表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/58

第04話くん

その手紙はこんな内容だった。


※※※※※※※※※※


拝啓 ゼペットさま


ぜひともヒーローになりたくてお手紙しました。

わたしは腕っぷしに自信がありますし、なによりあふれる勇気と熱い情熱があります。

わたしの腹直筋はエッジが効いてます。仲間内でもキレテルキレテルと大評判なのであります。

わたしの大胸筋はヒーローになりたい気持ちで、ぴくぴくと波打つのです。

変身できるなら、肉体を強調するぴったりしたスーツを身に着けて悪をけちらしてやりたい。

てやっ。むきっ。とおぅ。

はあ、うっとり。

わたしは、ほにゃららら…………。


※※※※※※※※※※


なんだよ。こりゃ。


ようやくここで朝の出来事を思い出したんだ。いくらぼくでもそりゃ思い出すよね。


えーと。でも待てよ。


ここでぼくはあごに手を持っていき、足を組んだ。

何事もポーズが大事なのだ。


ふむふむ。


いくらなんでも朝の広告を見て書いた手紙が、その日の夜に届くなんて早すぎる。

そうだよね?


あわてて封筒の消印を見てみたら、なんと次の日の日付になってたんだ。

こりゃおかしいよ。


ぼくは他のも消印をチェックしたよ。山から無造作に取り出して見てみたら、まるででたらめなんだ。

先月のもあるし、来年のもある。どれもヒーローの応募者から。

来年?先月?いったい郵便屋さんはどうしちゃったのさ?


ぽいぽい。


山をかき分けて進むと、しわくちゃになって色あせた緑色の封筒に目を止めた。

作業をする手がぴたりと止まる。

ゼペットがぼくの手元を見てワフと吠えた。

これは、この手紙は見覚えがあるんだ。


そう。ぼくのだよ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ