第七十五話 友情の誕生日(前編)
シーナ視点。
唯一の友達が目を覚まして数分が過ぎた気がするシーナは、白く清められた汚れ1つ無いベット温もり持ち息をするルーナを椅子をベット横に置き座りながらジッと動かずにいた。
悲しい記憶が今も胸を刺し涙が流れてきそうになるがグッと堪え平然を装う事にした。
良い子のふりは得意だから、せめて再び目を覚ましたルーナが泣いているシーナを見て泣かせないためでありここで泣いたら踏ん張る力も抜けてしまいそうになるから。
シーナは怒りやすい方ではある。シーナは正人達と共にしていた時は大人しくしていたがルーナとの小さな喧嘩は数えればキリがないほどしてきた。
ルーナとは、腕っ節は互角で知識ではシーナの方が優れている… と本人は思っているが… 心の底では自分にはない大胆さや応用力あるルーナを羨ましいと思う時が多々ある。
父親に頼めば何でも手に入る。玩具に本に食事に... シーナが一言ほしいと言えば、手に入った。
それはルーナも変わらない。母親がいない二人を可愛がる親同士はとにかく甘やかしていた。
唯一の違いは、シーナの父親はあくまでも才能あると判断したシーナへのご褒美であり、ルーナの父親はただの可愛がりである点だけ。
シーナもその点を理解して要領よく動いてきた。父の喜ぶ事を意図してやり、わざと失敗を演じほしいものを手に入れる時もあった。続ければその価値を失う事も理解し日々を楽しんでいた。
そんな日々を過ごしていたシーナにとって手に入らないモノはない、頼めば手に入る。いずれ自分も同じ力をつける父の仕事を継ぎ世界征服をしようと子供ながらに思っていた。
そんなある日、シーナの考えを大きく変える少女と出会う。
父の開いたパーティーでの事、パーティー用にわざわざ屋敷を建てた父が連れてきた友人の子供だと言われ、ルーナとその時始めてあった。
名前は知っていた。父とその友人の手紙の中で何度も目にした名前。
何でもない話、子供の成長について、育児は大変だと… 愚痴かと思えばただの惚気に満ちた手紙を父が微笑みを浮かべ家の仕事机で見ていたのをシーナは覚えている。
「やぁ! 今はロウだっけか? 君は大分老けたな… 200年でここまで老けるとは… やっと人間らしくなったじゃないか?」
「うるせぇ! 俺はお前と違って純正品じゃないから老いが遅いだけでちゃんと死ぬんだよ! ん? まさか…その子が...」
父は友人と楽しげに話しているとルーナは思いながらも、このパーティーの意味を考えていた。
「…あぁ。こんなに大きく育ってくれた。ホント子供を育てるのは大変だよ。母親に今さら感謝しているこんな親不孝な身ではあるがね」
「それはどっちの親だ? 腹から産まれた方かそれともあの悪魔か?」
「ハハハ! 良いや? もちろん人間の母に... それと父に… 妹を救うため一人にしないために人間を辞め一人になり… 長い吸血鬼生ではあるが死んだ後、私は両親に会えなくても... この子達だけは母親に会って欲しいと思う日々だ…。…それで? ルナちゃんだよねその子、君が子育てを出来たとは驚いた記憶が無くとも親代わりは出来たと言うわけかい?」
お互いにパンチラインスレスレの発言から空気を若干ピリつかせながらも楽しげに笑いあっている。
それほど楽しい話なのかと思うシーナは、視線を友人の側を離れて遠くのテーブルにあるケーキを食べたそうにしているルーナを気付けば見ていた。
シーナはルーナと目が合いハッとする。それほど自然的な、当たり前のように気が離れるほどに見ていた。
「うふん!」と自信ありげに父親の手を離しルーナはシーナに近づく。
「ごきげんよう! あなたがシルですわね? そんなに見つめて、ワタクシと友達になりたいのならなってあげますわ!」
「…」
シーナは無視をした。普段のシーナであれば適当に返し話終える所だったが、この日この時出会ったルーナに対しては何故か泉に如く湧く言葉も詰まる。
シーナに友達がいないわけではない。友達はいる。シーナの言葉を肯定し適度な否定をするように訓練された友達が。
週一回のお茶会や誕生日パーティーがある度に呼んでいた友達が、シーナが社会勉強の為に必要だと判断し父親の取引先の子供と会う機会もあり、人間の友達を作って勉強していた。
だがこの日のパーティーには何故か人間の友達は居なかった。去年のパーティーまで居たはずなのに… その小さな疑問がこのパーティーの意味にシーナは今は知らないが… いずれ辿り着く真実ではあった。
「シルちゃんは話で聞くよりも大人しい子だ。うちのルナと仲良くして貰えるだろうか? お前の教育は完璧だろうが、やはりもっと後でも...」
「ハハハ! 待つのは良いが… それは、君が死んだ後かい? 子供は親である私達が思うよりも早い合う会わないはあるが… 柔軟なうちに会わせるのも私は必要だと思うがね」
「お父様、私この子がほしい! お友達になりたいですわ!」
「ルナちゃんもそう言っている。シルはどうしたい? 我が娘は賢く才能に満ち溢れている! お前の答えを父に聞かせておくれ?」
「…」
犬。シーナはルーナを犬と見ていた。ただ甘え声でねだり何の苦労も知らない自身よりも劣る存在であると。
「私はもう少し考えてからお伝えしますお父さん」
「我が娘ながら頭が固いが… 君の答えなら父も様子を見ていよう」
「えぇ…。お父さん、私少し外の空気を吸って来てます。考えたいことがあって…」
「わかった。ケーレ、シルを外に案内を」
「一人で行けます。もう3歳の頃の誕生日みたいにメイド達の仕事を増やさないであげて」
「確かにあの時は大変だったね。大規模な屋敷を建てたが大きすぎて準備が間に合わずで私も手伝った。分かった、ケーレは持ち場に戻れ。けど… この後まだ準備していたものがある早めに戻ってきてくれ。シルとルナちゃんに私とロウで準備したモノだ」
「分かりました...」
シーナは会場を後にする。
「おい… あれはサプライズって話だっただろ! 何故バラした」
「…ああでも言わないと娘は部屋にでも戻り帰ってこない…。それよりも君のルナちゃんはどこに?」
「あ? ルナならここに... ってあっ! まさか…」
ルーナの父は辺りを慌ただしく見回すが、見つからないことから着いていった事を察する。
「…良いじゃないか。あの娘達を二人で話す時間も必要さ…フフフ」
「お前は… はぁ... 歳の生か… キレやすくなったのは…」
「元からだろ?」
「…。…そうか」
これが二人の出会いの始まりである。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この話は最後まで書いたのですが間違って消してしまいやる気が半減したので前後編とさせていただきます。
感想などお願いいたします。
評価やブックマークもお願いいたします。作者のやる気が上がり早く続きを書くかもしれません。




