第四十二話 終着:白紙の資料(ページ)
部屋内にミルを抱える正人が、娘の治療をするヒューズが、驚きと焦りと怒りで叫び周りが見えてないロビックの四人がいた。
部屋の外からは大きな物音を聞いて心配になり走り向かうルーナ達が部屋に向かっていた。
「何故だ! お前は僕の用意した薬で苦しんでいたはずだ…! なのに何で起きれてんだよ!?」
「くそがぁぁぁ!!!」と叫ぶロビック。
ミルを胸に近づけるように抱き抱える正人はロビックの方を見ながらも出口である自身が蹴破った壁の方を見ている。
ロビックと言う男の事など眼中には無く、そもそもこの男をロビックと認識していなかったからだ。
「…。ミル… 僕から離れないよう… しっかり掴まっていてください…」
「あ… うん…」
足に力を溜める。
先程より断然遅いが走るため、ミルを連れて逃げるための隙を探しながら砕けた壁を見る。
走りこちらに向かい来るルーナ達の姿も見え逃げるなら今と考えたが、ヒューズ達を置いて行く事になるのを躊躇してか娘の治療を済ませるまで待つことにした。
「…。スゥ… ハァ…」
呼吸を整えて逃げの瞬間を待つ正人まだ何かこの男はするのではと警戒し距離を取り視界から離さず外と男を見る。
「何故だ… 何故... 僕のものにならない… 何でお前みたいなヤツが… 私の邪魔を出来る… く…! クソクソクソクソクソクソクソクソクソ! クソがぁ!!!」
ふらふらと歩きデスクに向かうロビックを見て警戒しながらもヒューズの治療を待つ。
「あー… あー…! あー!! ならもう… 死ね… 皆死ね… 残った灰の下で… あなたが生きているのなら… ワタシが取る手は… ふふ… ふふ…」
そう言いロビックはデスクの引き出しを開け、今度は薬ではなく、一つの小さな光る玉を取り出した。
「貴様… 何をする気だ… まさかそれは!」
ミルはロビックの行動を警戒していたが、ロビックの持つ玉の危険性を思いだし、正人の腕をほどき止めようとしたが間に合わず玉を飲み込む前だった。
「消えろ… 虫けら… 姫様、これはあなたを手に入れるためにボクがする最善なんです! ちゃんと最後まで見届けてくださいね!!」
そう言いロビックは玉を飲み込み苦しみ出す...。
「グ… グゲ… ゴゴ… ガ…! ハ… ア… ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! ボクノカチ…! ボクノカチ! ボクノカチダ…! アーハハハハハハ…!」
玉を飲んだロビックの体は醜い肉の塊に変わり、肉塊から外側の醜い皮が剥がれると、卵形の塊に変わる。
卵形の塊は脈動し、ドクンとドクンと音がする。
正人達は絶句する。
あまりのロビックの変わりように、先程まで人間だった男は形を変え人の大きさくらいの卵に変わったからだ。
あまりの不気味さからそれに触れることが怖かった。
だが、卵が孵化する前にヒューズは娘の治療を終える。
「原初様! 何が...! て! えー眷属さんがいる!?」
部屋に着き、ミルを抱き抱える正人に驚くシーナ。
後ろで大勢来る兵を警戒して正人がいることに気づかなかったがシーナの言葉を聞いて後ろを振り向くルーナは正人の姿をとらえる。
「え… 眷属さんが…!? それ本当ですかシーナ!?」
「おい! 今は話している暇は無い! 泣いている暇もないぞ! 走れ!」
「だって... だって、眷属さんが生きてる… 良かったぁ…」
泣きながら走るルーナと前方から来る兵の銃弾を結界で防ぐシーナ。
娘を抱えては走るヒューズとミルを抱き抱え走る正人。
「ふぅ... あ! 皆の衆! ご無事でしたか!」
兵を切り捨て一呼吸置く一六が、走る正人達に気づき手を振る一六。
「なら… 邪魔ものは消えろゴミが!!!」
一六は道を開けるため沢山来る兵を入る時にした技でこじ開ける。
「ささ! 皆の衆! 行きますぞ!」
合流し外まで走ると、今まで正人達がいた基地の建物は崩れ崩壊する。
皆が暴れすぎたのもあるが、それとは別にもう一つ建物の瓦礫の下から心臓の鼓動音が聞こえた。
皆が安心したのもつかの間、崩れた建物の瓦礫から大きな化物が現れた。
とてもでかい体格にそれよりも大きな翼を広げ鋭い牙を揃えた顔と角を持つ、それはおとぎ話や空想生物とされたドラゴンの姿に酷似した化物だった。
「まさか… あれが…!」
「グワァァァァァァァ!」とドラゴンは雄叫びをすると空に飛び火の雨を降らせる。
シーナの結界で皆を守り火の雨はやむが、以前として空には大きなドラゴンがいた。
「まさか… ロビックがあんな隠し球を残していたとは…」
ヒューズにとってこれは計画外とも呼べるものだった。
だが、なってしまったからには対処しなくては自身の本来の計画が成就しないと考える。
「まさか… あれがロビック!? いつから竜に!」
目的は逃げではあるが、多少なりとも恨みがある正人にとってはロビックは倒したい相手だった。
以前吠えては火の雨を降らせるロビックドラゴン。
「人間が竜に変わるとは… どうしますミル? あの竜駆除しないと基地から出られなさそうですが…
殺します?」
「ふん… マサトここは私が...」
ミルが言おうとしたタイミングで話を遮るようにルーナが話し出す。
「眷属さん! 私達が落としてあげますわ! シーナと一緒に!」
「ぐ… おまえ今私の話を遮ったな…?」
「い、いえ…! わざとでは無いですから…」
ルーナに向かって睨むミルだが、ルーナの話を聞く事にした。
「まあ良いだろう… おまえ達の力でどうにか出来るのなら任せる… だが… 今後は私とマサトの話を遮るな… 分かったか…」
「はい! 以後気を付けます… すみません原初様!」
ルーナはミルの方を向いては、頭を何度も下げて謝る。
「ルーナ… まさか… 私の結界を足場にするあれの事を言ってるの?」
「え? ダメかしら?」
「良いけど… 守りはどうするの… 原初様達はともかく人間さんの方は死んでしまうかもしれないよ?」
「安心を!! それはワガハイが請け負いましょう!」
そう言い一六は手を合わせ合掌すると刀は変形し大きな盾に変わる。
「えー! 凄い! 何それナニソレ!?」
驚くシーナだが、一六は正人達を守ため盾を空に向けて守るため全員を入れる。
「お急ぎを! 大楯ゆえあまり維持する時間はありませんので!」
「二人とも任せた!」
ルーナたちは手をピースして走りドラゴンに近づく。
空を飛ぶドラゴンとの距離は遠く火の雨が振り続けるが、シーナの結界を空に張りそれを足場にしながら素早く上がるルーナ。
以前から遊びで何度もしていた二人にとっては慣れた作業だった。
次に来る結界の位置をルーナは知っている。
次にルーナがどの位置に足場が欲しいかをシーナは知っていた。
一瞬でドラゴンを越すほど高く空の上にルーナは立つ。
背にはまだ曇り空だが、雲を越えた先の空は太陽照らす空だった。
その太陽を背にし、手を持つ剣を自身の血でより大きくする。
基地では戦うこともなく、血を使うことがなかったため出来るルーナの大技だ。
「いっきますわ!」
その剣の重さから雲を割りながら振り下ろすルーナも落下しながら振り下ろす。
下に要るシーナに着地を任せた思い切り振る。
この際落とすのは止めてドラゴンを切るつもりで作った剣をドラゴンに命中させる。
ドラゴンは二つに裂け、最後にドラゴンのものではなくロビックの断末魔を叫びながら絶命した。
「ぐっ…!」
剣が地面に触れると地面おも裂き、とてつもない風圧が正人達を襲う。
「これは…ぬっ! やりすぎだろ…!」
ミルを抱え必死に守る正人の風圧で飛んでくる体に小さな瓦礫が当たる。
ヒューズ達は一六の盾により守られ無事だった。
血の剣をしまい、ふわりとシーナの結界の足場を使い降りるルーナ。
「ふぅー、万事解決ですわ! ブイ!」
「…!」喉に力を込めるミル。
風はやみ、残る瓦礫の上に血を撒き散らし裂けたロビックドラゴンに近づく正人は死んでいると分かっているが、生死の確認のため死んでいることを確認すると手を合わせ合掌する。
数秒合掌し終えると瓦礫から降り下で待つルーナ達を叱るミルの元に戻る。
ルーナ達のせいか、基地はボロボロで辺り一面が瓦礫でしかなかった。
建物全部砕け、崩壊し基地と言うよりただの石の壁で作った箱状態だった。
「誰がここまでやれと言った! やはりバカかおまえら! 人間どもの基地とはいえ… 帰りの飛行機ごと基地を壊すとは...!」
「すみません…」
「すみません!」
さすがの飛行機も壊され無くなり帰る方法を失ったからかミルは二人を叱る。
その怒りを抑えようとミルの横で落ち着くよう言っている一六。
さて… どう帰ろうか…?。
遠くで歩き四人に近づこうとする正人にヒューズさん達が娘と手を繋ぎ正人に近づく。
距離が離れているからか四人は正人達に気づいていなかった。
ミルだけは正人の位置は分かっていたが会話までは聞こえていなかった。
「君達のおかげで... 私の目的は達せられた、研究目的に作られた第三基地は崩壊し予め私が削除した重要機密によりこれ以上の実験は不可能となった… 正人君… 本当にありがとう… これで私も安心して逝ける…」
「ありがとうおにいさん!」
「それと… ごめんね… 君達を巻き込んで… 偶然とはいえ君達の存在を知り利用して… 苦しい思いばかりでごめん…」
「何を言っているんですか、これからどうするか話している時に...?」
なぜだかとても違和感のある空気だ、娘さんの方からは何も感じはしないが… 父親であるヒューズさんの方から… 満ち足り何も残すものはないと今にも消えてしまう… そんな気配が空気として体に入ってくる。
「ふふ… じゃ… さようなら… 本当にごめんね…」
そう最後は娘の頭を撫で…。
「え…」
そう言いヒューズはポケットから取り出したボタンを押すと娘と一緒に体を爆散させた。
正人が怪我するほど威力はなく、正人も傷一つ無くヒューズ達だけが血と肉と内蔵を辺りに散らし死んでいた。
足だけがそこに二人がたっていたことが分かるように4本の足が置かれ、風が吹くと倒れ血で出来た足跡がまた二人の存在を感じさせた。
最後に見せた娘さんの顔から分かる、これがヒューズさんのしたいことなのだと。
だから…。
「え… 何で…」
余計に分からなくなる…。
「何だよ… コレ…」
正人には理解できるわけがなかった。
この物語の結末こそがヒューズが選んだ自身の最後であり、責任の取り方だと。
断片的な理解は当然であり、真の理解ほしさではなく... ただ原因を作った過去に生きていた元の自分がしたことの責任だと。
ヒューズはこの時を待ち… 基地を崩壊させた。
「ぐ…! ウッ…!」
胃液が上がるが吐くのを我慢する。
理解できないヒューズの行動だが、ここで吐くのは駄目だと人間として駄目だと思い胃液を腹に戻す。
その場でヒューズの爆発に絶句しただ立ち膝を着き背中を丸め正座するように座る事しか出来きなかった。
泣きたいのか吐きたいなか分からなくなる。
だけど、心が少しヒューズのしたこと褒めていた。
理解できない。
「ありがとう」の意味を考えては自分が彼を手助けしたと考えては吐きたくなるほど涙が滲むほど苦しくなる。
どうしてこんなに僕が苦しむ必要が... 彼らを嫌いなわけでも好きだったわけでもない。
だから分からなくなる。
この苦しみは何の苦しみなのか…。
何だよこの基地は、頭のおかしいやつらばっかりだ。
「何でだよ…ヒューズさん… 何で娘と… 家族だろ… もっと一緒に生きろよ… クソヤロウが…」
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ルーナが剣を振る直前のこと。
上空には協会からロビックが事前に自身の死を想定して呼んだ協会本部から呼ばれ飛んできた一人の男を隊員を乗せた飛行機が飛ぶ。
男は飛行機から飛び下り上空からのスカイダイビングをパラシュート無しで基地に降りようとしていた。
「なんだ… 今のデケェ剣…」
小型ながら良く飛ぶ飛行機から飛び降りる前、見えたのはルーナの剣だった。
そして、今飛行機から飛び下りた。
危機的なことに変わり無いと、慣れたように体制を整え、勢い良く基地に向かって飛び降りる。
「ヴァン…着地任せた…」
『はいはい… っと…』
彼の影から一匹の狼が現れると足場を血で作り、勢いを殺し狼はまた服のすき間の影に戻り、地面すれすれでまた現れるとたの姿に変わり抱き抱えて着地する。
「少し揺れたぞ…」
「まぁ坊っちゃんの力なら余裕かと思い今回は寸止めでやってみました」
「あっそ…」
男がそう言い終えると狼の姿に戻り影に戻る。
「ぐっ… 誰だ貴様…」
ミル達の目の前に現れた男をミルは知らなかった。
突然空から男が吸血鬼と共に現れたことに驚きはしたが、何故と吸血鬼が人間に協力する理由を考える。
男の服装を見て、いきなり上空から現れた男を警戒しながらも協会の者の服装だと思いルーナ達の前に立つ。
「今さら協会本部の人間が来るとは… 遅すぎるが… まさか迎えに来たのか?」
「何を言っているのか分かりませんが… 覇気からして… あなたが原初の姫様であってますよね… なら後ろの吸血鬼は… 誰です…?」
男は懐から銃と剣を手に取りミルには向けず後ろで大技を使って疲れて戦えないルーナ達に向ける。
「おい… 貴様… すでにことは済んだ武器をおろし… 私たちを基地に帰らせろ… いいな…?」
「……。ヴァン… 匂いを辿り基地の生存者がいるか探し保護しろ… それと… ここの責任者を探せ…」
「あー? あのくそおやじを探せって… 無駄ですぜ… 匂いからして既に死んでる…」
「嘘つく暇は無い、見えているなら探せ…」
「はいはい… っと…」
影から出た狼は基地の瓦礫の方に向かい走っていく。
男は武器をおろしその場で座る。
「突然の事で驚かせてしまい申し訳ありません…。ですが、何があったか話してくださいませんか原初の姫様? 私は… こんな惨状の後では信頼して貰えるか分かりませんが、敵ではありません…」
男の行動を見てミルも警戒しながらも座り以前としてルーナ達を守るため前に座る。
「地面ですが、座っていただき… ありがとうございます」
信頼を得られたと思った男はミルと話を進める。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
ヒューズさん達の最後は良く分からないかもですが、説明話は書くと思います。番外編とかで。
ルーナ達の事を強く書こうとしたら全部持ってかれて、ロビックが最後飲んだ玉は竜の心臓と呼ばれるものです。力を与える変わりに竜に変わり本能のまま暴れるお約束展開ですね。
新たな協会からの隊員さんは悪い人ではないです… たぶん。書いている話のうちに悪に...なるかも?一応イケメン設定です。狼の方もカッコいいから狼にしました。
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