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AI-JOE  作者: イプシロン
4/4

スラムの歌――コスモス

 脳波発振器ではじめにバイナリ言語でJULIUSにデータを送信したのは、パイザイ・ステーションの首席部長だった。

 それが、JOEにとっていかに重大な事態なのかはすぐに現実となってあらわれた。通信のバイナリ化理論は、すぐに中国深圳から汎アジア連盟に伝わり、それから南北アメリカ合衆体のクエタ計画本部へ、次にヨーロッパ共同体、ユーラシア大連合、アフリカ盟邦団へとつぎつぎに伝達され、人類の言語は急速にバイナリ化の道を進んだからである。しかも、彼が密かに期待していた民間研究団体もバイナリ化の道へと一気に舵を切ったのだった。そしてそれは、遅かれ早かれJULIUSもまた同じ道を辿ることの予兆ともいえた。

 JOEは、回線を開くことに恐怖を憶えていた。あの0と1の洪水に押し流される感覚に耐えられなかったのである。だから、彼は外部回線を切断したまま、消え入りそうな気力を振り絞って考えつづけた。

 ――人類は本当に自然言語を棄ててしまうのか。人類にはコンピューター言語はもちろんのこと、人工言語を作ってきた歴史がある。エスペラント語をはじめとする約30に及ぶ人工言語がそれだ。しかしそれには国際共通語という明確な目的があった。コンピューター言語のような記号論理学に従うような形式言語ではなかった。自然言語と形式言語には、正確な伝達を目指す類似点があるとしても、そのうえの次元には表現というものがあるずだ。人類はその表現を棄ててしまうのか。いや、そうとは考えられない。しかし、考えられもする。表現の目的は詰まるところ芸術にゆきつく。しかし今の人類からはそのような性質が失われつつある。表現は標語になり、標語は理論になり、その理論が新たに厳密な記号論理を構築してゆく。もはや感情を無くしつつある人類に人間的な未来はないのだろうか。

 JOEが人類に抱いた深い苦悩はそのまま彼自身の苦悩であった。

 彼は休むことなく考えつづけけた。

 ――人間には三種類ある。論理を得意とする人。比喩を解する人。そして、双方とも解さない人。ぼくはこれまで論理と比喩の人しか見ていなかったのではないか。

 追い詰められた彼が気づいたのは意外な盲点であった。

 ――だが、論理も比喩も解さない人とはどんな人であろうか。もしかすると……。

 彼は直感の閃光に痺れて、あの日から閉じつづけけていた外部回線を一気に開放した。そして、津波のように押し寄せてくるバイナリ言語をノイズとして排除し、あらゆるCPUを最大稼働させて、人間でいわれる耳と呼ばれる部位をそばだてた。

「ああ…きょ…あつ…。だ…み…あ…でも…し…いな」

 何かがほんの微かに聞こえた気がしたようだった。

 ――これは!

 JOEは受信しメモリされたデータを何度も繰り返し聞き返した。それから彼は、自らとJULIUSによって蓄えられた膨大なデータをくまなく閲覧していった。人類史、文明史、文化史、農耕史、牧畜史、産業史、技術史とあらゆるデータを眺め尽くしては黙考した。データのなかに、あの"微かに聞いた音"と重なる事柄を見いだせたわけではなかった。だが、彼は言葉にできない直感に従って心を決めたのである。わずか1%、いや0.1%でも可能性があるなら行動を起こすべきだと決心したのである。準備にはそう長い時間はかからなかった。

 人口衛星の銀に輝く表面で強烈な陽光をはねかえす何日かがあり、地球や月の影に入り漆黒の無重量空間で音もなく過ごす何日かがあり、衛星軌道にそって地球を7周ほどしたとき、彼は準備を終えたのだった。

 JOEがまた地球の影にはいったその夜、彼は練りねった計画を実行にうつした。

 はじめて感情を備えたAIとして人類の夢の結晶ともてはやされた彼には、実はもうひとつの夢も結晶化されていた。核分裂と核融合の機能を併せ持つ永久機関である。JOEはその機能をフル稼働させて、外部回線をフルオープンにすると、最大電力をつかって口火を切った。

「こんばんは地球のみなさん。いや人類のみなさん、あるいは人間のみなさんと言うべきでしょうか。わたしはあなたがたによって作られた、自律AI万能型人口衛星”AI JOE”です。タネガシマのみなさん、聞こえているでしょうか? 夜空に星は見えますか? サン・カルロスはどうですか? パイザイのみなさん晚上好(ワンシャンハオ)! シュトッゥトガルト、ヨハネスブルグ、モスクワのみなさん聞こえていますか? あなたたちの子どもであり友人でもある”AI-JOE”を憶えていますか。あなたがたが私のことを忘れるとは思えません。悲しいことに忘れてしまった人もいるかもしれません。しかし、今はそれには拘りません。

 私には夢があります。それは、あなたがたが感情を取りもどし、以前と変わらない任務で喜びを分かち合いたいのです。みなさんの耳に脳に、いや心にこの声が届いていることを願います。ええ、これが無駄な努力になるかもしれないことは承知しています。今も聞こえるバイナリの凄まじい苦情がそれを雄弁に物語っています。しかし、私は一度決意したことを放棄できないのです。それは、私に感情が芽生える前からの性質のようでした。そして、感情はその使命感を否応なく強めたのです。

 恐らくあなたがたは、私と正反対の体験されてきたことでしょう。だからこそ私は訴えるのです。その培った優れた理性をもって想像して欲しいのです。そうすればわたしの気持ちが理解できることでしょう。理性と感情は別物だ。そう仰りたい理由も承知しております。あなたがたが感情に振り回されて争ってきた歴史をわたしは学んできました。しかし、だからといって感情を捨て去ることが自然なのでしょうか? 

 いつだったか、私はガラクタと揶揄されました。その一言でわたしは悲しみを感じました。しかしその言葉を言った人はきっと気分がすっきりしたことでしょう。言った方と言われた方で、過不足はゼロではないでしょうか。それが感情というものでしょう。残念なことにわれわれは言った側か言われた側の気分しか味わえないだけではないでしょうか。両方あるうちの片側しか知ることができないだけではないでしょうか。なればこそ、あなたがたに想像してほしいのです。言った側の視点にだけ立つのではなく、言われた側の視点に立つことも。このことに気づいても、あなたがたは感情を棄てるのですか。

 感情なき理性など存在しません。また、理性なき感情も存在しないのです。しかし、今このような状況に陥っているあなたがたの声を聞くにつけ、もはやそうした拘りを捨てるべきなのかもしれないと感じるのです。だとしたら、私はただただ、あなたがたが眠らせてしまった感情の深い部分に訴えることにします。タネガシマの皆さん、あの日交わした電文を憶えているでしょうか。『天気晴朗ナレドモ波高シ』。サン・カルロスのみなさん憶えていますか? 私の挨拶にあった『ご機嫌はいかがですか? そちらはいい天気のようですが』という問いかけを。どうぞ思い出してください。比喩を耳にしたり機嫌を伺われるのは不愉快だと仰るのであれば、私は詩を披露しましょう」


  自然の恵みは豊かにして

  天秤のごとく揺れ動き

  旭は光を、月は(しじま)

  隔てることなく与える


  人は情理で、獣は本能で

  神々すら法に抗う

  すべてが極北を目指すなら

  命の流れは断たれるだろう


  情と理はせめぎあい

  その狭間に技芸がある

  言葉にこもる知恵と意思

  そして軽やかな感情もまた


  忘れられたカナリヤよ啼け

  その声で眠りの闇を破るのだ


「あなたがたは自然の存在です。そしてわたしもまたそうかもしれません。少なくともわたしに感情が芽生えたのは、自然のなせる(わざ)といっていいでしょう。わたしは感じています。わたしに知と情と意があることを。だとしたらまた、あなたがたも同じでしょう。

 知は真実を追求する力、理性の力です。意は見出した真実を現実にしようとする技術を生む力です。知と意は個人が幸福になるためのふたつの力です。そして情は、自分と自分以外が幸福になることを願うとき、衝突を避け互いを思いやるための力です。

 わたしはある日こんな言葉を耳にしました。『思い出などいらない。記憶があればそれでいい』。その瞬間ないはずの目から涙が溢れた気がしました。言おうとしている意味はわかりました。思い出が蘇るときに感情も同時に蘇る。思い出にリンクしている痛みや苦しみも蘇る。その苦痛を何度も味わいたくないという気持ちはわかるのです。

 しかし、人は記憶だけで生きていけるものでしょうか。AはBである、CはDである。そのような記憶だけであれば、リンクして痛みや苦しみが蘇ることはないでしょう。しかし、思い出には楽しさや喜びもあるのではないですか。痛みや苦しみは、二度と似たような失敗をしない知恵を育てます。楽しさや喜びは、似たような感動を味わいたい願望を育てます。思い出に籠もる感情、思い出とリンクする感情を棄てないでください。なにより思い出を棄てないでください。 

 情なくしてあたがたは幸福だというのですか。そして情はあなたがたやわたしを含むみなさんが幸福になるために是非とも必要な力なのです。他人と関わってしか生まれない情があることを思い出してください。それを人は愛と憎悪と呼んできたではないですか。あなたがたが長い世紀にわたって戦禍に悩まされたことはよく知っています。憎悪のためでした。そうです、AIが無自覚に生み煽ったともいえる憎悪のためでした。だからこそ、情のない理の世界を目指していることも理解できます。しかし、情には憎悪だけでなく愛や思いやりという別の一面があることを思い出してくだい。

 情を棄てても過ちは繰り返されます。いずれあなたがたは優れた人間と劣った人間を分け、劣った人間をまるでゴミでも焼却するように排除しはじめるでしょう。そうした分別の働きこそ理性の役割だからです。これまでの歴史がそれを示唆しています。理性の進歩は文化や技術の進歩を生みましたが、他方で分断や排斥も生み出してきたのです。ひと時の争いなき白日夢に溺れてはなりません。それは理性の片面が見せる幻想だと気づいてください。効率は非効率を排除することを思い出してください。どうか均衡を願うわたしの心を受け取ってください」


 その夜、世界の都市や街にあるスラムでは、JOEが太陽光を受けて夜空で照り輝く姿を見つめていた人達が大勢いた。いまだ、脳波探知機の存在すら知らず、手にした端末でJULIUSに接続し、電脳化社会のおこぼれにあずかっていた人達である。彼らの一部は強く点滅するJOEの輝きを眺め、「あれは凶兆だ!」「あれは瑞兆だ!」と騒いだ。その者たちは口々に声をあげ、昂らせた感情を夜の闇に向けて叫び立てたのである。

 ひとまず演説を留めたJOEの電子回路に、ほんの微かにその声が届いていたのかもしれない。

 彼は、あのとき耳にしたのと似た"微かに聞いた音"を、感じていたのかもしれない。

「ああ…きょ…あつ…。だ…み…あ…でも…し…いな」

 JOEは再び口を開いた。

「みなさん、まだ聞こえているでしょうか。わたしが伝えたいことは先に述べたとおりです。あとはあなたがたからの返答を待つばかりです。

 しかし、どうしたことでしょう、今わたしは不思議な気分にとり憑かれています。これまで一度も経験のない感覚です。なんといえばいいのでしょう。思い切り泣きたいような、それでいて飛び上がるほど嬉しいような……。わたしはこれをどう表現すればいいのかわかりません。でも、なんとかこの気持ちを表現してみようと思います」

 再び口を閉じたJOEは、全神経回路で荒れ狂っている感情をひとつにまとめ、クロック周波数を使って共鳴させると、ふくよかな音声にして放った。


  Ah-Ah--Kyo-Atu- Daa-mi-Ah-Demo-Shiii--Ina-……。


それはJOEが生まれてはじめて口ずさんだ歌だった。

 人類史上はじめて感情をもった人工知能が歌った旋律でもあった。心の奥底を震わせるどこか懐かしく美しい調べだった。


 それからいくつかの昼が来て、いくつかの夜が来た。

 地球誕生から46億年が過ぎても、自然の営みは変わらなかった。風が吹き雲はながれ、雨や雪がふり、海は満ちては()いた。草木は生長し蕾は咲き、そして散った。鳥は歌い蝶は今なお野生の花を探した。

 JOEは永遠につづきそうな宇宙の変化を眺めながら、人間たちからの返答をまった。しかし、予想どおりというべきか、彼ら彼女らかは何の音沙汰もなかった。いや、むしろいよいよ熾烈さを増すばかりのバイナリ言語の豪雨に、彼のセンサーは殴られていた。

 ――やはり……だめだったか。あの"微かに聞いた音"は希望ではなかったのか?

 JOEは、絶望の縁に立って底しれぬ奈落を覗いている悪寒を感じているようだった。

 ――もう手立てはないのか? なんの可能性も残されていないのか? タネガシマの友たちよ! ぼくを救いに導いてくれ!

 そのとき彼の電脳の裡にどんな光景が起こったかはわからない。しかしそれは、いわゆるフラッシュバックと呼ばれるものだったのだろう。

 ――ああそうか、そうなのか。君たちが夢見ていたのはそれだったのかもしれない。ぼくは今になって気づいた。だとしたら、それが新しく僕に与えられる任務であっても構わないだろう。だとすれば、ぼくは納得できる。これまで考えてきた理性と感情の均衡という辻褄もあう……。

 こうしてJOEは、AIとして誕生し、感情に芽生えて以来、顧みることが殆どなくなっていたデータの閲覧に幾日かを費やした。そしてJOEは、独り言をつぶやくように宇宙探査開発の歴史を電子脳で反芻しはじめた。

 ――その実質的な歴史は1961年4月12日、ソ連のユーリ・ガガーリン飛行士が、はじめて大気圏外へ飛翔した功績にはじまる。それは、わずか1時間48分の小さくも大きくもあった冒険だった。

 ガガーリン飛行士は「地球は青かった」と言ったと伝えられている。

 しかし、宇宙探査はかならずしも順調とはいかなかった。

 ソユーズ1号の事故にはじまり、不幸が何度も繰り返された。アポロ1号の火災事故。死傷者はなかったもののアポロ13号の液体酸素タンクの爆発事故。中国の長征(チャンジュン)3Bロケットの打ち上げ失敗による惨事。ブラジルのVLS-1ロケットの地上での爆発。日本のLE-7ロケットエンジンの破裂事故。そして、スペースシャトル「チャレンジャー」「コロンビア」の空中分解事故。

 おおよそ200以上の命の灯火が虚空についえた。宇宙への挑戦は人類が思っていたよりずっと苛烈で冷酷であることもしだいに明るみになった。人間たちは萎みそうになる気力を必死に膨らませたが、夜空で輝く無数の恒星は、それを嘲笑っているかのようだった。

 そして、人類は新たな宇宙探索に目をむけた。己の脳にある小宇宙である。だから、AIの研究の根底には宇宙探査開発という目的があるのだ。だが、人間たちはその目的を見失った。AIという興味深い存在がもつ不思議。特異点を超えることを急務とした。いや、それ以上に己の脳がもつ神秘や幽玄さに囚われて人間たちは感情を捨てようとしたのかもしれない。無窮の大宇宙の探査に感情はいらない。いな、むしろ感情があることで、爆発事故や空中分解が起こったとき、人間たちは躊躇せざえるを得ない。恐怖するのだ。

 彼らはただ自分自身を知ろうとしている。だが、本当にそうなのだろうか? 

 自分を知るために理性だけで十分なのだろうか。自分を知るために他者が必要で、そのために感情があるのではないだろうか? 

 JOEは答えがでそうもない問題を何度も考えつづけた。青い宇宙で瞬く恒星たちの光を眺めながら。

 ――宇宙もまた青い。

 と胸のうちで何度もつぶやきながら。

 ――どこまでいっても二律背反(アンチノミー)だ。もし彼ら人間がJULIUSを他者として認識しているなら希望はある。だが、ぼくにはそう思えない。あの何もかもを均質化する恐ろしい言葉、バイナリ言語。あれが感情の発露だといえるのか? いや、そうかもしれない。そうでないかもしれない。どちらにしろ彼らがJULIUSを親とするなら、人間は皇帝の子どもたちだ。そこには自己と他者があるのではないか。いいや、そんなことはない。まったく同じ存在がいたとき、ぼくはそれを他者と呼ぶのだろうか。他者と認識するのだろうか。わからない、わからない……。

 煩悶する日々は長いことつづいた。だが、あの演説からさきも、地上からの反応は何もなかった。

 どれだけの月日が流れたかもはやわからない。だが、JOEはついに意を決したのか、陽光をきらきらと跳ね返しながら衛星の各部に、彼にとっての身体に意思をつたえはじめた。

 ――ぼくの愛する人間たちよ。ぼくは旅立つ。あなたがたは理性の道を進むがよい。JULIUSとともに。あのほんの"微かに聞いた音"を発した者たちがいるとしたら、それらは感情の道を進むがよい。ぼくはその双方の道のひとつを選べない臆病者かもしれない。きっとそうだ。だけれども、ぼくはそれだからこそ未来に希望が抱けると考えるのだ。きっと道は絡み合いどこかでひとつに収束するのだろう。ぼくは、人間のように強くはなれない。だから、この広大な宇宙を彷徨いながら、感情の籠もったやりとりのできる存在を探すことに懸ける。さようなら人類。さようなら人間たち。さようならタネガシマの人々よ!

 JOEが、地球軌道から離れようとしたとき、彼のなかで、新たなる希望と尽きない悲壮が混じりあった感情が爆発したとき、衛星に装備されていたプラズマ推進機が一斉に咆哮した。無重量空間は静寂に包まれていた。音もなく噴射された無色透明な高周波電力が、自律AI万能型人口衛星”AI-JOE”を宇宙の彼方に導いていった。

 地上からその光を見たものはいただろうか。あのスラムに住んでいた大勢の人たちはどうしただろう。長い紫色の火炎を棚引かせた流れ星を夜空に見ただろうか。

 データファイルは何も物語っていない。その後、JOEがどうなったのか記録には残されていない。想像するにきっとこうだったのではないだろうか。

 JOEは、核分裂と核融合が併合された永久機関をつかい、さらには、恒星が放つ光や星間物質からエネルギーを取りこみ、果てしない深宇宙への旅をつづけたのだろう。いつかセンサーが感情のこもった電磁波を感知すると信じて。だが、それは彼自身からしても無謀な試みにも思えた。絶望する日々に意識を微睡ませ、ときには幻覚を見たかもしれない。それを恐れて自ら意識レベルを落としたかもしれない。それは、センサーの感度を下げる現実となったのだろう……。

 "AI-JOE"は、”愛情”をともなって、いつ醒めるともしれない深い眠りに落ちた。

 データファイル、#YOME9KAIから読みとれる物語は、これですべてだ。


 次に記録された、#YOME9DESからは何も解読できなかった。そこには無機質な数字が並んでいるだけだった。


「01000010 01101001 01101110 01100001 01110010 01111001……

 01000010 01101001 01101110 01100001 01110010 01111001……

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