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第五十一話 屋敷に向かいそして…

 揺れる、とても酷く揺れる…。

 頭から爪先まで揺れて、気分は最悪だが、涙が溢れてきそうになる。

 我慢する、こんなところで泣いてしまってはこの先会うミルを見ても泣いてしまいそうになるから。


 そう思えた。


 胸が痛いだが温かく、さっきはあんだけ罵りあってた気持ちも冷めただ一つ言っておきたい。


「…ありがとう… 助けに来てくれて…」


 言いたくなって、言わなくちゃいけない。

 こんなに恥ずかしくても言いたい言葉が他に浮かばないほど伝える。


「…! ふふ、眷属さんの感謝は胸に受け止めますが… まだ逃げてる途中なので舌を噛んでも知りませんわよ!」

「…今回限りにしてね眷属さん、次はルーナを止めて助けに来ないから...私は」

「…そうしてほしいかな… 二人が危険に飛び込んでいくのは止めてほしい… けどありがとう、感謝してもしきれない」


 過ぎ去る景色、一瞬で消える木々の間を通り道路か獣道か区別することが出来ないほど速く走る二人。

 嬉しさからかギアも上がり揺れは増すから吐き気は増した…。


「う… もう少し速度落とし…」

「ふふん、このままお家に帰りますわ!」


 本当に調子に乗せた事を後悔する… だがこれも良いかなと思えてしまう。


 車が見えてくる、大勢の人影が見えそこで二人は止まる。


「ご無事で何よりですお嬢様方…」


 カビもシミも服のヨレも何一つ無いタキシード服を来た執事さんと生メイド服を着た女性達が集まり二人を待っていた。


「あら、セバス私達より先に行っていたのね…」

「はい、お嬢様達がそこの男を運ぶのを確認してから全員で逃げて参りました… 負傷者0名です」

「…そう、良かったわ… では帰りましょう話は帰ってからお父様達を交えてですわ眷属さん」

「…少しお待ちをお嬢様」


 正人をおろし地面に置く二人をセバスが止める。


「そのままですと… 運ぶことはできず… その拘束具をお外しになってからでないと…」

「あら、なら少しお待ちをセバス。眷属さんも暴れないでくれると助かりますわ…」


 ルーナは影で剣を作る。


「…見た限り普通の布と鎖に縛られているようですが念には念を…」

「僕からも少し待て! 何をする気だ、まさか僕ごと切るつもりか僕も吸血鬼かもしれないが完全ではない事を忘れてないか!」

「ふふ、ご安心を眷属さん! 私剣の腕には自身があってよ! ふん!」

「待っ!」


 一振に見えたルーナの剣は正人を縛る拘束だけを切ったように見えたが後ろ髪の毛先を掠めた。


「首の後ろに寒気が…」

「…少し手元が狂ってしまいましたわ… 眷属さんが暴れるから...」

「…それは、ごめんなさい」

「では、向かいましょう… あなたはこちらの車に…」


 セバスに案内されルーナ達とは別の車に乗せられる、シートベルトをするのを確認された後車は前を走るルーナ達が乗る車を追って走る。


「…ところで原初の眷属様…」

「…眷属様なんて良いですよ、僕の名前は田中正人と言います…」

「…では、マサト様。あなたはお嬢様とはどういうご関係で...」

「え… えっと… 協会の基地で一緒に生活していた仲間みたいな者かと... それ以上でも以下でもない関係? です」


 セバスが運転する車は進み気付けば街中を走っていた。


「…あの、セバスさんで良いのでしょうか…」

「はい、セバスチャン・ナギス… ルナ様のお父様に仕えるしがない執事です…」

「あ、セバスチャンさん。二人にも言いましたが… 本当にありがとうございます僕なんかのために来てくれて…」

「マサト様、それは違います」

「え…」

「私達は確かにあなたを助けに来たと思うかも知れませんが、それはお嬢様方のお父様の命令あってのこと、我々はそれに従い… もし危険となれば止めるため来ただけです」

「セバスチャンさん…それでもありがとうございます、二人を止めて欲しかった気持ちもありますが感謝しない理由はありませんから…」

「…そうですか。では私もこの胸に受け止めておきましょう… これでは殺しずらいですが…」

「…え?」

「はぁ…本当の事を言えば、ここであなたを殺せと旦那様から言われてましたが… これは直接旦那様にあってもらって決めてもらいます… どうぞ覚悟を決めておいてくださいマサト様」

「え、あ、あのちょっとなに言っているのか分からないのですが… え、ドッキリとかですか?!」

「ふふ、そうなら良かったですね… ですがあなたなら大丈夫でしょうもしかしたら気に入られるかもしれません、シル様のお父様にもお気をつけを… 旦那様以上に手加減の出来ないお方なので」

「…あの死にはしませんよね?」

「それはあなた次第です」

「…分かりました」


 揺れない車からセバスチャンさんの運転の上手さを知りながら、とたんにくる緊張の糸がほどけたからか睡魔がくる。


「…」


 そして座ったままドアに頭を当て眠ってしまう。


「…? マサト様? おや、眠ってしまいましたか…」

「すぅ… スゥ… ただいま…ミル」


 車での移動中寝ていたからか場面がスキップした気分でルーナの屋敷に正人は着く。


「…マサト様、起きて下さい屋敷に着きました!」

「え、はい! あ、すみません途中から寝てしまって…」

「いえ、マサト様もお疲れだったのでしょう… ですがこれからは気を引き締めてお入りください…」


 バンバンと車のドアを叩く音がして音のする方を見ると… ルーナがいた。

 ドアをセバスチャンさんが開けてくれて… すごい申し訳ない気持ちで出た僕の手をルーナは引く。


「ふふふ、さぁ眷属さん! お父様に会ってもらいますから着いてきなさい!」

「あ! 待ってルーナ! 痛い、手が潰れちゃう!」

「ほら行きますよ眷属さん… またあれを見る方の気持ち、ルーナには少し考えてほしいけど… 報告も大事だからほら!」


 ウキウキのルーナとため息は吐くが一応安堵している二人に案内され屋敷に入ると…。


「死ねぇ!」


 屋敷に入った瞬間飛んでくるロケットランチャーに驚く暇も無かった。


「え…」

「…!」


 飛んできたものから正人の腕を引きハエを払うように外えとずらすルーナ。

 背後の爆発音に驚くほど気持ちが追い付かない…。


「ぐ… なぜ邪魔をするルーナ! パパは認めないと言ったはずだ!」

「えぇ、ですが助けることに手を貸すとも言っていましたわ! 眷属さんを守ろうとするのは私の自由… 邪魔するならお父様と言えど許しませんわ…」


 手に剣を持つルーナ。


「ふふ、いやぁ待ってくれルナちゃん。まずはそこで驚き固まっている原初の眷属を部屋に案内しては?」

「な! 勝手を言うなよシーク! ここは私の屋敷だ!」

「そうだが… このまま玄関で言い争っていても終わりは無い、ささ眷属くん奥で話そうか…」

「えぇ… お邪魔します」

「邪魔するならここで消えろ...!」

「お父様… 縛りますわよ?」

「…ルーナまで」

「はぁ…叔父さん、まずは落ち着いて… お父さんも遊んでないで止めてよ…」

「まぁ、それは面白いかと…」

「…変な家族…」

「…否定はできませんわ」


 全員屋敷奥の部屋に移動する。

 広々とした部屋で暖炉と大きな窓とテーブルと椅子とソファーが置かれた部屋だ。

 ルーナは腕を離そうとしないでソファーに座らせられる… 隣にルーナがそして目の前に僕を睨む男が…ルーナのお父さんが座る。

 部屋にあるものからルーナの家はかなりお金持ちなのかもしれない…。

 それすら気にならないほど睨んでくるから恐怖を覚える。


「それで… ルーナとはどういうご関係で... 娘からは聞いたが君から聞きたい、娘のこと好きなのか?」

「あ、ええと…」


 緊張から用意された紅茶を飲んでから答える。


「…好きではないです」

「なに? 娘のどこが嫌いなんだ!」


 キレられた…。


「い、いえ! そういうわけではなく... 友達くらいに思ってます…はい」

「…そうか。だっそうだルーナ、眷属さんは友達くらいに思っているらしい… 結婚は出来ない」

「…ふふ、お父様は知らないの? 今はそうでもいつか私を好きになってもらえると?」

「あ、あの結婚とは…どういうことで…」

「眷属さんは黙っててください!」

「おまえは黙ってろ、今は娘と話してる!」

「は、はい…」


 その後、理由も分からずなぜかルーナと結婚することになってた話を聞いては、シーナに肩をポンと手を置かれ…。


「どんまい… それとお疲れ…」


 そう言われ、余計分からなくなる。


(ミル… 助けてください!)


 そう心で叫ぶ正人であった。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 前回の話が長くて短く感じますが基本このぐらいの文字数ですね。

 ギャグよりになってしまい… ミルや協会のシリアス方面との温度差で頭がいたくさせてないでしょうか?

 基本ルーナ達は陽なのでシリアスになりにくく... たぶん次の話からシリアスに戻ると思います。

 ルナのお父さんのせいでもあるかもしれない… シルのお父さんはよく分かりません。


 感想など書いてくれると嬉しいです。分からない箇所なども聞いてくれると嬉しいです。

 完結は必ずさせますのでどうか、評価とブックマークも面白いと思っていただけたのならお願いします。

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