍晴明って人か!」


「それ!聞いたことある!!」


 竜司もすぐに乗っかる。


「実際は、その子孫の安倍泰成っていう人が倒したらしいけど……」


 彩華はそこまで言うと、急にムっとして言い放った。


「……にしてもムカつく! どいつもこいつも晴明、晴明って!!」


 彩華としては、安倍晴明ばかりが世間でクローズアップされているのが悔しいらしい。


 そんな空気のなか、陽菜だけがきょとんとしていた。


「あべ……? あべのハル……」


 彩華が即座にツッコむ。


「ちょっと陽菜! 今、大阪のビルの名前言おうとしたでしょ!?」


 図星を突かれた陽菜は、頬をかきながら誤魔化す。


「ん……んなわけないっだったんすよ!」


 エレナは堪えきれず、ゲラゲラ笑い出した──。

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