第七十三話 私達は友達だったのに、なぜ?
ミルが1週間の反省部屋行きを言われ来て早々に問題児のルルと出会う。
ミルは… またベットで寝たいらしい。僕がこの記憶世界に来てからほぼ寝ている… 起きてる間は言葉数こそ少ないが、話したくないから話さないのか必要の無い限り話そうとはしない。
う~ん… 僕の知らないミルが増えて記憶の整理とギャップで頭が重い。
ミルもそうだけどルルも始めてあった時もそうだし二回目もそうだし... 性格がコロコロ変わってないか!?。
いや... まだ歳相応と考えれば納得するけど、アレがどうしたらあーなるのか…。
友達いたんだなミルにも...。
だけどどうしてあんなに心配する子達をミルは避けるんだ?。
ん、なんだ? まだ寝ているはずなのに… ミルが何か怖がってる?。
あ、起きた。
悪夢でも見てたのだろうか…。
「起きたか◼️◼️…」
目をしばしばさせ声のする方を◼️◼️は見る。微かにボヤける視界では誰か分からない。
「ダレ…?」
「ビクターだ。お目覚め早々で悪いが、様子を見に来た」
「あ… ビクターさん」
名前を聞いたとたんに目が覚める。
◼️◼️は、あくび混じりで体を起こしベットの横に置かれた椅子と机の方に歩き椅子に座る。
「ルルには少しだけ私の部屋に行ってもらい… とても心配だが、君と話がしたく部屋で待つよう言ってある」
「あ…!?」
◼️◼️の頭の中に先ほどまでの寝る前の記憶を思い出し顔に熱が集まる。
子供の小さな両手で小さな顔を覆う。
「◼️◼️何かあったようだが… 大丈夫だ。今は私と君の二人だけ、何があったか話せる範囲で話してほしい。相談にのると約束したからね」
「あ… あぁいえ… べ、別に…! 相談するほどの事じゃないし、あれは私の間違いで起きた事故で… もう既に話し合いで終わった事なので大丈夫です!!」
「そ、そうか… すまない、何も無いのなら良い。ルルと仲良くやれるか心配だったので、な」
ビクターは、耳まで赤くなりながら必死に話す◼️◼️にビックリする。
「うん、無いのなら良い。…私はルルの元に一度戻るが、最後に一つだけ… ルルに関することだ」
「…何ですか、そうな改まって…」
「ハハ、そう警戒する事でも無い。ルルは君と同だから、話しておこうと思ってな」
「同じ?」
ルルがミルと同じ?。
「…ここに居る子供達ではそう珍しくは無いですが、親の顔を知らず、◼️◼️と同じ病に心を蝕まれている」
「…」
「君と同じだから仲良くしろと言うのは酷だ。君の事を心配していると言っても信じてはもらえないだろう。だが知らないよりは少しでも知ってた方が君も安心するだろうと…ね?」
「…なら余計なお世話です。ビクターさんは私がアイツと仲良くなる気なんて無いと分かっているはずなのに… 早く出たいので反省文は書きます。ちゃんと1週間以内に。その後ちゃんと二人に謝りに行きますよ… それで終わりです」
「…そうか。君次第だからこれ以上は言わないで置く。相談はいつでも来なさい」
そう言い終えるとビクターは部屋を出る。
ミルにモヤモヤとした気持ちがある。考えまでは分からないけどミルはルルを本当に嫌っているとはこの感情だけで判断は出来ないが… 少なくとも思えない。
ルルが特別変だから、嫌いとも違う。他の子にもわざと冷たく当たり、ミルは周りから人をわざと離れさせようとしている様に見える。
だけどなぜだ。なぜそうする必要が...。
壁越しに足音が聞こえる。二人だろうか… ルルとビクターが戻ってきたのだろうか。
◼️◼️は隠れるように布団に潜った。
コンコンとドアを叩く音がする。
◼️◼️は、無視をする耳を手で塞ぎ聞こえない様にする。
再びコンコンとドアを叩く音がする。
『モモちゃん急がないととビクターさんにバレちゃうよ…!』
『…しっ! 静かにしなさいララ。 大丈夫さっき部屋に戻るところ見たから来ないわ!』
ドアを隔てた向こう側からヒソヒソと声が聞こえる。
吸血鬼の聴力では、耳を塞いだくらいではまだ聞こえてしまうのだろうか。布団の中で目を閉じているせいか何も見えない…。
微かに聞こえる声で判断するに同じ部屋だった子達だろう...。
◼️◼️もそれに気付き布団から出る。
『誰も居ないのかな…?』
『…居ないはず無い。反省部屋はここのはずよ。屋敷の管理を任されているビクターさんの許しが無い限り出られないとても怖い部屋だって他の子に聞いたけど…。ふん、◼️◼️のことだからどうせ部屋で寝ているのよ... 怖いものが無いのかしらあの子』
『うう… 怖いけど入るしか無いよねモモちゃん... オバケとかいないよね…』
『居るはず無いでしょ!? お、オバケなんてそんなのいたとしても私がどうにでもするから、部屋に入って直接◼️◼️に言うしかない… そう二人で決めて来たんだから... 開けるよ?』
『うん…』
外の二人が開けるよりも早く◼️◼️は扉を開ける。
「見るな…」
え?
「…見るな、見るな見るな見るな見るな見るナ」
ミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナミルナ。
私を見るな。
知る必要はない、私のことなんて誰も知る必要はない。
お前もだ眷属、お前にだけはゼッタイ! 知られるわけにはいかない…。
殺したくない… イヤだ… 原初は殺したくない無いんだ… お前を知られたくないんだ… 逃げてくれ… 遠くに何処までも遠くに… 世界の端で私が消えるまで身を縮め隠れていろ。
(何が… 頭の中にミルの声が聞こえる!?)
場面は、突如劫火に焼かれた部屋に変わる。作りから先ほどまでの部屋だと分かる。突然の変化に何が何やら... これも記憶なのだろうか。
(そうだ、扉は!)
「だからこれ以上… 私を見るな!」
何かに手を掴まれるように正人は記憶世界から追い出されてしまう。
「…ぐっ、はぁはぁ」
「…意識は、まだ落ち着いてないようだね」
「…はぁ。声が… 聞こえたんです… はぁはぁ、あれは… ミルの声でした…」
「…まずは落ち着け少年。君は長い時間向こうに居たのだろうが、こっちからしてみれば3秒くらいしか経ってない。何があったか聞く気もないがまずは落ち着け深呼吸だ」
「ワタクシは気になりますわ! 眷属さん、原初様の過去はどんな吸血鬼だったんです! 隅から隅まで教えてください!」
ルーナは正人の手を掴みグイグイと顔を近づけ聞く。
3秒くらいと言っていたが記憶を見た弊害だろうか、頭が痛い。声に反応して頭の中に埋められた針が揺れ奥に刺さるように痛い。
「ルーナ少し静かに… 声が五月蝿すぎて頭が痛い、それにまだ気持ちの整理だって…」
「…そんなに原初様の辛い事を知ったのですか眷属さん」
「…分からない、知る前に追い出された感じ… よほどミルにとって他者に知られたくない秘密だったらしい」
正人は深呼吸する。
「ふぅ…」
「そうだ... 眷属が戻ってきたら話そうと思っていた事があったんだ…」
元原初は、正人が開けた扉の先を見て言う。
ニコリと見ているこっちが一瞬血の気が引く顔で自然に話す。
本当に信頼して良いのかと改まって思う。
「眷属、君がもし…」
だって、この原初は―
「私達が考えた策に失敗したら… 君の原初を殺す事になっている。だから説得に失敗したら… 君をここで私が殺す…」
願い(こころ)があるから、疑いたくなる。
よく知らない他人であろうと分かる。
花を愛でるような優しい声で、身を凍らせるほど冷たい目で話す言葉は全て本気なのだと… 一瞬でも疑えば殺される。
それは僕に言い聞かせるように、見てくる本人ではない誰かのためだろう行動であると。
一度死んだからだ。きっと僕は死ぬことに敏感になったのだろう。
「やっぱり、始めから…」
「…なんだ。知っていたか。フランに聞いたの? あの娘がそこまで君に話すとは私は思えないが、これも子の成長かな…」
「違う… 始めから信じきれない僕の考えが生んだ虚像が偶々合っただけで… もしかしての産物です… 本当にそうだとは思いたくないですが…」
息が詰まる、喉に小さく細かい穴の空いた蓋があるみたいに呼吸が苦しい。
「眷属さん…。だけど眷属さんなら助けられると私は信じてますわ! 私にしたことがそうだったように眷属さんになら絶対に原初様にも同様… できますわ」
当たり前だ… 僕が... やらないと… ミルが殺される。
僕が死ぬのは良い。けどただで死ぬ気は無い。ちゃんと僕のやるべき事を果たして死ぬ。
ミルを助けて、周りを助け、小さく一歩を踏み死ぬ。
傲慢が僕なんだ。欲張りで大いに結構。損をするのは僕だけだから... 未来に全ブッパでミルが幸せと思える未来の橋の一部になれたからそれで良い。
「…本当に。こんなことを言うとハズイけど。ありがとうルーナ。ルーナが居なかったらここまで来れなかった…」
「はわわ!? これもう告白ですよね! ね、シーナ! あ… シーナは居ないのでしたわ…」
「…告白じゃありませんので勘違いしないでよね。…フッ。シーナにも帰ったら会えるから頑張ろうルーナ!」
「…はい。眷属さん、ふふふ」
良い笑顔とはこういう顔なのだろう。
僕はどんな顔をしている、こんな綺麗な笑顔にさせた者の顔を見てみたい… きっと面白い顔なのだろう。
楽しく笑う、臆病者なのだろう。
「…はぁ、先行くぞォ」
「あ、は~い。ほら眷属さんも十分休んだでしょうから行きますわよ!」
「うん」
きっと日本に戻った後、前と同じ生活に戻るか分からない。
うん… 怖いけど、それはミルも同じだと思う。何が怖いか分かった。
あの屋敷での生活であり、それを知ろうとする僕を怖がっていた。
まだ具体的に屋敷での何が怖いかは知らない。
僕はその秘密を... 知ろうとするから追い出された。妨害… してくるのだろうか… 殺しにかかってくるのだろうか。
怖いなぁ… 会えなくなるのが、死ぬより怖い。
死ぬのも怖い… 次はきっと無いから。
正人は、頭を押さえながらも先を歩く。
歩いているとに周りの景色も変わる。
それは、先ほど見た記憶世界で見た景色に似ていた。
白い子供の影が走っている。
走る音、微かに聞こえる生活音等から誰かがいる気がした。
「―ぁ…――て」
「…ミ――こ…」
ルーナも周りを見渡す。
「声は聞こえるのに… 誰も居ないのですね」
「見えなくて当然、魂は記憶の保存機みたいなモノ。その者が何者か記録するため、深部に向かうほど主の忘れた記憶が形となって彷徨っている。肉体を動かす機能などその一部に過ぎない」
歩きながらも、説明を挟む者がいた。
どうやら周りにはこの白い子供達は見えてないようだ…。
「…だが、ここに長居してはいけない」
「あら、なぜ? とても楽しい場所に思えますわここ… 貸し切った遊園地のようで楽しいですわ!」
「…君も記憶の中で迷いたいのなら結構。私達は外からきた部外者とはいえ長居すれば神の干渉、世界の意識とでも呼ぶべきか存在の書き換えが行われここに君の記憶が増える… それだけだ」
「ひっ! そういうのは早めに言ってほしいですわスカポンタン!」
「なんだスカポンタンとは? 言えと言うが今言ったのだから良いだろう」
「むぅ…」
歩き続けると再び扉が現れる。
白い影が扉を開けようと集まっているが、誰一人として開けることが出来ない。
ドアノブを掴む手がすり抜けるからだ。
あれでは一生掴むことなど出来ないだろう。
どことなくミルに似ているなぁ… いやルルにも…。
「着いた、ここが次の扉だ」
「あれ? 鍵穴がありませんわ? これじゃ開けられませんわよ!?」
「鍵穴? そんなものはもう必要ない。玄関に最低限一つあれば良い、言わば次の扉はよりプライベートな場所に繋がる扉だ」
「ミルの、プライベート… 開けて良いのだろうかそんな場所を…」
「開けるもなにも鍵がないのだから入れと言っているようなものだ。鍵は君が持ち信頼されている君になら見られても良いと本心では思っているのだろう」
僕はグッと拳を固め覚悟を決め扉を開ける。
「ィ―…テ」
小さく聞こえる。
「ァ―…テ」
扉を開ける。開けたとたんに香る目眩のするほど濃い血の匂い。
「ぐっ… なんで血の匂いなんて…」
「…行くぞ」
部屋に入ると廊下だろうか長い通路を歩く。
「あれ? そういえば今度は記憶世界に行くとかは無いのですね…」
「ん、あれはその目の前の扉からだ、ここもまだ外と変わらない一部なんだ」
「…一部」
「ここもその一部なんだが、ソロソロ…核の前に付く」
そう言い歩くと、一面白く天井も壁も白い箱の中のような部屋だった。
「…なんですあれ」
ルーナも僕も部家を見るなり驚いた。
「血を拭いているそれだけだ」
ソレらは壁や床に飛び散る血を拭いている。まるで汚れを残さぬように拭いている。
ソレらは拭き終えると爆ぜ血肉を壁や床などに撒き散らしまた新たに現れるソレらに拭かせる。
ソレとは誰か、言うだけで気分が悪くなる。思いたくもない、記憶に止めておきたくない。
だって、この行動に意味なんて無いと思いたいから。
「ミル…」
「原初様ですか… あれらも」
「…違う。がしかし自虐的になればこういう部屋も生まれるのだろう」
元原初は先を指差す。
指した先には鍵穴の付いた扉があった。
「あれが次の扉だ」
そうだ開けなくちゃ進めない。この先を歩こう。
パーンとまた爆ぜるミル達。それを拭くミル達。
あれはミルじゃない、そう思うことで見ないことで耐える。
体が止めに動きそうになる。
無駄だとしても辛い。
辛い…。
僕はただそれを見ていることしか出来なかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
どこまで書いて話を終わらせるかその区切りが分からないなぁと思います。
白い影は屋敷で過ごした記憶です。外の世界を知ると言ってましたがどこまで知っているのか…。
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