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第二十一話 襲撃者達

 帰りの車が杜宮家の屋敷の前に止まる。


「では私とお兄は後ろから車で着いていきますので」

「…。狭い車ですわ…」

「これくらい我慢して乗ろうルーナ… 人間達の基地に着いたらもっと嫌な事があるかもだし…」


 ルーナとシーナは嫌々ながら車に乗る。

 普段どんな車乗ってたのか疑問に思うがそもそも吸血鬼って車乗るのか? 人よりも何倍も速いのにクルマに乗る必要性とは…。

 ミルと僕も乗り車のドアは自動で閉じ動き出す。


「帰りたくないなぁ…」

 

 僕は杜宮家で至れり尽くせりの対応をされ温泉沸くお風呂と食事を懐かしむ。

 ミルは窓の外を眺めているが、ルーナとシーナはやけに大人しい。部屋にいる時は騒がしいときの方が多かったが基地に向かうのがそんなにも怖いのか… 逃げようと思えば逃げられるのに何で逃げないのだろうか…。

 もしかして… 薙とミルが怖いからか?。


「ねぇ、眷属さん。私達… 家に帰れますわよね?」

「…。それは僕にも分からない… 僕も家に帰りたい…」


 家、あの基地にある部屋ではない、本当の家に。

 僕が帰れてないからきっとほこりが溜まり掃除が大変だと思う。

 いつか、あの家に帰って… 帰って何すれば良いんだろう…。

 あれ、帰るのは良いことだ… そのはずなのに何で僕は嫌な気持ちになっているんだ…。

 僕にとっての家は…。


「あ! 見てルーナ街よ!」


 シーナの声を聞いてはっ! とする。

 とても深い考えをしていたようだった。

 

「大丈夫かマサト?」

「…! あ、…。大丈夫です。基地に帰るの楽しみですね?」

「そうだな、帰ったらまた一緒に風呂に入ろう! 家に戻るが楽しみだな?」

「…。そうですね」


 今は良いんだ…。きっといつか帰ることが出来ると信じよう。

 そうだ、帰ることが出来たら家にミルを呼んで一緒に暮らそう。

 それか世界中を回る旅行に行ったりして… とても楽しい日々だ。


 車は気付けば街中を走っていた。窓の外に高いビルやマンション、遠くに街のスーパーや薬局などが見える。

 だけど… 街中に煙が出ている。火事かと思ったが、どうやら違う。

 煙が見えた瞬間に全身がゾクリとする。

 体の危険信号とでも呼ぶべきものだろう。身に降りかかる危険や近くの人達に降りかかる危険を知らせるように僕は直ぐにミルに飛びかかり守るように覆い被さる。


「ミル!」


 そして乗っていた車は横転した。何の前触れもなく何かが、車に当たった… 違う、当てられたというべきほど勢い良く。

 間一髪と言うべきだろうミルと僕は車から放り出されミルを抱えた状態で転がり外に出た。ルーナとシーナ達はシーナの結界で守られている。

 僕も着ている服が多少燃えたくらいで... いや、傷は吸血鬼の回復力で治ったのかもしれないな…。


「…。大丈夫ですかミル…?」

「おまえの方こそ… 頭から血が出ているぞ…」

「それよりも… 敵は…」

「…! 伏せろ!」


 敵の攻撃だろうかミルは僕の頭を下げさせる。

 首が折れるかと思った。


「あちゃあ… 外したか…」

「まあ、男の方を捕まえれば終わりだしちゃちゃと終わらせようぜ?」


 遠くから男二人が近づいてくる。


「マサト… すまないが… 今回も頼めるか…」

「分かってます。これが僕の役割ですから...」

「…。手持ちがある方が良いだろう、これを使え…」

 

 ミルは手のひらから血を流す。血は固まり刀に形を変わる。


「良いか… 吸血鬼の急所は心臓だ。出きるのならそこを狙え… 今のおまえの力なら出きるはずだ…」


 ミルは自身の血で作った刀を渡す。

 まだ血の刀をどう作ったのか知りたくはあるけど… 今はこの場の雰囲気的に聞けない。

 僕は刀を教えられたとおりに構える。

 男二人は手にナイフを持ち投げてくる。さっき飛んできたのはこれか…。

 今度は見えていたので避けられた。

 ナイフを躱し男二人に近く、前よりも足が軽く速く走れている。


「な! 何だよコイツ…」

「聞いてた話しと違うぞ… 楽な仕事なはずだ…!」


 慌てる男二人の心臓目掛けて縦に刀を振る。直ぐに隣の男にも、もう一撃。

 体を割き胸にまで刀が通り心臓を切ったからか男二人は灰に変わる。

 前よりは強くなれたのかな…。


「…。ごめんね…」


 敵を倒し終えたので、ミルの方に戻る。

 吸血鬼とはいえ相手を殺すのはかなり辛い... 浅草での事やミルの言葉が無ければ僕はきっと立ち直れていない。

 今も手には殺す時の感触が残っているから震えている。

 

「終わりましたが… まだ吸血鬼が他にもいるかも知れませんので…」

「そうだな…」


 ミルが僕の手を握る。

 ルーナとシーナの方に向かい二人道路の上で周りを警戒しながら歩く。


「あの… 僕たちも結界内に入れてくれても…」

「嫌よ、眷属さんを入れたらルーナが襲われるじゃない?」


 シーナはルーナしか守らないと言っていたが… 結界で守ってほしかったな。


『正人さん聞こえますか?』


 二八の声が頭の中に聞こえる。


『連絡が遅いよ二八… 吸血鬼、怖かったよ…』

『いやぁ、こっちにも吸血鬼に襲われてしまい… 片付けるのに苦労しまして…』

『…。今の状況的に合流は?』

『…。出来ますけど… またお兄… 隊長が勝手に吸血鬼を片付けに行きまして…。まぁとりあえず合流してからですかねそれは…』


 薙はまたどっか行ったと聞くと安心感がありながらも… 戻ってくるかの心配がある。

 死にはしないだろう… 薙の死は何かいけないものであり… 日本の吸血鬼対策の要と勝手思っている。

 それくらい実力ある人だなと思う。


『分かった… 今どこ?』

『正人さん達は動かずとも、もう近くまで来たので大丈夫です!』


 そう言うと二八と隊員達が歩いて来た。

 何人かは負傷してか包帯や着ている武装に傷が見える。


「いやぁ... こうも昼間に襲撃されるとは… 夜がメインだった時が懐かしく思いますなぁ…」


 こんな状況でも、ふざける二八。


「ふざけている場合か、おまえの兄を探しにいかなくても良いの?」

「それは大丈夫です。とりあえず車用意したのでこちらに乗ってください。乗りながら状況を整理し基地に戻りましょう?」


 後ろから大きな軍用かゴツく見た目からしても丈夫そうな車が来る。

 隊員達も全員乗り車が動き出すと、二八は話し始める。


「さっきの車より狭いわ…」

「人数が多いからしょうがないよルーナ…」


 ルーナとシーナはまた車の狭さにイライラとしているようであった。

 この際二人のことは一旦忘れよう…。


「現在の状況ですが、あらかたの吸血鬼は隊長が倒したためある程度安全ではあります。現在隊長は残党を倒しにまた… 単独行動を…」


 二八は頭を抱えているようだった、隊長と呼ぶ薙の勝手な行動に...。


「まぁ… 隊長が吸血鬼を片付けている今のうちに基地に向かいましょう… 勝手をした本人は置いていきます」

「薙の事は置いていくの!?」

「はい、隊長は必ず生きて帰ってきますから。大丈夫です」


 二八はそれで良いのか、それは信頼からなのか諦めななのか?。

 はたまた兄妹の絆なのか。

 

「では帰りましょう我らが基地に!」

「はぁ、早くこの車からも出たいですわ…」

「そうだねルーナ… 早く家にも帰りたい…」


 車に揺られ基地に向かう。

 最後まで読んでくれてありがとうございます。

 まだこれからと思い目指せ完結です。

 今回戦った吸血鬼は二次覚醒の吸血鬼です。

 浅草の時もそうですが街中での戦闘は全て揉み消されてニュースも全て吸血鬼の事は書かれず別の事故として片付けられます。


 感想待ってます!。

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