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第二十話 一年後の話

「起きろ… 目を開けよ我が子の眷属…」


 誰かに呼ばれている。知らない声に呼ばれて目を開ける。

 目を開けるとそこは先の見えない白い空間で僕は目を開ける。


「…。え、どこ?」


 何処だろうかここは…。僕は布団の中で寝たはずだ。まさかこれは敵の吸血鬼の術か! ならなぜミルが気付かなかったんだ…。それほどの強さの吸血鬼なのかここに僕を呼んだやつは…。


「…。起きたか…」


 声の方を見ると知らない人が椅子に座っている。隣には空席の椅子が一つ並び開けた空間にはとても異様としか思えない。


 見た目は…。僕よりも幼く... ミルよりは身長は高そうだ…。服装は布を纏った神様にも見える服装で男とも女ともとれる顔立ちの人だ。


「…。何をジロジロと見ている…。お前をここに呼んだ私のこと等知らんくても良い…」


「…。知りたいから見ているんじゃ…。警戒しているから見ているんだけで…」


「…。不便ゆえに名くらいは答えよう…。私はお前がミルをよく知る初代原初、名をここではフフ、ルルと名乗ろう… きっと娘も驚く。これで己の立場くらいは理解できたか?」


「…。はぁ? え?」


 いきなりの事で血の気が引く。その場で倒れてしまいそうなほどに。


「まぁ、その事は一旦忘れろ。今お前はこの空間のことやなぜ私がここに呼び出したかについて気になっていたな…。ここは夢の中だ… お前は今も寝ているが眷属に流れる原初の血の記録を利用しお前と話すことが出来ている…」


「いや! いきなり原初の血の話とかされても分からないのですが…」


「分かる必要はない。なぜ私がお前をここに呼んだかは忠告をするためだ。お前は今、気付いてないが体が吸血鬼化を始めている… このままでは一年後には二次覚醒をしてしまう」


「え…? それはおかしいことですよ。ミルが僕に何か命令したことで吸血鬼化は止まったと言っていましたから…」


「そうだ…。だが事実だ。お前が不用意に吸血鬼に噛まれるといった行動をしてしまったことで原初の血が活性化されている。運が無かったな、助けた吸血鬼がたまたま原初に近い眷属の血を引く者だったことを知らず助けるとは… 本当に運無い」


 やれやれといった態度で見てくるルル。


「…。僕が首をルーナに噛ませ血を飲ませたからと言言いたいならそう言えば良い、その事に僕は何も後悔はない。それはしょうがない事でも僕の運が無いからでもありません先代原初様。僕に出来ることをしたまでで、あの場で助けないなんて選択肢は無かった… だから僕達はルーナを助けたんです」


「そうか…。あくまでも事実を受け入れているか。お前ではない者が悲しむことになってもか?」


「自身は無いですよもちろん… 僕は周りの皆みたいに吸血鬼の事なんて何も知らないつい最近まで家から会社に行って帰るだけの人間でしたから。ですが… 僕はミルの眷属だから全部受け入れます。これから先何があろうとミルや僕に関わる全ての人間には幸せでいてほしいんです」

 

 苦しい言い訳だ…。


 やせ我慢で…ホントは辛い。良いことが、起こると次は嫌な見たくない聞きたくない事が来るのが分かる力がほしい。


 けど、あの日の自分が今の僕を変える切っ掛けをくれた。初心忘れるべからず… これも逃げだ。だけど、裏切っちゃいけない気持ちはある僕にも。


 良い部分なんて自分には無い、こぼれた部分をのりでくっつけているだけ。


 だからなんだ… だからしない理由にはならない。弱いからなんだ、逃げてよかった事なんてきっと無い。

 強くあれ… まだ十分ミルを安心させる事が出来ないけど側で今僕が一番近くにいることを誇れ…。


 自分に、負けるな折れるな、立て!。


 あの日で終わって良かったと今は思わない。


 これから先をもっと生きたいミルが一緒なら生きていける。


 依存だな… これは…。僕はミルに強く惹かれている。


 この気持ちもミルを傷つけてしまうのだろうか… ならどうしよう… 辛い。


「そうか…。傲慢な人間だ…。だが娘も気に入っているのも分かる。似ているからか…」


 ルルは笑った。小さく口角を上げ笑った。


「どうやらお別れの時間だ。あぁ… 楽しみだ。君と娘がどんな終わりを迎えるのか… 私は君が好きになりそうだ。また会おう正人君」


 体が浮く感覚と共に強い光が目を射す。目をつぶり再び目を開けるとそこは布団の中だった。


 ミル達はまだ寝ている。そうかやはり夢だったのかと納得し先ほどの事を思い出しながら着替えて道場に向かう。


 話を聞いたから自覚できるがいつもよりも体が軽い。足に力を入れればこの屋敷も飛び越えられそうなほど活力に漲っている。

 薙は… 僕よりも強いから訓練は平気だと思うけど日常生活に支障が出るのではと心配になる。

 道場に着くといつも通り薙は正座で待っている。こちらに気付いてか立ち上がりいつも通り睨んだ目をしているなぁ、怖い顔だ。


「…。何かあっただろ…。虫がゴミ虫になったいるぞ…」

「…。ゴミ虫って僕のことかな…」

「…。お前、何で吸血鬼の気配が強くなっているんだよ… 一次覚醒と聞いてたが… 昨日と違いより強い気配に変わっている… 変わらないのがお前の良さじゃ無かったのか?」


 薙はこちらを睨みながら近づいて来る。薙には分かるのだろうこれも陰陽師だからなのか普通の人間とは違い気配で分かるのかも。


「実は僕…。朝から吸血鬼化が進んで一年後に吸血鬼になっちゃうらしいんだ…」

「…血を飲んだのか、それとも…それも原初の血からか?」

「原初の血… そうだと思うよ… 僕も感覚的にだけど今朝は調子が良いんだ…。昨日よりも元気で力が溢れる感じ…」


 何か先代原初の事は話したらまずいと思い隠して話してしまった。ミルには全部話すと思うけど… 薙の事は信頼できないから。


「…。何でお前は落ち着いて話してんだよ…。吸血鬼になるのが怖くないのか…」

「怖くないよ。必ず止める、そうするって決めたから…」


 薙はこちらを見てくる。殴られるかもと思ったが木刀を渡してくるので訓練開始の合図だ。

 いつもよりも軽いな。振り方がだんだん慣れてきたからか薙の教え方が良いからかはたまた吸血鬼化が進んできたからか薙のお手本通りに出来ている。


「…。今のうちに言っておくが、訓練は基地に戻ってからも俺がお前に教えるよう言われている… 忘れるな… 弱いお前に俺が教えるよう言われている」

「…。弱いのは分かったから… 何でそんな僕に当たりが強いんだよ…」

「お前には関係無いことだ…」


 木刀での実戦混じりの打ち合いを終えた時に薙に言われる。

 今日は最終日だからか部屋に戻るとミルが起きて朝の支度を全部終わらせて座布団に座っている。もう驚きはしない、ミルにもそれくらいは出来ると分かっているから。


「ミル、話があります」 


 僕はミルの隣に座りお茶を用意し、話を始める。ルーナとシーナは今日は寝ている。そろそろ二八が来るが来る前に話を終わらせたかったからだ。


「…。おまえから話を始めてくるか…。吸血鬼化が進んでいることだな?」

「…。ミルは気付いていたんですね…」

「話すかと迷ったがおまえから話を始めてくれて助かっている。私はお前を傷つけてしまうかと思い言い出せなかったから… その…気を悪くするかもしれないが嬉しいと思ってしまっている…」


 ミルは既に冷めてきったお茶を飲んでいる。どれくらい前に起きてきたのか分かるくらいミルには珍しく早起きをしたのだろう。


「僕は… 夢の中でルルと名乗る原初に会い知りましたが… 一年後に吸血鬼に変わると言われました」

「ルル… 待て…! ルルと言った原初に会ったのか?! なぜ会えた… ルルはアイツによって… 既にこの世にいないはずだ…」

「原初の血の記録とか言ってましたが… 僕にはよく分かりません…」


「そうか…ルルが…そうか生きてた訳じゃないのか…。ではなぜ私に...。いいや今はマサト…。おまえはどうする一年という短い期間で何をする…」


 ミルにはルルは親と同義。だから会ったと話せば動揺してしまうと思ったが、話はすぐに僕の事に戻しこちらを見てくる。


「もちろん止める方法を考えます、けど、探して見つかるようなものでもないと思いますだからミルにも力と原初の知恵を貸してください…お願いします」

「原初の知恵をか…そうか」

「けど、もし僕が完全な吸血鬼になってしまった日には…ミルが僕の血を吸ってくれると嬉しいです…。分からないことが多いので無理だった場合…病院での以前と同様理性もなくなると思います…だから図々しいですが…僕の介錯を」

「…。やめろ無理だったとかそう言う話をするな。諦めるな、たとえ難しいと分かっていることでも私がおまえを必ず助ける… お前には苦しい思いさせてしまうが、おまえを必ず純人間に戻してみせるから… 悲しいことを言うなバカ…」


「…はい、僕も頑張ってみます… 出来ることは何でも協力します! 二人で」


「そうだな…では早速二度寝の手伝いを…」


「あの~…。そろそろ良いですかお二人さん…?」


 二八が障子を開けてこちらを見ている。


「いやぁ、朝からイチャイチャとするのは健康上良いことかもですが… そういうのは二人だけの時にしてくださればヨロシイかと…」


「いつから見ていた… フタバ貴様…」


「いやぁはや、それはもう初めから一部始終全てを見届けましたとも! 我が眼に一生の悔い無し!」


「ちょっミル! なにそれ?! いつもの感じとは違う何か禍々しいよ腕が!?」


「屋敷ごと壊す…!」


「ま、待ってぇ!」


「うるさいのですわ… シーナが起きたらどうするのよ…」


「ルーナ… もう朝だから起きる時間だよ… けど、眠いから…ニドネしよ」


「起きますわよシーナ… 二度寝は肌に悪いので… ふわぁ~あー… 起きなくちゃ…ダメですわ…」


「りょ…起きます…」


 その後起きてきたルーナとシーナと僕とで協力してミルを止める。二八はミルにデコピンされて許されていたがかなり痛そうにしていた。

 最後まで読んでくれてありがとうございます。


 次からは一応新章にしようと考えています。吸血鬼化は止まるのか敵の吸血鬼達はなぜミルに宣戦布告したのか今後書くと思うので目指せ完結!。


 感想待ってます、励みになりますからお願いします!。

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