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第五十五話 ミツケタ

 一番明るい赤い太陽が昇りながらも、空は黒と薄く青を混ぜた色が見えた。

 車に乗る前に感じた屋敷の中と外の寒さに身震いし、急ぎ車に乗る。

 時刻を…気にする余裕は無かった、突然の来訪者と意味深な感じで教えてくれたルーナ達の居場所…。

 ミルの事は何も分からなかったけど、色々と考えてしまう。


 速く走る車の外から見える時折過ぎる日本とは違う景色にまるで夢を見ている気分になる。


 朝早く起きる事には慣れていたけど…色々と疲れているのか、遠くを見ては眠くなる。

 過ぎる景色に見える黒い影が一瞬見えた気がしたがたぶん木だろう、と思い忘れる正人とは別で運転手の女性は何か別のものに見えていた。


「伏せてください!」と正人に向かい叫ぶ女性は速度100kを超えて走る車の車内にある通信機のボタンを押し異常を伝え、助けを呼ぶ。


「緊急事態だ! 報告にあった化物に遭遇、急ぎ車の位置まで仲間ドッグ達の部隊を寄越してくれ!」

「何が...!」

「あなた達は頭を低くして、窓から顔を出さないで… まだ私にしか気づいて無いはずだから…。どうしてここに…」


 車は速度スピードを落とすこと無く走る。


 同時に感じる、懐かしい気配、車の後方、背後から感じ近づく気配に後ろを振り向きたくなる。


「…主?」と呟くメリーさん。

「え…主って…まさか」と思い向こうとした瞬間。


 スパーと車の天井は紙切れみたいに切られていた。

 運転手は頭を低くしていたお陰か、オープンカーみたいになっている車を運転していた。

 そして振り向き見えた…ものは。


「…違う」


 違うけど、気配からしてたぶん、メリーさんと似たものだろうと思えたが、両の手が刃物となった溶けた人間のような見た目の生物が二足歩行で走り追ってくる。

 化物と呼ぶには十分な見た目に心臓がバクバクと爆ぜそうになる。

 これを…まさかミルが…。

 いや、違うと信じたいほど醜く醜悪か化物。


「ミッケタ、ミッケタ、ミッケタ!」と僕を見て叫ぶ声は濁して聞こえずらくもミルの声と同じと不思議と思えた。


「なっ!」とスーツ姿の女性は驚く。

 車の前方からも後方にいる一体とは別で三体の化物が道を塞いでいた。


「ぐっ、シートベルトを締めて掴まっていてください!」


 車はさらに加速し、化物を引き殺したかに思えたが、100kを越える速度で走る車は止められる。


「ミツケタ! ミツケタ! ア、アァ、ヤットミツケタ!」


 僕を、目と思われるもので見て「ミツケタ」と言う化物を見て恐怖する。

 探している、僕を。

 なら、あの、化物に着いていった方が…。


「オマエ、チガウ。シネ」と運転手の女性とメリーさんに斬りかかる化物の両手の刃。

 僕は気持ちに任せ力任せに、メリーさんの肩を掴み後ろに突き飛ばし前に立っていた。

 そして、時間が止まり助かるわけもなく、僕の胸を化物の刃が斬りつける。


「イタタ… っ! 正人さん!」

「…大丈夫…このくらい…すぐに治るから、一応吸血鬼でもある…からね、ハハ」


 胸を斬られ倒れる僕を狭い車内で起こすメリーさん。


「ア、アァ、チガウ… コレハ…チガウダ」そう言い自身の体を何度も斬りつけ、胸を自身の腕で貫く僕を斬りつけた化物。


 「ゴメンナサイ」と言い、塵となり消える。


「…」


 僕はその様子をただ見ていることしか出来なかった。

 なぜかあの、光景は僕の胸を締め付ける。

 痛く苦しい気持ちにさせてくる。


「正人さん…苦しいの?」

「…ごめん、もう大丈夫だから」


 そう言い立ち、周りを見る。


 なぜか先程まで、襲いかかる勢いで実際襲ってきた化物達は一人として動く様子は無く僕を見ていた。


「…ヨカッタ。ヨカッタイキテタ」


 前方の化物達が笑っていたように思える。

 顔と思われる部位は溶けたようになっているから、目と思われる部分からしか分からなかったが、ニコッと笑っているようだった。

  

「…何が起こって」と運転手は混乱していた。


 だが、そのわずかな行動の停止も再び動き出し襲いかかろうとする。

 スーツを切り裂く刃、両手からの斬りを避ける女性。

 運転手の女性は、車に近づけさせないように、何度も手から出る衝撃波を使い理由不明の攻撃で化物を吹き飛ばすが、次々と襲いかかる化物達の相手をする。

 

「…! 来た」


 そう運転手が言うと、ヘリから飛び降りる人影が見えた。


「アイギス!」と叫ぶ男性が降りてくる。


 まだ明るさが足りない空からでは人数は分からなかったが、着地した瞬間に化物達を倒し塵へと変える。


「ドッグ隊、現着…。よう、アンジェ生きてるか?」 

「すみません…ウィルヘルムさん、私のいたらなさから作戦前だと言うのに…」

「気にするな、仲間を見捨てるほど…バカでもねぇよ?」


 車を降り、ヘリから降りてきた左手とは違い右手につけた、初めは義手かと思ったが…大きすぎる事から武器であると理解する。

 盾にも見えるものを右手につけ、運転手をアンジェと呼ぶ、運転手からウィルヘルムさんと呼ばれる男性と部下らしき人達と話している。


「先輩! 車、あと2分で着きますが… 乗っていきます?」

「…いや、俺はいい。作戦前だそのままヘリで急ぎ戻る… 後輩であるお前が残り、あとのやつらは俺と一緒に急ぎ戻るぞ」

「了解隊長!」

「はいは~い… 隊長様の命令ですから~」

「待ってください先輩! 俺居残りですか!?」


 一人を置いてヘリから降りるロープを腰に付け、足場に足を置く。


「じゃあなアンジェ、先に行くが、後輩こいつの事頼んだ」

「待ってください先輩、先輩!」


 何度も空に向かいヘリが見えなくなるまで手を振り叫ぶ男性。

 後輩と呼ばれている男性は見えなくなるヘリに肩を落とし、同時に来た車を乗せたトラックから車を下ろし壊れた方の車をトラックに乗せた。


「では急ぎましょう」


 四人は車に乗った。


「ぐっ、武装がかさばって動きづらい…もっと広い車はなかったんですか?」

「知りません、緊急事態だったので…」

「だとしても...もうちょっとあるでしょ、気をつかうとか…」

「シートベルト締めてくださいね?」

「いや、きついのに…さら締めろって」

「舌を噛んで、外に飛び出され地面とキスしたいのなら良いんですよ? 私の運転は荒いと良く言われるので…」

「…! 締めます」

「…では向かいましょうか?」

「はい…」


 後輩と呼ばれている男性は肩を震わせ、アンジェと呼ばれていた女性を見て顔を青くさせる。


「ねぇ…。怪我はもうない? 平気…」

「大丈夫だと思います。痛みもなく...ほら、血も止まってます。傷はまだ残ってますが…そのうち消えると思います…はい」

「…ごめんなさい」

「…? 僕は何かメリーさんに謝らせる事をしました?」

「…ううん、これはたぶん…本体である原初からのだと思うよほどストレスだったみたい、もちろん私からの謝罪でもある…」

「…あまり気にしないで、僕が勝手にしたことだから」

「そう言う事を言う人だって、分かってたけど…あなたから言われるととても嬉しいものに思えてくる、ありがとう少し元気になれた気がします…」

「…なら良かった」

「はい」


 車は揺れ一つ無いが景色は素早く過ぎていく。

 

「なんであんな男がモテるんだ…。まさかシルお嬢様も…!」

「バカ、黙ってあなたは周りの警戒をしていて…」

「はい…」


 その様子を聞いている後輩と呼ばれている男性は軽くジェラシーを覚える。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 Xでも書いたのですが、見切り発車の作品でいつ完結するかも本人である私にも分かりません。

 話もまとまりは無く日々添削して内容が変わる事もあります。


 色々とやりたいように書いているので、ドッグ隊の事を話すと、シーナこと、シルのお父さんである。シークの部下達で構成される部隊です、他にも複数の部隊がいますが一部隊を五人で構成された少数精鋭の部隊という設定です。変わるかも。

 現れた化物達の事を話すとその章のネタバレを多少含むので…予想できるようには書いたつもりですが、秘密です。

 後輩君は後輩です。ドッグ隊ができた時からいますがみんなの後輩です。


 感想も日々待ってます、面白いと思っていただけたら評価とブックマークもお願いいたします。

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