第十三話 血で血を洗う戦いは好きか?
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杜宮薙視点です。
杜宮薙視点。
「ち…。めんどい奴らだ…」
俺が妹達を見送ってどのくらいたった…。
薙は28号こと、二八達を見送り目の前に立つ吸血鬼を睨む。
28号に取り付けてた発振器とカメラで現場に着いたのは分かる…。
まさか糞虫側にもう一匹糞虫がいたとは…。
「急いで終わらせる…」
「おいおい兄ちゃん? 俺相手に逃げられるとでも?」
男の吸血鬼は現れた薙に警戒はしたいる。だが興奮していると薙は思った。
気持ち悪い糞虫…。
薙は、吸血鬼に対して殺意と嫌悪の視線を向け睨み腰の刀を構える。
「なるほど…。まさか原初様に逃げられるとは…。あの力の差はまさに神にも等しいと実感できます…。あぁ、会えた…」
女性の吸血鬼は恍惚とした表情で自身の身を撫でよじる。
吸血鬼は全員… 殺す。それが俺の仕事だから。
「無視か兄ちゃん?」
「…抵抗せずおとなしくお前らの心臓を二つ… 置いていけ」
「カカ…。俺を殺せると良いな… お兄ちゃん!」
刀を持つ男の吸血鬼が薙の目の前に一瞬で現れる。
妹視界とあの糞虫の会話で知っている。
この糞虫は移動系の力を使う糞虫だと。刀は血から、いくら折ろうと再生される二次覚醒を終えた糞虫には当たり前の事だが…。刀には刃こぼれ一つ無い…。手練れか。
薙は振られる刀を避ける。刀が振られ地面に当たる度に地面を巻き上げるほどの力と速さの吸血鬼の振る刀を歩行と身のわずかな動きによる攻撃の誘導で避ける。
躱すのは簡単だ。
相手がいくら手練れであろうと…。俺は糞虫を殺すために鍛練を重ねてきた。
だから俺は負けない。
「湖月…」
薙が放つ橫からと縦を重ねた抜刀術。
避けたか… めんどいな…。
相手もそれ相応の実力者だと。薙は自身が何年もの血の滲む鍛練で身につけた剣術を避けられたことで訂正する。
コイツは... 強いと。
「私を忘れては困ります、ノロマな~ねずみさん? うふふ…」
地面からの朱色の壁…。そうか、街を囲う女の糞虫の術か…。壁内部で気配が分散して気づきづらくなっている…。
「はぁ… 鍛練不足だな…。これじゃ妹すら護れないままだ…」
吸血鬼の術により出された壁が薙一人を捕らえるため天井すら囲もうとしていた。
「式鶴神…」
薙は刀を鞘に収め手をパンと叩く。
「はい、捕らえた…。ゲームはおしまいよ。人間一人なんて私には簡単すぎて… 暇でしたがこれでおしまいよねずみさん?」
吸血鬼の女の術は朱色で透け外が見えるが、あらゆる力を吸収し無力化する術であり壁事態も吸収とは別で頑丈。その術に薙は囲まれるように捕らえられてしまった。
「ふふふ…。さて… ゼル… 殺してしまいなさい」
壁を見ている吸血鬼二人は気づいていなかった。
「はいはい… てっ、いない!」
すでに薙は女の吸血鬼が用意した壁の中にはいないことを。
壁の中には誰もいなく地面に鶴の折り紙が置かれていた。
「…。不知火一閃…」
突如、女の吸血鬼の背後に現れた薙。
「な…! うそ!? 何故、私の後ろに…!?」
薙の一撃が女の吸血鬼の背中を切る。
「糞虫の首を切るつもりだったが…。躱しやがった…。 しぶとい糞虫は… さっさと死んで消えろ」
女の吸血鬼の心臓目掛けて薙は刀を突き刺そうとする。
女の吸血鬼は理解できていない様子だった。ただ自身を見下ろす人間の男に殺される事を恐れていた。
「ち… 男の糞虫を殺しておくのが先だったか…」
「ふぅ、あぶねぇ。今このお嬢様殺されると… 俺も困るんだ…。だから… 殺るなら俺と殺り合おうぜ兄ちゃん?」
女の吸血鬼を抱え地面におろす男の吸血鬼。一瞬で薙よりも速く女を助け離れた位置に移動する。
またあの男の術か… 厄介だ。女の糞虫に逃げられた。
だが女の方も回復はしているが背中を切られたショックでまだ放心している今の内に…。男の方を殺して… いや、両方を駆除する。
「…」
「久々の人間の強者相手でワクワクするなぁ…。吸血鬼ばっかりで飽きてたんだ…。なあ人間! 血で血を洗うような戦いにしようぜ!!」
「…。不知火一閃…」
薙は男の吸血鬼に一直線に飛び込む。一歩は通常の人とは違い十歩先を踏みしめ一瞬で男の懐に入る。
「…。同じ技が効くとでも…」
「…。弐ノ段… 鬼灯…」
薙は構えていた刀を真上に投げ男の全身を殴る。まるで鉄のように頑丈な吸血鬼の皮膚にめり込む薙のこぶし。
「なっ! ぐう!」
「終いだ… 龍牙突つ…!」
薙が投げた刀は薙の手に収まる形で落下し突きの一撃を男の胸目掛けて放ち男の心臓に突き刺さる。
「…」
次は女の糞虫だ。
「カカ、カカカ! 普通ならここで死ぬのが吸血鬼だが… 俺は死ねないんだよ…」
「…!」
刀が抜けない!。
吸血鬼の男の胸に刀が刺さったまま薙は刀を抜くのを諦め、後ろに跳び下がり相手の出方を伺う。
「良い太刀筋だ。こんな痛い一撃は… 何百年ぶりか… やはり非力な人間相手は良いな」
「何故… 生きている…」
薙は表情は普段から殺しているため相手を睨んだままだが、自身の経験と知識から想定を越える相手との対峙に内心焦りを感じていた。
表情にも出ない僅かな焦りが、小さくではあったが心の水面に雫波紋を作った気分にさせた。
「お、やっと俺としゃべる気になったか! それはまだお前達には秘密だ… 。それだけは言えねぇなあ兄ちゃん!」
聞いて答えると薙自身も思ってない。だが僅かでも確認として聞いた。
男は刀を胸から抜き薙に向かって投げる。
「サプライズは準備が長いほど良いものとなるだろ…?。さあまた殺り合おうぜ殺しあいだ血で血を清算し獣の様に食い殺し合おうぜ! カカカ! カァ~カカカ!」
この糞虫はただの糞虫ではない…。しかも戦い好きときためんどいタイプだ…。ここで… 躱して女を殺すことにしよう。体の再生が終えてもショックが消えない今が簡単に殺れる。
「…」
薙は男を先程まで一般よりも少し強いだけのやつと思っていたことを訂正し原初の類いかそれに近い何かだと推測する。
薙は原初はあの糞虫以外自殺したと基地から聞いていた。だから原初の生き残りを保護するため基地に置いていると。
「また無口モードかよ…。なら、今度は俺もいくぞ…。本気とは違うが殺す気で行く…」
「はぁ… 湖月…」
薙は自身を落ち着かせるため長年使い続けた相棒ともいえる刀とその鞘に手を振れ深呼吸し終えると男の吸血鬼に刀を鞘から抜き振る。
「…!」
瞬間的に移動して躱すか… あの糞虫を不死身か何かと思ったが不死身ではないというのか…。いやまだ何かある…。
「さぁ! 殺り合おうぜ!」
やはりあの糞虫は手練れか、刀の使い方を熟知した動きだ。だが技や奥義の類いではではない、刀を振り回しているのと違う反射的に動ける糞虫だ。
なら… 都合が良い…。手練れとなら殺りやすい。
「カカカ。考えてばっかの顔だったが、俺を殺る算段は着いたか?」
いや、今の俺にはない。相手が何かを持って死なないのだとしたらここで何時間も戦っていた方が良いが、死ぬまで殺し尽くすのも考えたが… やはりここは… あの女糞虫からだ。
「…!」
「なっ! 俺を無視してお嬢様にゾッコンかよ!」
薙は背後から迫る男の刀による地面を切るほどの斬激をいなしながらも躱す。隙を突いては女の吸血鬼に向かって走る。
「…。背中を狙うのは嫌いだが… 今はお嬢達との契約中だ。死ね!」
一瞬で薙の背後に追い付き薙の背後を切る。
「…。朧陽炎」
男に自身の自体と誤認させる幻覚を見せる。薙は攻撃を躱し女の心臓目掛けて再び刀を抜く。
「くっ!」
男の吸血鬼が女の吸血鬼を庇う。
「やはり厄介だその力は… 燃えろ、日炎…」
薙の持つ刀が男を刺したまま燃える。炎は男の全身を燃やし尽くすまで消えない炎だ。
「こんな火が俺に効くか!。カカ、ぬるい炎だぜ…。こんな炎で俺は死なねぇ!」
男の全身を燃やす炎が消える。同時に薙を掴み投げ飛ばし、建物の壁に穴を空ける。
「まだ死んでねぇよな?」
まさかこれも効かないとは…。この糞虫… やはり不死身か…?。
薙は受け身を取り立ち上がる。
「…ようお嬢様、いい加減目を覚まして、あんたはあっちの方に行って赤い方のお嬢を助けに行きな…」
「…! 飼い犬の分際で主人に指図しないでよ!」
「死にたいのならそう吠えてろ…。あの赤い方のお嬢の所に姫達は着き、お嬢達とした契約は完了した。邪魔をするならおまえを先に殺す…! ここから先は俺の自由だ…」
先程、女の吸血鬼を身を挺して護った男と同一人物と思えない殺気が女に向けられる。
「な!? 下僕が主人に逆らうなんて…。帰ったらお父さんに言ってゼル、あなたを殺して貰いますから絶対…! ベェーだ!」
女は術で作った壁を足場にして空中を飛ぶように歩き現場を去る。
「勝手にしろ…」
男は女に対して興味が無い様子だった。先程と変わらず薙の方を見ている。
どうやら考えている間に女の糞虫を逃がしてしまった…。まぁあの程度なら28号達でも殺れるだろう。
「ふぅ、はぁ…」
早く帰って妹達に会いに行きたいのに…。この糞虫をここで倒すか足止めをしなくてはアイツらでは勝てない…。原初の糞虫は勝てるだろうが、アイツは街を破壊するからと力を使えない。
「だからって… 俺も早く帰りてぇ…」
いかん仕事に切り替えろ…。コイツを倒せば早く終わる。28号達の方にも行ける。俺が全員倒して早く終わるが倒せない。
どっちにしても今は足止めに専念しろ。
「なら、簡単だ…」
勢い良く薙は男目掛けて素手で飛び込み刀を掴み袈裟斬りの要領で刀で切る。
「さて…。時間まで俺も暇だ。もう少し遊んでもらうぜお兄ちゃん?」
俺は後何時間で帰れるのだろうか…。
男は薙に刀を投げ返し薙もそれを受け取り再度戦いは繰り返される。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
いい加減名前は出した方がいいキャラは何人かいますが、それは主人公の田中正人くん視点になってから書こうかなと。
薙が技名を言うのは集中力を高めるのとイメージしやすくして技の成功率を上げるのが目的です。後単にこれも私なりのチャレンジから薙に言わせています。




