決戦布陣、黒翼再び
ノルド帝国が放った“死の潮流”。
数十の魔導獣が霧の中から這い出し、
大地を震わせながら進軍を開始していた。
もはやこれは戦争ではない。
一方的な“蹂躙”――
そう思われたそのとき、
再び、空に黒き影が舞う。
再召集《漆の翼》
「漆の翼、再編成完了! 七人、全員揃っています!」
副長・レイファの報告に、
ジェネラル・オルデンはゆっくりと頷いた。
「前回は奇襲、今回は迎撃。
勝手が違うが、信頼している」
「当然です。我らが空に舞うのは、戦場の“美学”のためではない。
護るべき地がある限り、“命よりも先に飛ぶ”覚悟でおります」
七人の飛行魔法騎士たちが、
各自の杖と剣を確認し、空へと走る。
風を裂き、霧を切り裂き、
黒き刃となって進軍する魔導獣の群れに襲いかかる。
死の波、交戦開始
先頭を行くのは、魔炎甲獣ギル=ガン。
口から高熱の業火を吐き、
その歩みだけで地面が焼き尽くされる。
だが、空から現れた“雷槍”が、その背を貫いた。
「一体、沈黙確認。次っ!」
黒翼の一人が報告。
別の騎士が、高速飛行から爆裂魔法を投下。
「二体目、爆砕完了。歯応えのある獲物だわね!」
地上では、島の魔導砲陣も火を噴いていた。
前回の戦闘で使用された《焔槍一号》の姉妹機、
《断鋼二号》が砲撃を開始。
魔導獣の足を撃ち抜き、移動を鈍らせる。
騎士たちの連携
漆の翼の戦術は徹底していた。
雷、氷、音波、重力、風、幻影――
各自が異なる属性と役割を担い、
獣たちの動きと知性を読み切っていた。
「第三陣、炎獣に氷撃! 足を止めろ!」
「捕縛網展開、今だ、撃て!」
「右翼の爆裂魔導獣、囲め、逃がすな!!」
敵が数で押せば、こちらは知恵で返す。
オルデンの誓い
指揮所の上に立つジェネラル・オルデンは、
眼下の戦場を見つめながら呟いた。
「名は要らぬ。栄光も、称賛も、墓標も。
ただ、この島が奪われぬように――
我らは“名もなき壁”となろう」
副官が叫ぶ。
「ジェネラル、前線持ちこたえています!」
「……ならばまだ終わらせるな。
最後の一矢を放つ準備を、怠るな」
次回予告
次回【第二章―十七:神核の番犬、再誕】では、
死の波を凌いだ先に、ノルド帝国がさらなる禁忌を解放する。
かつてイケナが倒した“神核の番犬”――
その“残骸”を再構成した第二の獣《番犬・改》が、
最後の破壊者として島へと向かう。
だがその時、封印されていた“ある魔法”が解き放たれる――




