ヒューズ・クライム番外編1 幸せな夢の中で
読んでも読まなくても良い話です、続きも未定であくまでも蛇足です。
これはヒューズ・クライムの話です。
彼が死ぬまでの話ではなく、第三基地に正人達が来るまでの話。
ヒューズ・クライムは生まれつき魔力を持つ人間でした。
生まれはルーマニアの田舎町で生まれました。
家族の中でヒューズだけが魔力を持って生まれ、魔力の存在を知らない家族はそんな彼を直感から人間の持つ危機察知からか普通の者ではないと感じ恐れた。
赤子の頃は胸に抱き家族として愛していたが、それもヒューズが物心を持つ頃には声をかけられるだけで体を震わせ視界に入れば赤子の彼を愛した家族とは別で恐怖を抱くようになっていた。
「お父さん… 僕… 最近同じ夢を見るんだ…」
「…! そ、そうか…」
「うん… とても怖い夢なんだ… だから…今日は前みたいにお父さん達と一緒に…寝ても良い?」
「…。そうだな…ヒューズの頼みなら…良いぞ今日の夜、寝室に来なさい... うん…」
父親の顔を作りながらも心の奥底で彼を恐れているが、それでも家族であることに変わりは無く、家族はヒューズを大切にしようとしていた。
その時、母のお腹の中には二人目の子供が居た。
その子供も愛せるか二人は疑問に思っていたが、ヒューズの変わらない優しい性格を知っている。
だから、次の子供もこの子も変わらず愛そうと夫婦は決めていた。
だがそれもこの日の夜で終わってしまった…。
コンコンと両親の寝室の戸を叩くヒューズ。
その後、ヒューズの父親が戸を開け両親と川の字で横になる。
「…。本当に良いの? 僕が来ても…」
「ごめんね今まで…だから今日は良い夢が見れると良いね」
「そうだ...父さん達が一緒なら何も怖くない…」
「うん…! へへ…」
この日はヒューズにとって楽しい思いでいっぱいになった。
ヒューズにとって家族はどこか自分を怖がっていると分かっていたからだ。
目が合うとひきつる顔と裏返る声。
家の外で遊ぶ友達もいない。
人は彼を見ると皆が怖がり、逃げていく子供ばかりだからだ。
大人達は彼を見てはヒソヒソと何か話してその場を去った。
だから、家族だけは信じたかった。
僕の家族は僕を愛していると… だから今この瞬間だけだったとしても、胸が幸せでいっぱいだった。
こんなに幸せなら今日は怖い夢は見ない…はずだった。
その日に限りヒューズは良い夢も怖い夢も見なかった。
だが、ヒューズは夢を見ていた方が良かったほどの現実を見た。
目を覚ました彼が見たのは吹き飛んだ自宅と壁に付着する赤い液体だった。
それはとても鉄臭くドロッと自身の手や体にも付いていた。
それはヒューズが知らない液体ではなかった。
以前、両親に手料理を作ろうと包丁を握り指を切った時に舐めた血の味と同じ匂いにヒューズは夢を見ていると思った。
そう思いたくないと彼の直感がそうさせた。
だが、それもすぐに解け現実に絶望する。
「な、何で… お父さん…? お母さん?」
二人の服を着る肉片を引きずりベットが置かれた位置に寝かせ真ん中に川の字で目を閉じるが、血の匂いが邪魔して眠れない。
もう、眠ることなんて出来そうにもなかった。
「ぐ… ウグ… ぐす… どうしたら… どうしたら良いんだよ!? ウワァァァァァ!」
そう泣くことしか出来なかった。
彼は深く絶望した。
家から離れず、その間誰も家には近づかないことに疑問を持つ知能は消えていた。
日が三回沈み四回目の朝日を目にした時に一人の男が家に近づくのが見えた。
両親の腐敗する匂いに鼻を抑えていたが少年のヒューズを見つけて男は驚きながらも近くに来る。
「誰だよ… 来るな…!」
「まさか… こんな子供が…」
「帰れ!」
「良いや、お前は今日から私が育てると今この瞬間から決まった!」
「何だよそれ…僕はここから離れるわけないだろ…」
「はあ? しらなねぇよそんなこったぁ。親不孝な事してすみませんでお前まで死なれたら家族に申し訳ないだろ?」
「…うるさい! うるさい! 良いんだよもう、僕は人間じゃなかったんだ… だからお父さんとお母さんは死んで僕だけ… 生きているんだ…!」
「ほら行くぞ…」
そう言い男はヒューズの手を掴むがヒューズは暴れる。
「離せ!」
ヒューズを掴む手からバチッと音と共に小さな光が弾ける。
「な…!」
「え… なに今の...」
「やっぱお前か… ほら行くぞって!」
「…! 離せ!」
「はぁ… 少し眠れ…」
男はヒューズを眠らせそのまま男はヒューズを引きずりながらも乗ってきた車に乗せ自身の拠点に戻る。
男はヒューズを一時的な拠点とする協会が用意した借り宿のソファーに寝かせる。
「たく…」
寝かせ終えると男は携帯を取り出し協会に連絡を入れる。
「…お?」
『終わったかベル? それで原因は何だった…』
「吸血鬼の仕業じゃなかったよ… それよりも重い事態だ… 現場を見た感じガキの魔力の暴発が原因だ」
『ガキ? まさか子供の魔術師があの町に居たってのか?』
「ああ… 生まれは普通の人間の夫婦だったが… ガキは魔力を持って生まれたんだろう… まぁ、魔術師か魔法使いかは知らないが… 協会の監視不足が原因だ…」
『そうか… 子供の保護ご苦労。そのまま近くの基地で保護とする… あんたは送り終えたら帰って良いぞ』
「ふふ… なぁ私とお前の付き合いなら分かるだろ… 私がガキを見捨てられないって… 今の基地はくそだ… こんなガキを一人基地に渡せば戦闘兵器にでも改造されかれねぇ…」
『何が言いたい… お前の勝手は許されないぞ… 何かあれば前みたいな給料のカットでは済まされないぞ…!』
「だからって私はこの判断に変わりはない… 既にガキには私が育てるって言ってある。いつもの私の勝手な行動で報告ヨロシクな?」
『待て待て… 待ってくれベル…!』
「待てねぇ、育ったら研究職にでも協会に渡すからそれまで私は協会に戻らないからじゃあな相棒?」
『待て!』
パタンと携帯を閉じ連絡を切る。
「はぁ… どうしようか今後…」
男はヒューズが寝るソファーの横に座る。
「ガキ一人育てるのは簡単だが… 協会から逃げながらになりそうだ… はぁ… やっちまった! ハハ ハ!」
「ん…」
「お? 目が覚めたか?」
ソファーから体を起こすヒューズ。
「ここは…」
「私の借りの拠点だ」
「拠点…? お父さんとお母さんは?」
「…」
「あ… 僕が…」
「はぁ… とりあえず風呂に行くぞ!」
「僕が…」
「はぁ…」
男は放心状態のヒューズを掴み風呂に連れていく。
自身とヒューズの体を洗い頭を流し湯に浸かる。
「フゥ...」
「…」
「どうした? まだぬるいか?」
「…!」
ヒューズは風呂の湯に顔を浸ける。
「なんだよ茹あがるぞ?」
「…」
十秒後。
「はぁ…ガキは好きだなそれ…」
「…」
二十秒後。
「おいおい… さすがに長いな…」
「…ブクブク...」
三十秒後。
「おい、いい加減顔上げろ死ぬぞ?」
「ブクブク... ブク…」
三十六秒後
「ブク…」と泡を出した後ヒューズはプカプカと浮く。
「…! おいおいまさか…く…くそガキが!」
男はヒューズを風呂場から抱き上げ脱衣所に向かう。
ヒューズの息は止まりかけていた。
「はぁ… まさか自殺とか… ガキだな!」
男はヒューズの心肺蘇生をする。
ヒューズの心臓の位置に手をあて胸を押す。
時に人工呼吸を挟みながら胸を押すと多少のお湯を吐き出しヒューズの息は戻る。
「ガハ… ハァハァ…」
「ガキが... この親不孝ものが...」
「ハァハァ… 何で… 助けないでよ…」
「大人が子供を助けるのは当たり前だ」
「助けるなって…」
「はぁ… 初日からこれかよ…」
その後ヒューズの体を拭いたは良いが…。
「あ、服がねぇ… 私の服はあるが…」
「…」
「まぁ良いか…」
少し大きいくらいだと思い自身の服を切りヒューズの服に早業で縫い直しそれをヒューズに着せる。
「よし、これで良し!」
「帰る… 家に帰りたい…」
「…。分かった… だがそれは明日だ」
「嫌だ! 家に帰る!」
暴れるヒューズを押さえて椅子に縛り付けて男はソファーに座る。
「明日と言ったら明日だ」
「…う… 帰りたい…」
その後、泣いているヒューズとソファーに座り本を読む男だったが、トイレと言ったヒューズの言葉を聞いて縄をほどいた隙に逃げようとするヒューズを取り押さえておしっこ漏らしたヒューズだった。
「はぁ…バカか?」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
初めてか書く本編前の話なのでキャライメージが崩れないか心配ではあります。
今回はヒューズの過去話ですしまだ続くとなると飽きさせないか心配です。
こちらは本編とは違い、かなり未定の続きですのであまり気にせず本編へ。
感想を書いてくれると嬉しいです。
面白ければ評価とブックマークもお願いします。




