第二十七話 僅かな可能性
朝食を食べ終えるとミルは寝るために部屋に戻る。
さて、朝食も食べたし洗い物をして終えたら洗濯物を干そう。
洗濯物を干し終えるとピンポンとこの部屋のインターホンの音が鳴る。
お客とは珍しいが多分また手紙か食材などを届けてくれる隊員さんかと思い部屋に取り付けられているカメラ付きモニターを見ると…。
笹原防衛大臣が立っていた…。
「はーい、え… 何で… 何のようで…」
『やぁ、早く開けてくれるかな?』
扉を開け笹原を玄関に入れる。
「…。今日はなに様ですか… 新しい作戦の話しとかですか…」
「いや、違う。今日は正人君と話そうと思ってね」
「そうですか...」
笹原は靴を脱ぎ玄関からリビングに案内し椅子に座る。
「…。どうぞ… 粗茶ですが…」
「うん、ありがとう」
「それで… なにを話すのですか… ミルの事については僕は何も知りませんよ… ルーナとシーナについてもあなたが知る以上に僕は知りません…」
「警戒するほど僕を嫌うのは分かるが… それらについては君が言う通り浅草での報告から把握している。君と話すためちょうど姫様も寝ている時間に来たのは、別の話をするためだよ」
笹原はお茶を一口飲む。
「ふぅ...。君はあと一年もすれば吸血鬼と成るそうだな…」
「そうらしいですね… 元の人間の時と眷属に成ってからの変化の方が強くて、あまり実感が沸かないですが…」
「このまま君が吸血鬼と成るのなら君を処分する事になる…。だがね、海外にある基地から話が来ている… 君を渡せと… その基地でなら元の状態に戻せるかは分からないが... 吸血鬼化までの猶予が増やせるそうだ…」
「え… 待って…! 戻せる、海外で? しかも日本以外に他に基地が...?!」
「僕達は別に日本だけで活動しているわけじゃない、いつからあるかは知らないが… この基地は世界中にある組織の一部でしかない…」
え… 知らなかったとはいえ、初耳な事が多くて頭が混乱する。
まさかこれが笹原の罠か...?。
「正人君、君は助かりたいか? たとえ吸血鬼化を止められても元の半端な状態に戻るだけだが… 失敗しても猶予が延びる賭けにのる気はあるか?」
「待ってください! そんなの僕に決められるわけ…」
「君が決める必要がある。姫様が起きれば拒否られて終わりだが君が決めたことならあの姫も認めるだろうからね」
「…。その話をするためにミルの寝ている時間に…!」
「…。まぁ、今日はそれだけを言いに来た。今すぐ決めてほしいわけじゃないからもう帰るけど… この事は姫には秘密だ… また来るからその時に君の答えを聞こう…」
「え… あ…」
笹原は残りのお茶を飲み終えると玄関に向かい帰ってった。
僕はただ椅子に座り考えることしか出来ない。
うん… 基地とか組織とか言われたが… やっぱり、吸血鬼化を止められるかもしれない方法が気になる。
今僕達が欲しているものをアイツは提示してきたが… おかしいと思える…。罠かもしれないと疑心暗鬼になる。
「はぁ…」
「あの… 眷属さん?」
「え… あ、どうしたのルーナ…?」
ルーナがリビングの扉を開けこちらを見てくる。
「いえ… さっきの怖い人間は帰っていきましたか?」
「あ、あぁ! もう帰ったから怖がる必要ないよ」
そういえば… ルーナとシーナの二人も笹原を怖がってたな…。
「よかった… シーナ! もう帰ったそうですわ」
「じゃあまたテレビ見ようルーナ!」
「あまり騒がないようにね、ミルに怒られるよ?」
「眷属さん…? そんなこと分かってるよ… 私達が何回怒られたか眷属さんも見ていたでしょ…」
「止めてくださいシーナ…! 思い出したくないのだから...」
「ははは…!」
「笑うなんて酷いよ、眷属さん!」
「いや、ごめん… 何だか二人を見ていたから元気になってね… はは…」
「ふーん… あの怖い人間と何があったか知らないけど女の子を笑うなんて最低だね…」
「いや、それは本当ごめんなさい…」
「反省の意志があるなら血を…」
「すみません、それは無理ですごめんなさい」
なんか色々と考えて疑ってたことが馬鹿らしく思えてくる。
だけど笹原が言っていたことがもし本当ならミルも嬉しいかもしれない…。
話すなと言われたが… 笹原との約束など守る理由もない。
よし、起きてきたらミルに話そう。
そうと決まれば昼ご飯の準備だ。
ルーナとシーナはテレビを見ている。
『昨日午前からのニュースです。最近都内で四人家族の行方不明事件が多く発生していますが… ネット上でも両親と兄妹のいる家庭を狙った神隠しとして知られ… 必ず家族の長男だけが居なくならないとして…』
「ふーん…」
「ねぇ、ルーナ別の番組にしよう!」
「そうね、あ、前に見た番組がそろそろ始まるわ」
お昼に食べる食材の下準備完了!。
僕だけが食べるとはいえ、最近料理が趣味に加わってきたな。
ここには娯楽も少ないから家事や料理ぐらいしか僕には楽しめないからしょうがないか…。
前にスマホを頼めのか聞いたけど… ダメって言われたし… 作戦の時に会話用として渡されたのが最後だし… その後回収されるまで久しぶりのスマホをいじる感触にちょっと感動した…。
ゲームとかなら良いかと思ったけど… テレビ以外はダメって言われた。
はぁ… ケチな奴らだ…。
これも全部笹原が悪い。
組織とか世界にある基地とか言ってたけど… そうやって僕を混乱させるのが目的だろうがもう気にしない!。
全部ミルに話しておしまいだ。
あ、そろそろ起こす時間だ。
ミルのネル寝室に向かう。
「ミル、起きる時間ですよ? お昼ですよ?」
「…。ふぇ? むにゅん… んー! もうそんな時間が経ったか… よし、起きたぞ… マサト抱っこ…」
「え…?」
「どうしたマサト… 今日はそういう気分だから私を抱け…」
「え、あ、あの… 失礼ながら... まだ寝ぼけてます? 顔洗いにいきましょう」
「ん? そうか… なら連れていけ…」
ミルを抱っこして洗面台に向かう。
うん… さすがにおかしいことくらい眷属である僕以外でも分かる変化だったな…。
ミルを抱えたまま洗顔をする。
「…。ふわ!」
「目が覚めましたか…?」
「あ… あぁ… 覚めた… だから、その…」
僕はそっとミルを降ろした。
「…。私はさっきまで、何か変な事を言ってなかったか…?」
「…。大丈夫です。いつも通りでした!」
「いつも通り… それは良い事として受け取っても良いんだな…!」
「はい、気にすることはないです」
「う、うむ…」
洗面台からミルと僕はリビングに向かい四人でお昼ご飯を食べる。
「いただきます」
「いただきます」
「…! いただきます」
「いただきます、これであってますよね原初様?」
四人でいただきますと言ってなんか心はうきうきとしている。
何か本物の家族みたいで...。
本当の家族の事を忘れたわけではないけど… 守りたいという意味では同じくらい強く感情が沸く。
僕はルーナやシーナよりまぁ、今のままだと弱いだろうけど… 訓練を頑張っていこう。
お昼ご飯を終え部屋に戻るミルを呼び止める。
「ミル… 話があります…」
「む? 何だマサト…?」
「…。大事な話なので寝室で話したいのですが…」
前まではリビングで話せたこともルーナとシーナが来てからは聞かれてまずいとかではないけど…。
話の邪魔になるかもしれないから部屋を移したい...。
「…。わかった... それほど大事なのだな…」
「はい…」
さっきの笹原との話をするためにミルと寝室に向かう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そろそろ平和路線からシリアスとバトルに変えるタイミングを計ってます…。
もう笹原防衛大臣がシリアスと日常のレバーを握っているのかもしれない…。気を付けなくては…。
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