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第四十六話 これぞ運命!

 どのくらい寝ていたんだろう。

 頭も朦朧とするし…。

 視界もボヤボヤだが、目が覚めたからかだんだんと意識がハッキリとしてくる。

 てか立ってるし… 立ったまま寝たの僕?。


「あれ…体が…」


 腕を動かそうと思ったが…。

 足も動かせない。


 てか、拘束されてないか僕…。

 なんで?

 確か、水を飲んで...。

 そうだ、ミルは!?


「ぐ!」


 ガチャガチャと鳴らす拘束具。

 暴れたせいか、柱みたいなのに縛れた僕ごと倒れる。

 意識がハッキリと思い出す今の現状を、今すぐ助けに探しに行かなくちゃ!。


「ぐ、この…!」


 だが、拘束はとても固く縛られていた。

 今の僕の力でも、倒れた時に少し小さな破片が飛ぶくらいだった…。


「はぁはぁ… くそ、くそ… 外れろ」


 暴れる僕をよそに視界の先の扉が開く。


 部屋内とは違う明るさに目を細める。


 三人の影が見え、誰か確認する。


 全員知らない人達だったが… 一人だけ違った、全身が、肉体ではない、血が暴れる。


 知らないはずの顔と姿を視界にとらえた瞬間、酷い目眩と頭痛が起こる。


 同族嫌悪でもない、まるで違う、猫が毛を逆立てるとも違う。

 真ん中で後ろにいたヒシリア含めた二人を連れた女性… だけが違った。

 恐ろしくあり、とてもミルと似た親近感があり、そして混沌が肉を着て歩いている。


 あれは人間ではない、元が人間ですらない怪物だと人間の形を収まった魂が汚れや綺麗だとも違う、とても言い表せない気持ちの悪いさが共存する新しい生命だと言われているみたいだ。


 全身から怒りと、生存から来る恐れ。逃げ出したくなる恐怖がゆっくりと歩き迫る。


「おぇぇ…」


 無理だ、気持ちが追い付かない。

 吐いてしまった。


「そうか… 見えてしまうのか君には… さすがと言うべきだな。全て決まった運命とはいえ彼女の選んだ眷属だ… 多少は優れた点はある」


 男性二人を連れて現れた女性は僕の顔と言うよりもは深く目を見ているようだった。目を通して何かもっと深い場所を見ているようだった。


「はぁはぁ… ぐ、誰…」


 吐き出す言葉と胃液を押さえつけて話す。


「誰なんですか貴女は…」


「…自己紹介は今回は無しだ。私の事は君もいずれ分かるんだ…。状況判断は悪いようだが、君は今質問できる立場ではない…お分かり?」


 女性と思っていたが、口調から男性的な声も感じられる不思議な声。

 以前、日本で戦った吸血鬼達から感じたピリピリするほどの殺気も感じられない...。


 殺す気は今はないと思えた。


「…行かせてください、ミルの所に...」


 柱が倒れ、頬に床の冷たさ感じながら見上げる三者の顔。


「こんなところで足止め食らっている場合じゃない… 助けに行かなくちゃ…」


「助けは必要ない、彼女も原初だ一人で生きることなど容易い」


「…! だとしても、寂しがっているかもしれない… 一人で居るから辛くないとは僕は思わない…。一人で生きられたとしても... 辛い事に変わりはない…!」


「それは…今君が一人で寂しいからそう言って孤独を誤魔化しているだけじゃないのか?」


「…そうかもしれません。けど助けたいていう気持ちに嘘はない…。僕は今の自分をくれた...あの日から来る寂しさから救ってくれたミルの助けになりたい…この気持ちを大切にしたいんです…」


 床に倒れて言うセリフでは無いけど、嘘はない。自身がある日の方が少ない僕が持つ数少ない本音。言う相手が怖い人達で気恥ずかしさがあったが…。ミルを想うと不思議と声に出して言えた。


「…そうか」と女性が言うと、ヒシリアでもない誰かの笑い声が聞こえた。


「いや…すみません」


 女性は僕を笑った人に視線を向ける。


「…君なぜ今のを笑う… 笑うのは君の自由だ。だが…一つ覚えておいてくれ…。どんなに小さな事であれ私は失敗を笑うことを私は許さない…失敗した者を笑う事をワタシは許せないとても小さな心であるとな… 脳に刻んでおけ… ボルドワーズ」


 笑っていた男は息を飲む。

 空気が変わる、どこかこの空気に僕は親近感を覚える。


「ハハハ、いやすまない… ワタシもやり過ぎてしまった… 失敬失敬…。ただ…、キミに次はないぞ… ボルドワーズくん…」

「はい… 以後気を付けて… え?」


 女性はジリジリと近寄る。

 開かれていた扉が閉じる。


「はぁ、ワタシはもう一つ許せないものがある… お前も良く知るものであり… 人間なら誰しも知りそれを根絶やしにするため躍起になるものだ…」


 どんどんと近寄る女性に額の汗が増える男性。


「分かるよな?」


「すみません… 分かりません」


「ほう、ワタシの言いたいことが分からない… ならば良い… 我が剣よ、後は任せる」


「は…仰せのままに...」


 再び開く扉に女性はニコッと僕を見て去っていく、男も後を追おう走るが、ヒシリアが止める。

 僕はただこれこら行われる惨劇を見ているだけで止めることが出来なかった。


「…! 退いてくださいヒシリア卿! 私はあのお方に弁明を!」


「弁明など不要… 貴方はまだ自らの悪事がバレていないとでも... 本当は分かっているはずです。私が残った意味を…」

「ぐっ! わ、わわ私を裁くのですか… 断罪卿であるあなた様が!」


「悪人の行き着く先は皆同じ… 組織において裏切り者や私欲に走ればどうなるか… 分かっていたはず、嘘での誤魔化しは通じない事も...」 


 男は覚悟を決め、武器を取る。

 だが、目の前の光景を見て思うことは、蛇に睨まれたカエルであり、明らかな男は不利であった。


「まだ…まだだ! 私はまだ何もしていない、これは私の正義あっての行動です!」


「ほう、ではなぜ武器を... 刃物をこちらに向ける? 素手の私と話したいのなら武器を置き、自らの無実を私に言ってみなさい。信じてあげますよ嘘が無ければ…」


「ぐ…それは…出来…ない。ですが私は悪くない私は何も悪くなんかない! あれはあの男が勝手にやったことで私は何も悪くなんかない! ただ少し報告が遅れただけでこんな事はありえません!」


「…そうですか」


 武器を構える男は気づいていない、薄暗い部屋であり光も窓からの僅かなもの。

 だから気づけない自身に近づくもう一つの影に。


「弁明も出来ないけど無実… 自身に過ちが無いと…ですが私の眼はお前を嘘つきと判定した…。消えてもらうしかないんだ…本当にすまないクズやろう…」


「お、お待ちを断罪(ヘシリア)卿! まだ話が…!」


 ヌルリと影は人の形に変わり、武器を構える男の手を切り落とし捕まえる。


「え…」


食い殺せ(殺れ)…」

「はいはいっと…」


「ウァァァァァァ!」


 男は目の前で大きな狼に食われてしまった。

 死体も残さず血の一滴に至っても残さず食われてしまった。

 影はへシリアの元に戻り身を潜める。


「彼は... あなた達を" 第三基地 " 世界平和を未来に繋ぐ為に創られた研究基地を私欲に使い…報告を何度も擬装してきた悪人の一人です…。あなた達を基地送った者は他に数名おり… 全員裁く予定。貴方もこうなりたくなければ大人しく... ここでお待ちを…」


 僕を立たせてから去る背中ではへシリアの気持ちは分からない、だが地面に一滴の涙が残り乾く。


 僕はどうしようない寂しさが来た。

 今一人だからってこともある、恐ろしい光景を見て誰か側にいてほしいからかもしれない。

 そんな誰かを探しても周りには誰もいない。


「う…」


 僕も泣けてきた。

 孤独感から泣いた。


 地響きが、したがそんなことよりも気持ちが追い付かない。

 望むなら今側にいてほしいのは、もう会えない人達だった…。

 会えないから会いたい…。

 だが、決して会えない人達だ。

 写真の一つでも持っていれば今も見ることが出来たのだろうか…。

 そんなことを考えていると、地響きは強くなり、バリンと何かが割れる音と同時にドゴーンと間近に、背後の壁が割れる音が聞こえた。

 それよりも、僕の真横ギリギリをでかい… とてつもなく剣と呼ぶにはと思えるほど大きな物が地を割き上から降ってきた。

 見た感じ剣先だ…。

 数分後意識が戻る、あまりの驚きに脳が処理不足でただ舞う土煙と剣を見ることしか出来なかった。


「え…なにこれ…夢?」


「ふふ~んですわ! 夢ではなくてよ眷属さん! ワタクシ達にとっては運命的な現実ですわ!」


 剣は縮むと同時に後ろから、聞こえた聞き覚えある声。

 出来るならここはミルに助け出されたかったと思えたが、それでも嬉しさから。


「ルーナ‼?」と叫んでしまった…。

 絶対今後調子乗りそうだ…失敗だ。


「はい眷属さん! ルーナが助けに来ましたわ…!」


「はいはい、シーナさんもいますよ眷属さん、ふふん!」


「何でここに...?!」


「それは…後程ご説明いたしますので今は... 逃げますわよ!」


「えっちょ!」


 拘束事担がれ運ばれる。


「ヤバ…さすがに本部ってだけあって人間多… 正門前の執事たち大丈夫かな…」


「シーナ、今はそれよりも私たちの命と眷属さんの命優先で逃げますわよ! ほら! 追手がきましたわ!? ひぃー!」


 大勢の足音と空から何かが降る音がする。

 あちこちで爆発して落下してくる。


「やっぱ、バカだろ何でこんな危ないところに来た!?」


「誰がバカよ‼ ルーナはともかく私はルーナの付き添いだから違う!」


「お前も同じだ‼ ついてこないで止めろ! また死んだらどうする気だ…」


「はぁ? 今の眷属さんには何も拒否権ないから、助けにきてみればメソメソと部屋で泣いてあまりの面白さで笑い死ぬところだった!」


「はぁ!? それお前に言えるからな? 浅草でのシーナさんにも言えるのでは? 思い出すだけで腹筋が8つに割れるわ!」


「ちょっと、逃げている途中で喧嘩はよして! 二人とも帰ってからにして!」


「うるさい! 全部お前のせいだ!」


「ちょっと、いくら眷属さんとはいえルーナを悪く言うなら殺すから!」


「殺ってみろよ! ぼくを殺ったらミルが泣いてお前らを殺しに向かうから… やっぱ止めて... そんなミル見たくない… 本当にすみません…」


「…、何よいきなり… だけど私も言い過ぎたからチャラにしてあげる...」


「だけど… 帰ったら覚悟しろよ‼ 雑用含めた家事を手伝ってもらうからな!」


「やれるものならやってみなさいよ!」


 そうこしながらも追手は気づけばいなくなる。

 まるで霧に撒かれたみたいに消える。


「嘘、さっきまでいた追手さん達が...」


「この隙に逃げるよルーナ!」


「あいあいさー!」


 本部を離れ三人は走る仲間との合流地点目指して。


―――――――――――――――――――――


フラン視点。


「良いのですか、眷属を逃がして... 原初の怒りに触れるのでは?」


 へシリアとフランは本部の屋上から逃げる三人を見守る。


「ふふ、そうだな、怒るかもしれないしそうならないかもしれない…」


「それもあなた様の見た結果からですか?」


「違うな若僧… これはただ気まぐれで逃がしただけだ… だが、その気まぐれが私たちにどんな厄災を振り撒こうとワタシが守ろう」


「そうですか… なら露払いは我々が... あなた様は守る世界平和に我々も貢献させていただきます…」


「ならば向かおう次の客は近々こちらに来る... これが、私の見た未来だと皆に知らせ、正門前の者達は殺さず次第に去るので後少し踏ん張れと追うなとも言っておけ…」


「は…仰せのままに...我が王…」


「王など怪物には不似合いだからよせと言ったはずだが…」


「いえ、あなた様は我々のキング… キング無くしてこのゲームは成立しないのです」


「今流行りのゲーム脳では? なんだ協会でも流行っているのか? 精神科の受注をおすすめする…」


「はは… 王が何と言おうと我々はあなた様を守る駒であり剣ですから…」


「はぁ…もう好きにしろ…」


「はい、では私はこれにて…」


「あ!」


「まだなにか?」


「いや… 何でもない…」


 ヒシリアは去り、空を見てフランはかつて男と見た空を思い出す。

 そして、本部に開けられた外と断裂する結界の修正するか考える。


「どうせまたすぐ壊されるからなぁ…」


 次に来る客の事を考えはしたが、嫌がらせを込めて前よりも頑丈に作る。

 読んでいただきありがとうございます。


 はい、まさかの展開と思いたい作者です。

 もとから三人で逃げるのは決めていたのでここまでかけてわりと満足げです。

 まぁ、なぜ逃げきれたかはまた別の話で書くと思います。

 次はどんな話から書くか迷うところです、この章はいろんな人達の視点を大事にしたいので、コロコロ変わり、迷うことが多いです。

 たぶんしばらくはマサト君はお休みだと思います。

 主人公は歳の近い二人にはフランクになりやすくなってますね、良い傾向なのか無自覚鬱患者のマサト君には?


 感想なども待っています。

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