封魔結界、破壊作戦
イケナは、魔法の根源を自らの筋肉、神経、骨格、血流に流し込んだ。
《超・身体強化術式:天衝駆躯》──
瞬間、彼の身体が赤く輝く。
「全身に、火を灯すだけだ」
一歩踏み出すたびに、大地が砕けた。
跳躍するたびに、風が巻き上がり、周囲の結界柱が軋んだ。
敵の守護魔導士が叫ぶ。
「なんだ!? この魔力の流れは封じたはず──!」
「内部から自己増幅してる!?
あの男、“封魔空間の中で魔法を成立させている”……!?」
イケナは迷わなかった。
ただ一撃、一閃──
「喰らえ……ッ!!」
爆風と共に、六角柱の一角が砕け散った。
共鳴していた空中の結界陣が一つ、消滅する。
結界、崩壊
「一基、破壊確認!」
「結界が揺らいでいます!」
指揮所に歓声が走る。
ジェネラル・オルデンは短く頷いた。
「さすがだ、イケナ……だが──」
その瞬間、オルデンはイケナの身体の“異変”に気づいた。
代償
イケナの全身から立ち上る魔力蒸気は、もはや血の匂いを帯びていた。
筋繊維の限界。神経の焼損。
内臓にひびが入り、目は見えているようで見えていない。
ヒメカが駆け寄った瞬間、イケナは膝をついた。
「イケナ様……!」
「……やりすぎた……な」
「早く回復を──」
「いや、封魔は完全に解けちゃいない。今、魔法はまだ効かん。
……俺は少し、寝る」
彼は静かに、地面に横たわった。
その顔には、どこか晴れやかな笑みが浮かんでいた。




