第五十話 恩義:帰宅する吸血娘達
ルーナ視点。
少し前の話です。
雨が振る音がする。
ポツポツと音がする。
風が吹きザーザーとする音に変わり、余り鬱陶しさから目を覚ます。
「お、お嬢様! すぐに旦那様にご報告を!」
「あれセバス…? ここは...私の部屋?」
慌ただしい足音と荒く開けるドアの音がする。
そう、雨なんて降っては無かった、聞いてた音は夢の中でのこと。
私を見るセバス含めての使用人達の顔に安堵が見える。
目を覚ますと私の部屋だった。
知っている、とてもよく知る私の部屋。
本棚に置かれた本の数とタイトルと位置、ベットに置いてあるお気に入りのぬいぐるみと思い出の写真を入れた写真立ての位置まですべて分かっているよく知る部屋で私は目を覚ました。
「なら、さっきまでのは全部夢…?」
「いいえ、夢ではございませんお嬢様… とても苦しい思いをさせてしまい我々一同お嬢様方に申し訳がたたず… まこと申し訳ありません」
「少し待ってセバスあなた何を言っているのか私には分かりませんわ… それにどうして私は自室に…」
ベット横で今にも泣きそうな顔をするセバス。
今までセバスが泣いていると頃なんて見たこと無いわ。
私が生まれて初めて見るそんな震えた声でよほど心配をかけてしまったのだろうと察する。
「…ごめんなさい、私はあなた達にどれほど心配をかけたか… お父様にも謝らなくちゃ…案内頼めるかしら?」
「はい、旦那様は現在ご友人のシーク様と話しているのでもうしばらくお待ちください。今は疲れた体を休めを…」
ベットに横になる、セバスは乱れた毛布を直しかけてくれる。
「あ、そうですわ! シーナは! 私一人だけなんて事はないですね!」
「落ち着いてくださいお嬢様!」
「落ち着いてなんていられません、答えてくださいシーナは…!」
セバスの服を掴み揺らし聞くルーナ。
「お、お嬢様! 落ち着いてください! よ、横を、隣を見てください!」
「え、隣?」
揺らす手を止め息を切らすセバスをよそに横を見ると…。
「あ、シーナ!」
「…? 何ルーナ… 朝御飯はまだでしょ… 私はまだ寝るから...起こさないで…ください…」
横で布団にくるまるシーナがいた。
「…! 起きなさいシーナ! やはり寝ている場合では無くてよ! セバス急いでお父様達のところにで案内して!」
「ですが...!」
「お父様に話したいことがあるの… とても大事な事よ、お願いセバスチャン・ナギス、私を案内して… じゃないと暴れるわよここで...」
「…」
セバスは少し考える。
暴れられるのは困るが… ここまで真剣なお嬢様を見るのは幼い頃にお嬢様と行ったオモチャ屋でご友人に送るプレゼントを選んでいる時以来だと。
「…分かりました、ですがその前に着替えを。リリン、アイラ頼みます」
「はい」
「はい…」
二人の女性が部屋を出てしばらくして戻ってくる、手には沢山の服がかけられた移動式ハンガーラックと靴の入った箱など沢山用意された。
「それとそれで良いわ、赤と白のやつね。靴は歩きやすいのを… ちょっとシーナいい加減起きなさい!」
「ん? 何… 何でルーナの部屋に…」
「寝ぼけてないでお父様達に会いに行くわよ」
「え、うんわかった…ふわぁ~…」
寝ぼけた様子で立ち上がりふらふらとしながら椅子に座りうたた寝交じり髪を整えてもらうシーナ。
「え? 何でここに...! え、私死んだ!? ルーナも死んだの?!」
意識がはっきりとしたシーナは驚きルーナを見ては固まる。
「いやだぁ! 死んじゃいやだよルーナ…」
「あの、一度そうはなりましたが… まだ私達死んでませんけど… あと着替え中に抱き締めないで… 今回は許すけど…」
「え? じゃあ何でここに...」
「それを聞きに行くためでもあるんですわ… ですから急ぎ支度を」
ほこり一つ無い服と靴、乱れ一つ無い綺麗な髪でセバス案内のもと部屋の外に出る。
「ここですお嬢様… 旦那様方には既に伝えているので… どうぞ」
「ありがとうセバス… 何度でも言うわ、心配かけてごめんなさい…」
「う… すみません…歳をとると目が緩くなるもので... どうぞお入りください」
ガチャリとドアノブをセバスがひねりドアを開ける。
新鮮な外と中の気圧の違いからか、はたまた窓が空いてたからかドアを開けたとたんに風がルーナ達に吹く。
「お父…」
「ル~ナ! 良かった…会いたかった…無事て本当に良かった…」
「様…!」
ドアを開けたとたんに視界に入る娘に勢いよく抱き締める男のものによる風だった。
「大丈夫かい? どこも怪我はしていない… 風邪でも引いてたり、ヤバい毒とか飲まされたりしていないかい!? ルーナがいなくなってパパはとても心配で心配で心配で…死んじゃってたらどうしようって… でも良かった…生きてたぁ…」
「大丈夫ですから… 離して下さい、お父様に殺されてしまうマス…から… 手を、抱き締める手を離して下さい…」
「いやだ、パパもうルーナを離したりなんかしない、お嫁にも出さない…パパがずっとおはようからおやすみまでいるんだ!」
「おい、我が娘の教育に悪いからいい加減離してやれ… シルも無事で良かった…さすが我が娘だ…」
「お父さん…勝手にいなくなってごめんなさい…」
「何を言うおまえは帰ってきたさすが我が娘だ、父としてとても誇りに思うよ… おまえの力でお友達を守ってくれたんだろう?」
「うん!」
四人は横長のソファーに向かい合うようにルーナシーナが二人とお父さん達向こうに座らせ向かい合う。
「それで…ルナちゃん、娘の友達の君から私達に話があると聞いたが… 謝罪はもう沢山してもらった。私達はもう私はもう許している… となりの親バカは知らないが…」
「バカ? おまえの子供自慢を聞く耳のき持ちなって考えてみろよ、子供を心配しない親がいるかって話だ!」
「正論だな、だが私の娘は強い。なんせ私の子供だ。おまえの娘を守って生き延びて帰ってきたそれだけで私は許すがおまえの親バカを聞く耳の気持ちにもなって考えなおせ…バカアホ」
「…ちょっと外出ろ… 久しぶりに殺し合いだ…」
「あれが殺し合いとはおまえはおままごとが好きらしい… 私はでないぞ…一人で遊んでろ…」
「何を!」
「いい加減にしてくださいお父様! 私は大事な話しあって来ました… 二人して話をそらそうとしないでください…」
「おっと気付かれていたか… だとさバレてらぁ私達の作戦が...」
「なんだと!? ルーナがそこまで考えられる大人になったと言うのか… ダメだお父さんを一人にしないでくれぇ… 可愛がらせてくれよぉ…」
「あの、話してもよろしいですか?」
溜め息を吐き真剣な顔で二人を見るルーナ。シーナはただ隣で固唾を飲んで話を聞く。
「では、まず一つ。なぜ私達はこの屋敷にいるのですか? 私が見てきたものが夢ではないとセバスは言いました…なら何で私はここにいるのですかお父様…」
「それはねルーナ、パパ達の使用人を使って君達を助けに行かせたからだよ… ルーナ達がいなくなって死ぬ気で探して...探しても探しても見つからなくて... 日本で見かけたと言う情報を頼りに使用人達を向かわせたけど見つけられなくて...」
話をするルーナのお父さんの顔をどんどん暗くなっていく、辛いことを思い出しては声も低く小さくなっていくギリギリ聞き取れる声で話しさっきまでの元気さはどこにもなかった。
「それでも探してたある日、屋敷に宛先不明の手紙が届いた中を確認すると目印の書かれた地図と手紙が入ってた… 娘はここにいるって… 日時が書かれた手紙と文章を読んでカレンダー確認するとちょうどその日で... 出すものだして死ぬ気で探して見つけられなくて... これは神様がくれた手紙だと思えた… 私達の願いを聞いた神様からの… すぐにシークに電話して手を貸してもらい今に至るってわけだ… だから今嬉しいよパパは…。ホント、シークは娘の事何も心配してなかったのは驚いたけど…」
「おまえの娘と違い心配する必要が無いだけだ」
「はいはい、シークの娘さんは最強ですよ… だけどルーナの方が可愛さなら最強だからそこは勘違いするな…」
話を聞いていてルーナは涙する。
改めて事がどれだけ重大だったか理解したから、涙する。
もらい泣きするシーナ。
「ごめんなさい…お父様… 私が勝手な行動が…」
「もう済んだ事だ…ルーナが無事なら私は嬉しい…」
「それでルナちゃんそれで聞きたいことは終わりかい?」
「いえ、まだあります… これが本題です… 私好きな殿方が出来まして...」
「…! 嘘だ…」
絶句するルーナのお父さん。
骨は砕けてないが心が砕ける。
「嘘ではございませんわお父様… 色々大変なことがありましたが… それ以上にとても得難い出会いもありまして… それがお父様に話したい事ですわ…」
「やめてくれルーナ、それはあまりにも私に効く言葉だ… もうやめてくれ...」
「実は原初様にお会いしまして…」
「やめ、え? ゲンショサマ?」
「はい! 屋敷を出たのは本来原初様に会わせてくれるお方が来て本来それが目的でして… 会ったらすぐに帰る予定でしたが… 騙されてしまい中々帰ることが出来ず… 日本で助けてもらった原初様とその眷属さんと暮らしていました…」
「まま、待ってくれルーナ… それはいつの夢だい? 寂しい思いをしてしまい見た夢だろ?」
「いいえ違います叔父さん私も会ったから夢ではないよ! それと…人間達の組織? にお父さん達が来るまでお世話になってたんだよ!」
「組織…やはり協会の連中か… 保護されてるならこっちに連絡寄越せって…」
「なんですお父様? 組織のこと知ってるですか? なら話が早いですわ!」
「い、いやぁパパは何もシラナイよぉ… だけどお世話になってた組織とルーナと原初が何が関係する? まさか…その原初と結婚なんて…言わないでくれよ…?」
「違いますわ! 確かにシーク叔父様の家で読んだ原初様の本で会うことに憧れはありましたが… それよりも今は、その眷属さんと結婚させていただきたく!」
「…え? ルーナ… 今のところもう一回お願い…結婚って言葉は無しで話してくれる… じゃないとパパは息が出来なくなる…」
「えー! ルーナやっぱり本気だったんだ!! てかそれって原初様が許すわけ無いじゃん、ガチ怒くらうよ?」
「ふっふっふ~。シーナそこで止まるのは過去の私ですわ! 私はもう正面から一人の女として原初様と戦う覚悟ですわ!」
「…違う。違うよルーナ…。ルーナはパパと結婚する約束だったろぉ… そんなぽっと出の知らない男との結婚なんて私は認めない…認めないから。おい、セバス‼」
「はい、何でしょう旦那様」
何も知らない部屋の外で待ってたセバスチャンを呼ぶとドアを開け入ってくる。
「原初の眷属を一人殺してこい…私のために殺してこい…」
「は、はい? 旦那様何を言って…」
「つべこべ言わず行け‼ 行かないなら私が行く… 娘を探す時に身につけた捜索網を使って確実に見つけてこの手で…」
「お父様… 止めてください... いい加減子離れをしてください… 父親に娘から言う私の気持ちを考えて今は椅子にお座りを…」
「だがパパは!」
「お座りを… それとも縛り付けられる方がお好きですか…? 私は構いませんをお父様を縛り付けられるの…?」
「ひ… 怖いルーナ」
隣に座るシーナはビビり震え、お父さんはビビり座る。
「少しは頭が冷えましたか… なら話は以上です… 部屋に戻ります… 行きましょうシーナ…」
「そ、そうだね…」
こんな怖いルーナを見るのは初めてだと思い肩を落とし青白くなっていくルーナのお父さんを見て、性格がとにかく残念な叔父さんだなと思うシーナであった。
なぜお父さんはそんな残念な叔父さんと仲が良いのか…。
部屋に戻り一息着く二人であった。
ベットで横になろうとダイブすると枕の後ろに封筒があることに気付くルーナ。
もう一つの枕にも封筒があることに気付くシーナ。
「なんでしょうかこれは…お父様のイタズラかしら…」
「ならなんで私の方にも?」
中を見てみるとルーナの方には一枚のある場所を円で囲んだ地図と手紙が、シーナの方には原初ミル隠し撮り写真が入ってた。
「え… これって… まさか…」
「えぇ! これって!」
手紙を読んだルーナは息を止める。
来るべき日時とここに眷属がいると書かれていたからだ。
「ねぇ! 誰からだろうこんなすごいお宝! どうしたのルーナ?」
「…もう一度お父様達のところに向かいますわよシーナ…」
「え、どうして?」
「眷属さんが危ない… そんな気がしますわ… 明らかに地図は日本の地形ではない場所を… 手紙には日時とメッセージ… これではまるでお父様の時と一緒ですわ… 急がなくては…」
「待ってルーナ! 私達が無事だったなら眷属さんも無事なはずだよ。だって眷属さんには原初様が側にいるはずだし…」
「それでも… 私は何があろうとあのお方の力になりたい… 力不足でも必要なら助けになりたい… 命を助けられた恩をこの先ずっと返していきたいのですわ… それに、ここにいる時より楽しいですから原初様と眷属さんの側は…」
「…。はぁ、やっぱり眷属さんのところ行くしかないのかぁ…」
「シーナは来なくても良いのですけど… どうしてもって言うなら…」
「なに言ってるの? 私がルーナを一人にするわけ無いでしょ… もう失うのは勘弁だし… ルーナは私が側で見てないとすぐ死んじゃう弱い子なんだから…」
「何を言ってますの、私は竜を切りし吸血鬼ですわ! 世界中探そうと私以上にスゴいことをした吸血鬼は中々にいませんわ」
「ふふ、まぁ私の助けあってことだよ!」
「ええ、だから着いてきてくれるのはとてもありがたいですわ… ありがとうシーナいつも私の我が儘に付き合ってくれて」
「… 何を今さら言っちゃってるの? それで楽しませてもらってる身としては今さらですから… これからも一緒だから」
「うん、当然ですわ!」
部屋を飛び出し父達がいた部屋に向かう。
「お嬢様方どちらにお行きに!? 廊下を走っては転びます!」
「ごめんなさいセバスさん!」
走り部屋えと向かう二人。
「お父様、頼みたいことがあります!」
勢いよく開けるルーナ、勢いからかドアノブは壊れ折れドア自体も外れる。
「…? どうしたんだいルーナ。とりあえずドアの件は後から話そうか… セバス直しとけ」
「はい旦那様」
「ドアの事はすみません… ですがそれ以上に頼みたいことが!」
「まぁ、落ち着いて話そうか…」
「はい…」
ルーナは手紙のことを話す。
「待ってくれ、枕に手紙が…? それで助けに行きたいって… まさか男か? さっき行ってた原初の眷属か?」
「そうですお父様! 私は日本で原初様と眷属さんに命を救われ今も生きています… 死にかけだった私に眷属さんは血を分けそれを許してくれた原初様無しで私は生きていません、お父様とシーナに今も話し、会えるのもあの二人のおかげで… だからお父様力を貸してくれませんかとても大切な人なんです!」
「私からもお願いします… お父さん力を貸してください…」
「シルまで… 私は娘を信じ力を貸そう、賢い娘がそこまでしたいのはルナちゃんのためだろうが… おまえはどうする?」
「私は…怖いよ。娘をまた失う恐怖と絶望を知るのは… だから行かないでほしい… だけどルーナはここで私と二人で待っている事は出来ないのだろうな… 強い目をする子になった、何を学んだかとても強い子になったようだ。子供の成長とは親が思う数倍は早い少し目を離しただけで二足歩行で歩いている…。
良いだろう、私も娘を信じ見送ろう…まだ娘を可愛がりたいバカ親だがルナ…君を信じ見送るよ…。
だけどその眷属との結婚は認めません…!」
「何ですかちょっと良い雰囲気が台無しですわ! 認めてくれなくても私はしますから必ず!」
「ダメだ‼ 絶対パパ以外との結婚なんて認めません‼」
「おい、その辺にしろ。私の方は連絡は済んだすぐに私の部下達も来る… シル達は部屋で休んでなさい目が覚めたばかりだしね?」
「はい…ありがとうお父さん」
「はぁはぁ… 今回はこのくらいで止めときますが絶対認めてもらいますからお父様!」
「はぁはぁ…誰が認めるか! 結婚は父親と以外してはいけないの! このパパのノートに書いてあります! パパの法律ではそうなの!」
「ぐ…! ふん...」
部屋を出る二人。
小さく父親に聞こえるようにルーナは言う「ありがとうお父様」と。
「ぐふふ… 聞いたかシーク? やっぱりルーナは世界一可愛いだろ!」
「はぁ… はいはいかわいいかわいい…」
「てめぇにもやらねぇぞ」
「いや無理だろ私とルナちゃんとじゃ…」
「いやそれは人間の法律ならだろ…もしもなんて事は絶対許さない…」
「こっちにもそんな法律無いからてか吸血鬼に法なんて無い、強いて言えば協会の決めたルールが吸血鬼の法みたいなものだろ…」
バタンと閉じた後も二人は話を続け、部屋で休んでたルーナ達も数分後着いたシークの部下と共に地図に書かれた場所に向かう。
そして何も知らない二人は協会の本部に向かう。
「この場所のはずですわ…」
「何もないね… てか私のもらった写真にも同じ風景が何枚かある… これって… あの家?」
遠くなく近いくもない視界に収まるくらい小さくもなく大きくない家が見える。
「ですが… なんでしょ… あの家に眷属さんが?」
「お嬢様、我々はどうすれば?」
「…この辺りを歩いて何か無いか探しましょう… 行きますわよシーナ?」
シーナは家の方を見て首を傾げる。
「なんか違和感…感じる、なんだろうこれ親近感?」
「何ですかあの家が何か?」
「家って言うかその周辺てか… なんかモヤモヤする感じ、私はこれを知っているけど思い出せないような…けど常に触れあっていて…」
「…なら私達はあの家に向かいますわよ」
「うん…」
ルーナの使用人とシークの部下に周辺を任せ二人は家の方に歩く。
歩いて向かう途中シーナはまた違和感を感じる。
「待って、ルーナ… ここだ… ここから感じる…」
「何を言って… まだ家は先ですわ…」
「違うのルーナ… ここに何かある… 私には分かる同じ感じ私が力を使う時と同じ感覚がここからする… でもここじゃない… もっと向こうに…!」
「ちょっとシーナ! そっちは逆方向ですわ! シーナ待って!」
家とは違う方向に走り向かうシーナ。
「違う、もっと薄く… 脆い場所が… あ、ここだ」
「うわぁ! ちょっとシーナ行きなり止まるなんておかげで滑って…」
「ルーナ…見つけた。ここから入れそう…だけど私の力じゃ壊せない…」
「見つけたって… 何を…」
何もない空間にシーナは触れる。
「ルーナも私の触ってる場所を触って見て、そしたら分かるよ…ここにあったんだ」
「え、何で…」
空気に触れるのとは違うガラスの表面を触るみたいな感触が何もない場所から感じ驚くルーナ。
「まさかここに眷属さんが…」
「多分ここじゃないかな… 場所はここを指して… 私はあくまでももらった写真とたまたま私の使う力と同じだったから気付けたけど… 何かここに隠されている」
「なら壊すだけですわ!」
血で剣を作り空間を切るが見えない壁をすり抜ける。
「あれ… 切れない…」
「当たり前だよ、元から隠すのが目的だから…どういうのかはわからないけど物理的なのは効かない」
「だけどさっき触れられたはずですわ?」
「うん、私が力で実体化させた場所限定だから出来たんだよ、だからルーナが触れることが出来た」
「ならもう一度お願いシーナ! 私が壊せるように大きく実体化させて!」
「当たり前!」
ルーナは力を溜め、シーナも自身ができる限りの力を使い見えない壁を実体化させる。
「タイミングが大事だよルーナ! 私が良いと言うまで切らないでね?」
「うん、任せましたわシーナ!」
力を溜め続けるルーナ。
「良いよ切って!」
剣を空に高く投げ投げた剣に届くまでジャンプし剣を掴む。
掴んだ剣は山のように大きくなる。
「全力全開フルパワー!」
ガチンと今度は音をたて壁に触れる。
「いけぇ、ルーナ!」
「ぐ…切れない… なら!」
ルーナ着地し剣を縮めて自身の影に刺す。
「我が剣よ! 影を纏いて万物切り裂く我が力となれ…」
「ルーナ…ごめん限界かも…」
手を壁から離しそうになるシーナをよそにルーナは影を血で出来た剣に纏わせる。
血のように赤い剣は赤黒く禍々しい剣えと変わる。
「これが私の真の力、本気ですわ!!!」
シーナが壁から手を離す刹那に再び剣を持ち上げ剣を振るう、振る際に剣を大きくしグリップを持つ自身も持ち上がるほど重く影で切れ味を上げた剣は地響きと共に壁を切り裂き中にあった建物ごと切る。
「はぁはぁ… まさか本当にあるとは…ここに眷属さんが… てか原初様はどこに…」
「行きますわよシーナ、何があるかはわからない場所急ぎ探しに!」
「そうだね…急ごう」
中に入りとりあえず見えた剣で切った建物を見ると中に正人がいた。
「待ってルーナ… ここは慎重に行こう… セバスさんいる?」
「はいこちらに...」
「うお! びっくりした… 私達が眷属さん助けて逃げるまで向こうでちょっとアイツら連れて暴れて来てくれる? 殺人は無しで… てかここ多分本部とかでしょ… こんな消して隠す場所… マジ止めときゃ良かった…」
「ごめんなさいシーナ… 私のせいですわ…」
「ううん、決めたのは私だから気にしないで良いよ... それよりも一人寂しくて泣いてる声の聞こえる眷属さんを助けにいくぞ…!」
「ええ、当然ですわ… セバス任せましたわ... どうか死ぬような事はしないで私達が逃げたのを確認次第あなた達も逃げて...」
「承知していますお嬢様、この老人の楽しみは酒と博打とお嬢様方の成長です… 本当に大きくなされました… では!」
そう言い何か合図を出したセバスは使用人や部下を連れて正門前に向かう。
二人は部屋に入りルーナは正人に向かって言う。
「夢では無くてよ! 運命的な現実ですわ!」
高らかに発する声は勇気を出して来た少女によるものだった。
救ってもらった恩に報いるため勝手でも良いただ自身がそうしたいから向かい助けるとても当たり前のことをしたい一人の吸血鬼の声だった。
胸の高鳴りが顔に出るほどニコリと笑う少女がいた。
最後まで読んでいただありがとうございます。
いやぁ、書いていて長くなってしまい、本当は前後編にしようかなと思ってましたが筆が乗りすぎて気付けば9000文字でした。
二人の話を書いてだからなんだと思う方もいるのか分かりませんが、ついでに書いておこうとこの章では二人の活躍をメインにしたいと、まだアイデア止まりですが、それ含めてルーナ達の活躍を書きました。
お父さん達にも今後出てもらう予定です。
シルとルナという名前です。ルナのルーナという愛称をルナさんがシルさんを呼ぶ時に使ってシーナになりました。あだ名です。元はシーと呼ばれてましたがシークと被るのでシーナになりましたと言うのもありかも?。意味不明。
ソルとかなら良かったかも…モンハンやってたら分かる系。
内容の食い違いの指摘なども待ってます。長い話になりそうなりやすくもし気付いたらお教えくださると助かります。気を付けます
感想など待ってます、気になることを聞くのも待ってます。
投稿は未定でも、完結はさせます必ず。
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