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第二十四話 二人の吸血鬼と原初

 基地に帰ってきて3日後、薙が帰ってきたと二八が部屋に知らせに来てくれた。


 薙が帰ってきたので特訓開始になるかと思ったが… 何故か誰にも呼ばれず部屋の中で過ごしている。


 薙が帰ってきてかれこれ一週間が経つが、呼ばれず実は既に始まっていて薙が基地にある訓練所で待っているのではと思い扉を開けて外に出てみたが警報が鳴り注意された。


 ならなんで呼ばれない? そう考えてみたが僕に分かるわけはなく、今日もただ炊事洗濯などの家事をこなす。


 次の日、部屋に一通の手紙が届く。


 手紙には訓練を始めるという内容が書かれていた。やっと訓練が始まる。

 時刻は明日の日が出る前の朝からと屋敷の時と同じくらいの時間帯で始まるらしい。


「…! なになに眷属さん、その手紙?」

 

 シーナが手紙を読む僕に近づく。


「僕宛の訓練に関する手紙だよ。君達に関するものではないから安心して」

「んー? 眷属さん… 訓練してたの? 原初様の眷属なら血を飲めばいくらでも強くなれるのに」


 ソファーに座り手紙を読んでいた僕の横でシーナは座りこちらを見てくる。


「吸血鬼から見ればそうだけど僕はミルの眷属だから血は今後一切飲む気は無いよ… そうミルがしてくれたからね…」

「ふーん… おかしな眷属さん。食事も違うし眷属さんは本当に人間でいるつもりなんだね… 吸血鬼から見ればそれは確かに変かも」

「変で良いよ」


 シーナと笑って話せている。会ったときは我がままで友達思いで泣いていたシーナも笑えているのに安心する。

 僕は守れたんだ、二人の未来を。ルーナを… 吸血鬼を助けて良かった。


「そういえばルーナは昼寝?」

「そうなのよ… いくら揺すっても起きないのよ… せっかく面白い日本の番組を一緒に見ようと思ったのに…」

「うーん… そろそろお昼だしミルを起こしに行くか… シーナもルーナを頑張って起こして」

「…! ねぇ、眷属さん? 眷属さんがルーナを起こしに行ってくれる? 私が原初様を起こしに行くから…」

「え… 何で…?」

「ふふふ、良いですから起こしてきて。たまには私が原初様を起こすのも面白そうだし」


 シーナに部屋まで背中を押され、最近ベットが届いて二人の部屋も用意できたは良いが… こうして向かうことになるとは思いもしなかった。


「分かったから、背中押さないでくれる?」

「じゃあ、よろしくね?」


 シーナはミルの部屋に僕はルーナ達の部屋に向かう。仲の良い二人は同じ部屋が良いとそうなった。

 一応扉をノックして入る。


「お邪魔しまーす… ルーナ起きてお昼だよ?」

「…」


 ルーナは寝間着で寝ている…。それは良いが… 何で肌色の面積が僕の知るパジャマより多いんだ…。

杜宮家の屋敷では二八が用意した浴衣があって皆同じで気にしなかったけど… 基地に帰って来た次の日の朝、洗顔とかの時ドキッとしてしまう服装で起きてくる。目のやり場に困ると相談したら次の日から着替えてから出てくるようになったが…。


 はぁ、心臓に悪い…。


「ほら… ルーナ起きて」


 ベットで寝るルーナの肩を掴み優しく揺らす。これが僕の精一杯の行動だ。

 どうやら僕はミル以外の女性にははめっぽう弱いらしい、何故だろうか…。


「起きてルーナ!」

「シーナ…? まだ寝てたいので… あと五分後に起こして…」

「寝ぼけてないで起きて! あと… シーナじゃなくて正人だよ」

「マサト…? え、何で眷属さんが私の部屋に... 夢? 夢なら血を吸っても…」

「現実だから駄目です! ほら目を覚ましてご飯にするよ?」


 僕はルーナの肩を掴み揺らし続ける。


「え! 何で眷属さんが部屋に!?」

「やっと起きたか… 先にリビングで待っているから着替えてから来て…ください… では」

「は、はい…」


 ふぅ、やっと終わった…。内心めっちゃドキドキする。

 いくら相手が吸血鬼とはいえ、見た目は人間と同じだし… しかも女性で... って… 僕は何を考えているんだ…!。


 リビングに向かうと何故か不機嫌なミルと半泣きのシーナが椅子に座って待っていた。


「え、何かありました?」

「マサト… 何故起こしに来なかった? いつもならおまえが起こしに来るだろう… なぜシーナに頼んだのだ?」

「ぐすん… すみません原初様…」

「あー…。ゴホン。すみませんミル、僕がシーナに頼んでミルを起こすよう頼んだんです。ミルのことが好きなシーナに僕なりに気を遣って起こさせたのですが… すみません...」

「眷属さん…」


 泣いているシーナを庇う。

 ミルは何か考えながら僕を見てくる。これは気付かれたか…。


「そうか… だが私はマサト以外に起こされるのは… 嫌いだ… 今後からもそうしてくれ…」

「はい、以後気を付けます。今回はすみませんミル」

「私からもすみません原初様…」

「え、何かありまして… 何事ですの?」


 場の空気を知らないルーナは着替えてリビングに入り椅子に座る。

 まぁ既に終わったことなので皆で昼ご飯を食べる。食べ終えると洗い物をする。

 

 家事をしていれば気付けば時間が過ぎ夕方になる。

 部屋の時計を見ながらお風呂のボタンを押す。最近は四人暮らしになり前よりも早めの時間に押すことを心がける。


 お風呂を沸かすこの間に食べるのは僕だけだが夕食の用意する。

 お風呂が沸く音がすると一番にルーナとシーナが入る。

 ついでにミルも一緒に入ればと言ってみたことがミルは断固としてルーナ達と一緒に入ることはなかった。


 これは僕のエゴなのかもしれないけど、ミルは二人とあんまり仲が良くないのではと思えてしまう。

 僕とルーナとシーナが話していると会話に入ることはあってもミルが二人のどちらかと話しているところは先程注意している場以外で見たこと無い初めて見る。僕なりの気遣いのつもりなんだが、ミルは嫌がる。

 ルーナとシーナはとくに気にしてないように見えるから良いが今後過ごすことになるから時間が解決すると思えば良いだろうか?。


「マサト! 鍋が吹き零れるぞ!」

「おっと! 危ないところでした、ありがとうございますミル」

「… 気を付けろよ。料理中に何か考え事か?」

「あ… ははは… ミルとルーナとシーナの仲を深められないかなと… 思いまして…」

「…。マサト、おまえが気にすることではない。これは吸血鬼ゆえの考え方の違いだ。マサトは人間として生きていたから知らなくても良いことだ」

「そう、ですか…」

「そう落ち込むな、おまえの血が不味くなる」

「何ですかそれ… ハハ」

「吸血鬼ジョークだ。元気な血は美味だからな」


 ミルなりに僕を元気付けようと言ったことだろうか。

 僕の血か…。いつかミルは僕の血を飲むのかな…。


「あの、ミルは… 僕の血を飲みたいですか!」

「急にどうした…?」

「いえ… ルーナはよく僕の血を飲みたいと言ってきますので… 側で見ているミルから見ても僕の血は美味しそうなのかと…」

「はぁ、そんなの美味しそうと思っているに決まっているだろう? だがおまえは私の眷属だ。我慢していると言うのに…」

「…。ミルなら何時でも良いんですよ… ルーナのは断ってますが… ミルになら血を吸い尽くされても良いんですよ…」

「…。駄目だ、私がおまえを殺すわけ無いだろう?

大事にしたい眷属なんだからな… それに吸血鬼化が加速するかもしれないしな… 私には出来ないことだ」

「…。そうでしたね… すみません基地に戻ってきた安心感から忘れてました…」


 そうだった… 僕は人間に近づく必要があるんだ。戻る方法を探すとは違う吸血鬼化を止める方法を探す必要が来年までの猶予の中で探す必要が。


「ハハ、忘れていたついでに鍋が焦げるぞ? 早く火を止めろ」

「あ…」


 晩御飯が焦げる前に火を止める。

 考えすぎも良くないか…。

 テーブルに僕が食べる料理を並べ椅子に座り二人をミルと待つ。


「…バカ者が」

「何か言いましたミル?」

「…! いや、ちが…! 聞き流せ…!」

「…すみません?」


 何か言ったかを聞くとミルは声を上げ頬を赤らめ椅子から立ち上がる。

 そんなに怒る事を聞いてしまったのだろうか…。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

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 この章は新たな二人の吸血鬼を中心に新たな章への準備をメインに書くと思いますが、飽き性なので変わるかもです。

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